節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

ビットリオ・語るDayの戯言「恥知らずのパープルヘイズ」

ジョジョの奇妙な冒険。第5部。黄金の風ジョジョ最密度の1週間。そのアニメが終了した。アニメ自体の出来については今更私がどうこう言うまでもない。「最高」である。その一言だけでよろしい。ジョジョに関する物は大甘な評価になるが、今回は特に良かった。

 

 


「漫画を買う気力は無さそうだし貸す様な関係でもまだ無いんだけれどこの人ジョジョ見たらどハマりしそーだなー」という人に勧める際の選択肢としては最適解かも知れない。こういう意図で勧めている事がバレたら多分トラブルになりますが。でも私が貸したジョジョのすんなり返還率マジで低いからね。黄金の精神から何を学んだのか。ジョジョ4部ラストのオマージュか?あぁん?

 

 


そんなジョジョ第5部の外伝小説の1つ。「恥知らずのパープルヘイズ」。今回はこの本の感想を記録しておく。以下ネタバレ注意。

 

 


〈あらすじ〉

JUMP j BOOKSがおくる、荒木飛呂彦画業30周年&ジョジョ25thアニバーサリィ企画”VS JOJO”シリーズがいよいよ始まる!!第一弾は上遠野浩平が挑む”VS GIOGIO”  !!舞台は第5部完結後のイタリア、主役はパンナコッタ・フーゴ


〈感想〉


自分は「荒木飛呂彦が書いた漫画」で「ジョジョの奇妙な冒険」というタイトルの作品以外は全て、出来に関わらず二次創作だと思っている。各部アニメも二次創作だし、「動かない」もそうだ。いや「動かない」みたいなのはスピンオフというのだったか?

 

ともかく本筋、「動かない」ならジョジョ4部とは別物として見ている。一緒にすると矛盾も多いし……それは本筋だけでもそうだろと言えば、まあ、そうなんだけれども。

 

無論二次創作やスピンオフだから悪い、という話ではなく、本筋とは分けるよ、というだけの話だ。

 

 


「VS JOJO」全体や「叫ばない」、「戯れない」に関するスタンス……いや、こういう「他媒体作品」「他作者制作の作品」全体に関するスタンスを表明したところで、本作、「恥知らずのパープルヘイズ」の感想に入る。

 

結論から言うと良かった。

 

 


確かに「ミスタ冷たすぎねえ?あの場でフーゴがああするのは仕方ないじゃん」みたいな事は思わなくも無かったけれど、まあ、ギャングというのは「命(場合によってはそれ以上の物)が懸かった」「それでいてビジネスの関係」な訳で、その時のチームのリーダー(あの場においては一応ブチャラティ)の意見に背いた以上、ノータイムで「おーいフーゴ!心配してくれてありがとな、でも大丈夫だったよー」で迎えに行くわけにもいかんだろう。特にジョルノは現リーダー。かつての裏切り者(この表現にも思うところが無いでもないが、解りやすさ優先で)に対する処遇はそのまま現在の未来の裏切り者にかかってくる。それを考えるとミスタの態度は自然だと考える。

 

 


もちろんそれを踏まえても納得できない人はいるだろうし、多分No5辺りも納得していないが、ミスタのスタンドが反対することでもミスタはやる。「群体型のスタンドの持ち主は分裂した思考や自我の持ち主」とは本作で示される考えの1つだが、ミスタはその1番良い例じゃないかと思う。例えには出てこなかったけれど……まあ、直属の上司だし。アニメで再認識したけどアイツやっぱおかしい。

 

 


というわけでかつての仲間から出された「麻薬チーム暗殺指令」が今回の事件となる。色々語りたいことはあるが、この本の戦闘で一番好きなのはカンノーロ・ムーロロVSビットリオ・カタルディだ。オリキャラ同士の、数Pで終わる戦いだ。既読者が読むことを前提にしている項なのでここではあまりネタバレに配慮せずに言ってしまうが、「スタンドから受ける影響を53分の1に軽減する」能力VS「自分のダメージの7割を相手に肩代わりさせる」能力という組み合わせで、ビットリオ……「ダメージの肩代わり」の方の攻撃手段は主に自傷である。言うまでもなく3割はちゃんと自分がくらう。

 

 


