節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

「ジョーズ」を最初に見られなかったのは悲劇?

記憶の彼方にある三面記事がソースなので、話半分に聞いて欲しいのですが、最近の若者の、いわゆる「性癖」という物は、徐々にアブノーマルなものになっているようです。本当に話半分に聞いて欲しいんですが。一応記事を探したが見当たらなかった。俺の脳内記事かもしれない。

 

じゃあ話半分どころじゃねえや。話1/4に聞いてください。1/10とかでも良いぞ。1/100でもなんでも。小さければ小さいほど俺が喜ぶ。何かしらの責任を負わなくて済むから。電子顕微鏡を使って俺の話は聞いてください。話ミクロンの嘘八百です。

 

その記事ではなんかアンケートみたいなのを取って、性癖を調査して、本誌調べの統計を出して、いわゆるアブノーマルな性癖の割合が高くなっていると示していた。下世話な事です。何をもって「アブノーマル」とするのか極めて慎重にならなければならないこの御時世では特にそう感じてしまう。俺の脳内記者かもしれないのであまり悪くは言えないけれど。結構前の事だしな。

 

で、まぁ、記事にするくらいに力入れて調べてるので、一応その原因らしき物も考察していて。それによれば最近の若者はAVとかエロ本とか選び放題の中にいるから、いわゆるノーマルな性癖を経る前にアブノーマルな性癖を知ってしまうんだ、とそういう結論をつけていた。下世話な事です。「ノーマルな性癖」とは具体的に何なのか、今となってはどう示してみても怒られるでしょう。俺の脳内記者かもしれないのであまり悪くは言えないけれど。結構前の事だしな。

 

……で、こういう記事を見て。あるいは俺が脳内でこういう論理を組み立てて。その時俺が何を思ったのかといえば、「コレはサメ映画の話だな」という事で。ここの飛躍が自分でも面白かったので結構前の事でも覚えている訳ですが。

 

だから……今サメ映画色々あるでしょう?それを中心に紹介する映画ライターみたいな人までいるわけです。それで、NetflixAmazonプライムとかを使えば、それが選び放題なわけですよ。ネットわかんねえ人でもGEOとかTSUTAYAに行けば、そこそこ以上に選べる訳ですよ。

 

ただ、選び放題っつっても、いわゆる映画を見る体力というか、モチベーション、あるいはもっと身もふたもねえところで「時間」は有限なわけで、いわゆる味の濃い映画を観たくなってしまうのは人情という物。

 

例えばサメが竜巻で飛んだり。頭が増えたり。ロボだったり。燃えたり。幽霊だったり。陸地でもなんでも泳いだり。そういう奴らを選ぶのも、まぁ、悪い事では無い。全然。個人の好みです。

 

かく言う私も初めて見た「サメ映画」はシャークネード2。子供の頃USJジョーズのアトラクションには乗ったけれど、さすがにアレを「観た」にカウントするのは駄目だろう。俺の初めてはシャークネード2でした。その後は3でその次は1です。

 

シャークネード2を知らない人のために説明しておくと、サメが竜巻で飛ぶ映画の2作目です。楽しかったよ。感想で「楽しい」が出てくるのは良い映画ですね。

 

で……シャークネードシリーズは楽しく見たけれど……まだ「ジョーズ」は見てない……。

 

コレは、ちょっと気になる。ノーマルな性癖のAV(だからどういう物なんだソレは)を見ないのは全然気にならないけれど、ノーマルなサメ映画の代表格を見ないのは気になる。なんなら初体験がシャークネードなのにも若干の引け目を感じてしまう。この書き方だとシャークネードさんには本当に申し訳ないが、別にシャークネードさんに不満があったとかではなく、俺が初めてで上手く観れたか解らないから、その意味で。

 

……サメ映画の鑑賞の話ですよ?

 

まぁ、過去の名作を漁るのは良い事です。そんな訳で見てみましょう。

 

Twitterで実況(らしき事)もしてたのでそっち見てた人は2度目になるが、済まんね。……アレもミュート用のタグとか考えた方がええんかな……。ネタバレとかあったら悪いもんな……。ミュートされっぱなしにされたら寂しいからな……。以下ネタバレ注意です。

 

 

 

 

 

そんな訳でジョーズを見ましたが。

 

面白かったです。このレベルの有名な「過去の名作」となると、ある程度の古臭さは覚悟していましたが、全く気にならなかった。

 

見る前の印象と違う部分もあるにはあって、俺はこの映画を「D級サメ映画の対極」に起き過ぎていましたね。もちろん、映画史、あるいはサメ映画、そのどちらの評価軸においても最上位〜上位クラスなのは間違いないんですが、しかし「D級サメ映画の対極」では無い。

 

コレもまだ観てない作品(実の所、観る気もそんなには無いので具体的な作品名を出さないことで一応の義理とする)が多い中、伝え聞く話で申し訳ないが、いわゆる「D級サメ映画」では「サメがほとんど映らず」、襲撃は「血糊で誤魔化され」、「描写外、画面外でキャラが喰われ」、シナリオ面では「人間ドラマにサメを無理やり放り込んだ」ようなものも多い、と聞く。

 

