忍者と極道、「漢契大海嘯(ブロマンス・タイダルボア)」がクライマックスだ。
怪獣医……繰田孔富姐さんにも、また悲しい過去があったのだ……いや、「被害」がクソデカ過ぎるので同情や憐憫はしないというか、した上だとしても帳消しにはとてもできないけども。
そう、被害。被害の話をしよう。
繰田孔富姐さんは何をやらかしたか。「水道の薬物汚染」である。孔富姐さん率いる「救済なき医師団」の手によって、東京中の水道は「麻薬水」に変化。薬物中毒者は暴れ出し、あともう普通に暴れ出す体力もなく「中毒」を起こした人がその辺でぶっ倒れまくる地獄絵図が出来上がった。車の事故は起きまくり、飛行機までも落ちてきて、老若男女薬に溺れるばかりである。マジで何をしてくれてんだ。
当然忍者も例外ではなく、弱体(デバフ)った身体で医師団と戦う事になる。これは前章「幼狂死亡遊戯」で最強の暗殺者集団「割れた子供達(グラス・チルドレン)」と戦った後、万全の状態で「お医者さん集団」と戦い同程度に苦戦しては、少々パワーバランスがおかしくなる、適度なインフレは良いけども 「割れた子供達(グラス・チルドレン)」大した事ねえじゃんとかなるのは困るという事から必要が生じた処置だろうか。個人的には良いと思う。
巻き添えがデカすぎる事に目を瞑れば。都民ほぼ全員……二次被害三次被害まで含めればもう「国民全員」までいっちゃって良いと思います。クソデカですね。クソデカ忍法帖とはそういう意味だったか。
さて。 「怪獣医」繰田孔富がこれほどまでに大きな被害を出したのであれば。その次章……恐らくは「次」に来襲ると思うんですが……まぁいずれ出番を迎えるであろう、「忍殺番長」砕涛華虎は何をやらかしてくれるのか。今回はそれを考えたい。
砕涛華虎とは何者か
「破壊の八極道」……いわゆる本作の「敵幹部」の中で、間違いなく「単騎戦力最強」の漢。恐らくは忍者同様身体能力がカンストしているのか、「地獄への回数券」による身体能力増強が見られない。
その巨体、その身体能力、その技巧を武器として、極道族よりも生物的に上位に位置する忍者すら殺してきた「忍殺番長」。作中でも関西の忍者や呪血の忍者兄弟の父親が犠牲になっている。
……彼の被害に対しては、長、「極道が忍者を殺した」にカウントしてない節がある(壊爺の死を持って「70年ぶりに〜」とか言ってる)のよな……「知らない」ってことは無いはずなんですが。
一般的に「身内」に対してのみ強い信頼を示す極道族の中でもその在り方は若干浮いており、極道主催の格闘大会や、戦いに敗れ後は死ぬのみという同族の敗者であっても、彼の逆鱗に触れたのであれば容赦なくその鉄拳の制裁対象となる。
「ただ強者との戦いを望む」と書くとまるで武人然とした漢の様に思えるし、まぁそういう側面も無いわけじゃ無いとは思うんだけど、正確な表現を期すのであれば、「マジで手段を選ばずにただ強者との戦いを望む」であり、具体的には人質とか全然使う。「俺と戦わねえならお前の子供ぶっ殺すぞ」とか普通にやる。
戦闘能力としては少なくとも現在までに描写されたキャラクターの中で「火力」については右に出るものなし。巨大な爆発を引き起こす「照拳」の威力は、直撃れば忍者すら一撃で死にかねない。
耐久力も並外れている。 「氷帝雷公来駕」や素首への「暗刃」も、普通に耐える。「首を落とされてもなんとか耐える」ならまだ数例前例がある(冷静に考えればそれもどうかとは思うけど)が、そもそも「効かない」のだからどうしようもない。そりゃ効かないなら普通に動きますわ。動いてカウンター極めますわ。
それでいて「挑発」や「観察」などの補助的スキルも使いこなし、総じて「極道陣営単騎での最強」を冠するに相応しい人物だと言えるだろう。
……弱点というか、まぁ……敢えて欠点をあげるとするならば、「あんまり他人のいう事聞かない」ところだろうか。極道さんが真面目に止めれば一旦退避はするけれども、多分「つまみ喰い」は事後承諾だと思います。
あとは「陣営」としての人数は少なめかも?現状明らかになっている部下が推定足立のジョーさんだけなので……マンパワーは少ないかも知れないね。いや華虎さんさえいれば百人力というか兆人力だが、それでも「人数」が必要な場面というのはどうしてもあるんだ。
そんな華虎さんの「悪事」を考えてみましょう。デカいビル崩すとかだとちょっと麻薬水の後だと地味じゃないですか?
