個人視聴順
「ウシガエル」→「クラメルカガリ」→「クラユカバ」→「端ノ向フ」
「クラメルカガリ」
零細採掘業者がひしめく炭砿町…通称“箱庭”。日々迷宮の如く変化するこの町で地図屋を営む少女ーカガリ。“箱庭”からの脱却を夢想する幼馴染ーユウヤ。 昨今この町で頻発する不審な”陥没事故”は、次第にふたりの日常を侵食し始めて・・・果たして、町の命運は、カガリはこの事態を乗り越えられるのか!?困難の先で、少女は今日"ちょっとだけ"大人になるー
(filmarksより引用)
(視聴前)
「地図を書く事を生業にする少女……んー、若干の夕海ちゃん感が……まぁ別作品(別世界観・別監督)だしあんまり成田作品を引き合いに出してああだこうだ言うのも行儀が悪いか……」
(視聴中)
(カガリちゃんが夕海というよりは……ユウヤくんがネジロ……!)
視聴後に原作小説(上映特典)受け取って読んでみたらカガリちゃんも「思ったより夕海ちゃんだな」と思いましたが。
あんまり行儀良くないのはわかっていますけれども……。……まぁでもそれ言ったら伊勢屋とか栄和島とか出すのがそもそも、という話になりかねないし……「もちろん別キャラだけど似てるよね」程度なら、お目溢しいただけるであろう。多分きっとmaybe恐らく。
クラユカバ他監督の作品に共通する「世界観」についてはクラユカバの方で詳しくやりましょう。一言で言えば「大変にツボ」でした。いつも通りキャラ別にやるか。
カガリ
勝手な増築を繰り返し、勝手な増築故の崩落もまた繰り返される箱庭において、ただその地図を更新し続ける少女。上で夕海ちゃん(霧野夕海・越佐大橋シリーズ 「廃島」の地図を作り続ける少女)の話が出ましたが、「現役で人が住み続けている街である」、「人口自体は割と多く、恐らく世界観全体で見てもどちらかと言えば賑わっている部類の街である」、「今なお地下の掘削が続いている」などなど考えると……もしかして夕海ちゃんの地図より需要や更新頻度は高いのか?
「ひと月保つか怪しい渡し板」とかも書き込んでたから、「納品直後に買っても違う部分が存在する」とかありそうで怖いぜ。
- 細かい部分が違う分には日常茶飯事なのでクレームとかはそんなにつかない
- 「崩れやすそう」等注意書き付きで書き込んでいる
- 長年の生活の勘で「アレはそこそこ保つ」と判断して書いている
- 使用頻度・利便性など考慮し「今は崩れやすそうだけれども、場所的にはなかなか良いので数回の補修・補強を経て『道』となるだろう」等見越して記入している
……色々考えられますね。最後とかも全然あり得る。地図屋としての経験、町の地理における認識能力、そして愛着……これらは誰にも負けはしない。とっさの道案内であんなにも詳しく周囲を書けるんだから大したもんだ。俺にはとても出来ない。
そんな「誰にも負けない特技」はありますが、基本的には優しく素直な良い子です。良い意味で力が抜けているというか、どことなくゆったりとした話し方が印象に残りました。見終わった後で思うに、この若さで既に「自分が人生ですべきことはこれである」という軸をハッキリと得ていたから、変な気負いというか、これから頑張ってそれを探すんだ的な熱意が外に出ていなかったのかな、と……その辺りもユウヤくんとは対照的な。
そしてそれはもちろん熱を持たない事を意味しない……内に秘めるは確かな目標、または熱意。どこまでも地道にコツコツと、彼女は今日も街を書き続けるのでしょう。
お母さんだったり顔のキズだったり深堀りできる余地はまだ残されているので、今後も監督の作品に出番がありそうだと思ったり。箱庭に来る人、迷う人、去る人がいるのなら、そこには彼女の作品がきっとある。
ユウヤ
仮面ライダー鎧武、実はちゃんと見たこと無いんですけれども、虚淵さんが「仮面ライダー」という子供をメイン視聴者にした作品で悪役に吐かせる台詞として、これはすごくいいなぁと思っています。
そんなわけで敢えてこの作品の「黒幕」が誰なのかという話をするならば彼、という枠に入ってしまったユウヤ君。まぁ「黒幕」にはあくまでもされてしまったというか、脅されて協力していくうちになし崩し的に……みたいな流れだったとは思いますが。小説版では一応その辺りもフォローされてはいたし。
勿論本人にも悪気というか、過失はあったので「完全な巻き込まれ」ともまた少し違うし……町の被害がある程度大きくなった原因である事は間違いないので、ある程度の罰は受けるべきでありましょうが。
個人的には「戻ってきてから」が真に大変なような気もする。栄和島さんの好感度とかも決して高くは無いだろうし、伊勢屋も多少はネチるだろうから……その辺り含めて「今後の話」が作りやすそうなのはカガリちゃん共々良い事か。本家2人から嫌われるよりは全然マシだし。
上でも書いた通りかなりネジロくん係数が高くてね……「閉鎖空間からの脱却を望む」その性質だったり、その為に割と手段を選ばなかったりする事に由来しているのかなと思う。「最悪の状況」については割と予想が付いてしまった部分はあるか。