ジョーズはこのわかりやすい「対極」なのだろうなと、勝手に思っていた。

 

つまり、こうだ。

 

「サメ、最初から最後まで出っ放し!」で、襲撃は「肉片までしっかり描写!」、「全捕食シーンをノーカット!」からの、シナリオ面では「サメとの対決をメインとし、そこに終始する」。

 

こういう作品だと思っていた。市長のノリとかも知ってはいたんだけど、そういうゴタゴタはまぁ、前半30分くらいで終わるだろうと思っていた。正直襲撃シーンの勝手なこの妄想で、「グロいのはちょっと……」と敬遠していた部分はある。

 

それが、どうだ。1つずつ見ていく。

 

サメの出番。多い。しかし、その多くは「ヒレが少しだけ」である。あとはシルエット。全体像であるとか、牙や口、顔が出現するのは、結構な後半である。

 

コレねえ、出てくるシーンが良いんですよ。この船と仲間で巨大サメ倒すぜーっ!って言うノリで出たけどなかなか会えなかったり、会えても取り逃したりがある程度続いた後で、主人公が愚痴りながら餌というか、撒き餌というかの魚の内臓を海に撒いてたら、いきなり近くにガバァッと現れて。

 

しかもこの後の空気感が良くて、サメ、この場面では主人公を襲ったりしないで、巻かれた内臓喰って一旦海に戻るんですよ。それを見届けた主人公、無言で立ち上がり、後退りでゆっくり船室の船長の方へ行って。静かに言うんですよ。

 

「……この船じゃ小さ過ぎる……」

 

本当に静かな演技なんですが、それゆえに本当に「刺激する訳にはいかない化け物」がすぐ近くにいるんだな、と思わせられた。

 

あとお手本のような「正面を向いたままのゆっくり後退り」でしたからね。出会ったのがツキノワグマだったら100点満点だった。残念ながらサメだったので特に意味は無かったけれど。

 

襲撃シーンはどうだ。

 

海中アングルと「例のBGM」で為される緊迫感あふれるシーンだけれども、少なくとも姿がしっかり描写される前、前半は案外あっさりした印象を受けた。血糊もドバドバと安っぽくなるほどは使われていなかったが、逆に言うと適量は使われていた。コレに関しては、正直、助かる。肉片を映すのをウリにされても、困る。

 

しかし「例のBGM」は良いですね。強キャラの出現BGMが嫌いな男子はいません!あくまでも「出現BGM」に過ぎないので攻撃時それが掛かるわけでは無いのもポイント。不意打ちの緊迫感は、常にある。

 

で、白眉は「画面外の襲撃」で、まさにその画面外、描写外、としか言えない襲撃シーンが存在する。具体的には、既に襲われ死んでいる被害者を発見する、と言う下りなんだけれども、このシーンは「誰も襲われる所を見たわけじゃ無い」と言う一点に、シナリオ上の意味がきちんとある。

 

平たく言うと、サメのせいだと信じてくれないんですよ、市長が。「物証持ってこいよ」つって。あったんだけど、落としちゃってダメでした。残念。そこでまた市長との間に亀裂入っちゃったりね。キチンと「画面外で死んでいる」事に意味があって、良かった。

 

最後にシナリオ、「サメとの対決をメインとし、そこに終始する」。これはどうか。

 

確かにメインはずっと「サメとの対決」だった。そこは外さない。しかしだからと言って人間ドラマが希薄だった、人間ドラマではなかったのか、というと、そういうわけでは無い。

 

「サメとの対決」の為に海水浴場を封鎖したい主人公陣営、それだと島の観光に大ダメージが入るのでサメを「噂」にして凌ぎたい市長陣営のやり取りは見応えがあった。

 

市長が良いキャラしてるんですよ。憎まれ役ではあるし、実際、「誰も海に入らないじゃん、お前行けよ!」とか悪手も打ってはいるんだけど。

 

ただ「皆の前でサメの解剖して死体がでたらどうする?」とか「物証も無しに議会を動かすことは出来ない」とかは、それはある程度その通りで、あと結局海水浴場を封鎖できずに発生した被害者の遺族に主人公が責められた際、遺族を止めこそはしない物の「君のせいじゃない」とフォローする下りなどは、普通に良かった。

 

最終的には自分の家族を危険に晒す事になってしまい、態度を改めるんだけれども、この時に病院に実に気まずそうに入ってくるのもよかった。悪役ではあっても、悪人ではない、最後の一線は踏み越えなかったその塩梅は、見る前の「単なる嫌なやつ」と言うイメージが良い意味で覆された。

 

……ただ、今回の鑑賞に一点問題があったとすればまさにこの点で。

 

……俺、コロナの事忘れたくてこのタイミングでジョーズ見た側面は確かにあるんですよ。

 

……状況が……GoToキャンペーンとシンクロ起こしてて……結果、忘れるには至らなかった……!いやぁ、市長の対応もGoToキャンペーンも、そう易々と正誤は問えない問題ですので、そこの言及は避けますが、しかしあまりにも状況が……。

 

最初に見れなかったのは別に悲劇でも何でもありませんが、この状況で見るのは考え物かもしれませんね。ある意味貴重な経験ではあるかもしれないけれど。