前回「孤独のグルメのお茶漬け回」について書いた際、ふと気になった。
「他のグルメ漫画のお茶漬け回ってどうなってんだ?」
そう言う疑問が湧いた際に「他のグルメ漫画」の代表ヅラをして出てきたのが美味しんぼである。彼は彼で大概変なグルメ漫画のような気がしなくも無いが、何はともあれ美味しんぼ91巻4話、「魯山人のお茶漬け」を読んでみた。
一応ネタバレ注意で。
日本人のマジシャンが「世界奇術大会」に登場しようとしていたところ、「日本の独自色」を出せ、と上から言われ、悩んでしまう。
そこを山岡が古書店で見つけたレシピにあった魯山人のお茶漬けで元気付け、更にはそれが「日本の独自色」のヒントにもなる、と言う話の流れだ。
紹介されるのは全十種の内の三種。
海苔茶漬け、納豆茶漬け、マグロ茶漬けである。
まぁ、どれもこれも手間が掛かっている。
海苔は既製品の佃煮瓶詰めでは無い。板海苔を酒と醤油で煮たものだ。
納豆なんかは刻みネギも入った上に、ほぼムース状で、糸を目視出来ない。
マグロなんてのもお茶漬けの具材としてはいかにも上等であろう。大根おろしまでつけてある。刺身パックのツマとかじゃないんですよ。すりおろすんだ。おろし金洗わねーといけねーじゃん。めんどくせ。
これら全てに茶葉の指定だの、ご飯の温度管理だのを整えてからお出しするわけで、結論としては、まぁ、どれもこれも手間がかかっている。
さて美味い美味いと食べたお茶漬けに、着想を得た「日本独自の」奇術なのだが。
「麺は世界中どこでも食べられます。」
「これはお茶漬け。日本独自のものです。」
……と言う語り出しで、お客様にお茶漬けをつくりはじめるのだ。おぉ、コレはマグロ茶漬け。基本を守り手順通りにしっかりとお茶漬けを作って行く……フタを閉め、暫く待ち、お客様が開くと……。
……なんと!
……麺になっている!
「おやおやお茶漬けをつくったはずなのに麺になってしまいました。」
山岡は言う。
「これは見事!」
栗子さんも言う。
「仕掛けがわからないわ!」
お客様も拍手。無事に手品は終わり、大成功、と言う所だろう。
結局「日本独自」の要素がチラ見せの末に万国共通のものになってしまったんですが、それは良いんですかね。