「聖域」の破壊者について
華虎さんの本作品での「役割」を考えてみよう。
「極道陣営単騎最強」であるのは間違いないが、もう一つ彼に役割があるとすれば、それは「聖域」の破壊者、という役割ではなかろうか。
「聖域」。「これは安全だろう」という暗黙の了解を得たモノ。
この漫画、「忍者と極道」における聖域といえば……それは「散り際のキャラクター」だろう。
本作の、特に極道陣営のキャラクターの散り際は実に見事なモノである。それぞれの過去がエピソードとして紹介され……ある者は救いを、ある者は答えを得て……そして助かる事はなく散っていく。
そうした散り際に対し、敵対する忍者たちは、ある種の敬意を示していく。まぁ、容赦はしないんだけど。それは全然しないんだけど。それはそれ、これはこれ。炭治郎の鬼に対するスタンスに似てますね。
大丈夫大丈夫、「半天狗枠」というか、生粋のカスの比率は現状かなり低いから。「偉大(グレート)」くらいかな?あと多分相方の「色男(カサノバ)」もか。あいつらはあいつらで特異点よな。
そんな風に散る彼らに対し、忍者たちが「いやお前らはただのカスやぞ」と追い討ちをかけるような事は現状、無い。当然といえば当然だ。勝負自体はすでに済んでいる。首とか飛んでいる。最近はそれでもあんまり油断出来ないが、基本的には喋るしかできない。なして喋れるんでしょうね。
忍者はそんな風に終わった彼らに追い討ちをかけるような事はしない。しないのだけども。
華虎さんはやるのである。
「浸るな!!! 敗北者は疾っ疾と死ねい!!」
(忍者と極道 106話『月光花』)
……「救済なき医師団」の艶道さんが犠牲になりました。まぁ……回想自体は出来たんだけれども……読者視点で完全に「なんかこのあと良い感じに死ぬんやろな」と油断したところを狙う奇襲であった。
コレを重く捉えるならば、華虎さんは「聖域の破壊者」……作品に慣れ親しんだ読者が「この後はこういう流れになるだろう」「流石にこれはやらないだろう」と予想する、その無意識の安全地帯を破壊するモノである、と考える。
描写的にはあり得ない「壊爺以前の忍者殺し」を成し遂げているのも、もしかしたら「時系列的な聖域」を破壊しているということかも知れない。
そこまで来るとメタフィクション能力ですけどね。やっても良いとも思うけど。……でもそれはもっとアイツっぽさがあるよね。
そんな砕涛華虎の成し遂げる「悪事」である。
それは読者にとって、仮に予想したとしても、「いやいや、流石にそれは」と予想を取り下げてしまうモノが相応しいのではなかろうか。
その「裏」モチーフは?