もう、こうなると勝敗は明らかだ。ほのおVSみず。グーVSチョキ。普通ならどうやってこの絶望的な相性差を覆すのか、と言う展開になるんだろうが、主人公……フーゴの陣営として描写されているのは、ムーロロの方で。キャラとしての魅力が強いのも……まあ、これは好みの話にもなるだろうけれど……ムーロロの方で。ビットリオはこの相性差を知りながら、何の工夫もなく自傷して。傷だらけの身体の代償に、ハンカチで拭き取れるだけの血をムーロロに流させ、それで勝ち誇りながら、死ぬ。戦わない道もあったが、ビットリオはそれを拒絶した。

 

 


……痺れるじゃねえか。ムーロロさん(ちゃんと「さん」付けないと怒られるのを忘れていた……「そうしないと怒られるから」でのさん付けも、まあ怒られるんだけれど)も死体に一礼をして去って行ったし。ただ「どこに痺れるのか?」を考えると難しい。

 

 


「普通に考えるとAが負けるしか無い試合」で、「普通にAが負ける」という、なかなか見ない試合展開のせいだろうか。確かにこれは面白い。面白いんだが、これは「可笑しい」ベクトルの面白さでは無いか?これで「痺れ」はしないだろう。ディオの取り巻きじゃあないが、「痺れ」には憧れなり、そこまではいかずとも格好良さは必要なはずだ。「グーとチョキが戦って、何の工夫もしなかったグーが当たり前に負ける」。ここに格好良さはあるか?

 

 


読んだならこの質問に、「ある」と答えられるようになる。

 

 


傍目には狂った麻薬中毒者が自分に剣を突き立てて、勝手に死んでいったようにしか見えないし、実際「そうじゃない」とは口が裂けても言えないし、面白さ……もう、言葉を選ばずに言ってしまえば滑稽さも確かにあるんだけれども、しかし「麻薬チーム」の一員として、「麻薬チーム」の勝利を確信しながら……これは完全な勘違いなんだけれども……死んでいくその姿は、素直に「ああいう風にはなれねえよなぁ」という自分とは隔絶された凄みを感じさせる。ただ同じくらいに滑稽さも感じるので、結果として脳が痺れる。ちょっとショートした痺れなんだなコレは。言われてみればダーウィン賞受賞者リストを見た際の痺れに似ている。

 

 


この最後の情感だけでビットリオがいいキャラだったと断言出来る。「ああいう風にはなれねえ」も何も麻薬中毒者だからね。ああなるのは人間をやめるのと同義で……!

 

 


今気づいたけれどもアイツらの目的が石仮面だったの、「麻薬中毒者」→「覚醒剤やめますか?人間やめますか?」→「俺は人間をやめるぞジョジョー!」→「石仮面」の連想だったのか?凄い。今自分で話の流れで2段目にいって初めて気付いた。しかしこの流れだとカーズやディオが物凄いテンションで麻薬キメる人みたいで面白いですね。カーズなんかキメた勢いで「SEX必要無し!」と叫んでそのまま宇宙から戻ってこなかった。麻薬はやっぱ駄目だな。

 

 


こうなると今度は麻薬→石仮面の転換も気になる所だ。だれか麻薬中毒の原作ジョジョキャラいなかったか。考えていると……いた!5部の最後の方に出てきた浮浪者!それが吸血鬼だったら、と考えたが、面白いだけだったのでやめておく。これ以上ボスに泥を塗らんでもいいだろ。強いて言えば1部で最初に石仮面の犠牲になったのも浮浪者だったのが意味深に立ち上がってくるくらいか。

 

 


もっとこう……原作では雑魚だったアイツが!みたいな枠がいないのか。麻薬中毒ジョジョキャラ……もう1人いたぞ!ウンガロだ!やけにアイツの射程距離おかしいと思ったんだ。事実上の吸血鬼だったのか。それにしてもパッと思いつくのがことごとくどちらかの関係者。周囲含めて不幸にする辺り、やはり麻薬と石仮面は駄目だな。しかしこういうのがあるからジョジョの話は面白い。多分たまたまだけれども。

 

 


思うがままに書いていたら予定以上に文字数を裂いてしまった。この後フーゴの成長を書くにはやや長い。一旦ここで切ろう。最後に1つ、私はムーロロさんの方が好きである。今日がたまたまビットリオについて語りたい欲が強い日だっただけなんだから、ビットリオを・語るDAYなだけなんだから、勘違いしないでよね!