忍者と極道のキャラクターたちは、なぜだか作中作「プリンセスシリーズ」と因縁深い。
極道陣営の登場順や、忍者陣営の退場順は、多くは4代目・フラッシュ⭐︎プリンセス!のそれに対応し、シリーズを通した善悪の対立構造は、そのまま忍者と極道に置き換える事ができる。
「これ少なくとも極道陣営の暴れる順に関してはマジで極道さんの趣味でコレ由来じゃねえか?」とか言ってはいけない。
……それならまだ良いんだけど、むしろ「無意識」でやってる場合が怖いっすね。それはつまり、アイツの影響下にあるのでは……という事なので。
そんな中で華虎は、おそらく「ダイマキシン」なる敵幹部に対応する、というのは単行本おまけページからの情報だ。だがここではそれ以外、「フラプリシリーズ」以外のモチーフがあるのでは、という仮説を元に考えたい。
例えば、「ドクイーン」に対応する繰田孔富に。「ネビュラマン(に登場する怪獣)」がもう一つのモチーフにあったように。
もう一つのモチーフが何かを考える前に、無粋ではあるが示しておかねばならぬ前提がある。
……んまぁ、本当に無粋なんですが。「プリンセスシリーズ」の元ネタは「プリキュアシリーズ」であり、「ネビュラマン」の元ネタは「ウルトラマン」であろうという事だ。
これから俺は未登場の作中作について考える上で、「それには実在作品の元ネタがある」という事を前提にしなければならない。そうしねえととっかかりが掴めねえからな。
つまりは「砕涛華虎に実在作品のモチーフがあるとすればそれは何か」という話である。そんなものが、もしもあるとするならば。
…………連想されるは、「原爆」であるが。
敢えて「フィクションの作品」を挙げるのならば、その代表例は「ゴジラ」だろう。経緯は作品によれど、原爆・水爆を始めとした「核」に対するメッセージとして産まれた怪獣王。
ウルトラマンの後に来てもなんら遜色ない、誰もが認めるビッグネームだ。
エリマキ付けてる奴の話はしてないです。
「ゴジラ」がモチーフであるならば、そのあとに続くは「どのゴジラだ」という疑問であるが……これは物語の中で明らかになるだろう。
で、結局何をやらかすの?
ここまでの話を踏まえた上で、「砕涛華虎はその出番において何をやらかすのか」という点を考えたい。
まぁ単純だ。「ゴジラ」ですら「流石にそれは」となる事を考えてみれば良い。
加えてややメタ的な視点にはなるが、怪獣医が被害の「量」で突出した以上、「量」でこれ以上を狙うと更なるインフレとなりかねない。別ベクトル……例えば「質」で勝負するのはどうだろうか。
そう、例えば。
例えば……つってもゴジラなんて歩くだけで被害が出るような奴が「しない事」……被害を与えないように「避ける場所」なんて……。
……あっ……。
………………いや、流石にあの場所はやらないはず……いや、そういう前提がある場所が一番マズいという話はしたけれども……いやでも、流石に……。……「やる」「やらない」は別として……んー……この記事として……。
……一体何をするんでしょうね!
わかりませんでした!
砕涛華虎の出番を楽しみに待ちましょう!
お前マジで自重せえよ。
まぁあのこれは今までの前提を完全に無視した俺の勘以上の何物でもない予想なんですけど、まぁなんだろうな、ここに書いてもなっていう感じではあるんですが、千代田区にお住みの方はちょっと避難の準備をしておいた方が良いかも知れません。
避難先はどこが良いでしょうかね。俺の私見以外の何物でもありませんけどね、 京都とか良いんじゃないですかね。そっちに実家的なモノがある人はね。観光ついでというか。うん。
……まぁ俺は見てないけどマイナス1.0では被害に遭っているらしいし、あと割と昔の作品でも「直接壊すシーンはないけどめちゃくちゃ近くで大暴れはしている」「歩くだけで放射能バラマく奴がめちゃくちゃ近くまで行ってるんだからまぁ『被害が無い』まで言うと嘘では」らしいので、言うほど「あの場所」はゴジラにとっての聖域ではないと言う説もありますが。