……告白失敗→取引失敗→「ムシヨケ」偽物だと判明、の流れに「筆の乗り」を感じ、落下するかしないかの流れなどはかなり危機感を持って見る事が出来ましたが。死にはしないと思うけど、「以降の巻でも引きずるレベルの怪我」は、割と……。
声優さんはアニメ版DMDPのポルカ君(ポルカ君では無い)。けれどもパンフレットで見るまで気付きませんでした。色んな意味で背伸びした感がポルカ君と違う味を出していた、のだろうか。ポルカ君は背伸びとかそういう段階の話ではなかったからね。「まず周りの平均身長を調べてみよう」の段階からはじまった人である。百矢に会うのがちょっと早かったかもしれない。奴は平均身長の認識をバグらせる。
「外に出る」という所で止まらず、「外に出てこれをやる」という所まで考えて、そのついでに「この取引本当にうまくいくんか」とか考えることが出来れば、違うルートもあったかもしれませんね。
あとは嘘喰いを読もう。取引の机上に立つには相手と同程度の「暴」が必要になるのだよ。少なくとも敵が「暴」をチラつかせて来た際の抑止力は用意しておくべきだったな。
小説版のカガリちゃんの名前を回収するくだり良かったよ。
口縄爺
メカニックおじいちゃん。
本作……クラユカバも含めてか、なんならこの監督の同世界観の作品のメカデザインがかなり好きなので、俺からの好感度がかなり高い。
シャープな流線形のデザインだったり、あるいは人間工学?的なデザイン論に基づく機能重視なデザインも好きではあるんですが、こう……「直角と直線、たまに円柱」からなる無骨な……敢えて言えば「玩具感」のあるデザインからしか取れない栄養素もあるのです。
お爺ちゃんからしてみれば兵器とか義手のデザインに玩具感を求められても困るだろうけどな。いや、「ウシガエル」については鼠取り機だが。鼠取り機だって言ってんだろ。
「カマドウマ」とかなぁ……欲しいよな……何に使うかはさっぱりわからんが。普段使いには軽自動車の方が絶対便利ではあるが……だがしかし多脚メカには浪漫がある。
そんな口縄さんの過去のやらかしについては……これは「ウシガエル」の項で書こう。
孫娘のササラちゃんも可愛くて良かったです。オブジェ起動シーケンス、大役であった。
でも「鍵としての機能に重きを置きすぎていないか、義手としての利便性が犠牲になってはいないか」という点に関しては一度頃合いを見て話し合っておいたほうが良いかもしれない。
まぁ本人が不便でねえなら別にええとも思うけれども……。
伊勢屋・栄和島
どこかで見た事があるような二人組。外部出演というよりは、スターシステムが近いだろうか?「同じ顔の別人」であり、それ以外の何者でもない。
アルトリア・キャスターと本家アルトリア……にはわずかながらに土地柄の縁があるからそれよりも遠いか。沖田総司と本家アルトリアの関係です。マジで全然何の関係もない、「似てるだけ」の人。慣れてる人が見たら「いうほど似てるか?」となるかもしれない人。まぁ似てはいるよ。
言ってしまえばデュラの2人……とは何の関係もないんですけれども、敢えて関連づけるのであれば、あの2人がこのレベルでなんというか「前向きな関係」になる様に世界線のリセマラを繰り返すと、「池袋」……というか日本・世界全体が諸々のバタフライエフェクトの影響を受けて、世界観自体が「こう」なってしまう、というのも一つの見方ではあるだろう。犯人は狩沢さんだと思います。
とは言えそんな事を気にせずとも、2人とも単独で「良いキャラ」だったとは思います。
伊勢屋さんの「危ない事すんなよ。まぁ止める権利はないけどすんなよ。あそこに行くのは危ないからな。まぁ止める権利はないけど行くなよ」な距離感とか、栄和島さんの頼れる兄ちゃん的な空気とか良かったです。
伊勢屋は臨也よりやや優しく、栄和島は静雄にやや社交性を足した感じ……その分「煽動能力」と「戦闘力」がそれぞれ少しずつ減った感じ。多分そんな感じ。
臨也は「行け」という意味を込めて「行くなよ」と繰り返し、静雄はアブラムシを普通にひっくり返しにいく。「実弾」は毒属性武器である。死にはしない。
他にもシイナさんや飴屋さんなど、いろんなキャラが魅力的でした。飴屋さんのあれこれで気が付いたんだけれども、俺はどうやら犬張り子がデザインとして割と好きなようです。そういえば戌亥とこさんとかも好きだった。シイナさんと伊勢屋の過去とか気になりますね。なんだろうね。臨也と写楽美影みたいな過去じゃないかと思っている。
わからないんですね? そうですね。
……いや、「しっかり描くとめちゃくちゃ暗く、重い感じの話になる」空気はなんかするよね。
「クラユカバ」
「はい、大辻探偵社」紫煙に霞むは淡き夢、街場に煙くは妖しき噂…。今、世間を惑わす”集団失踪”の怪奇に、探偵・荘太郎が対峙する!目撃者なし、意図も不明。その足取りに必ず現る"不気味な轍"の正体とは…。手がかりを求め、探偵は街の地下領域"クラガリ"へと潜り込む。そこに驀進する黒鐵の装甲列車と、その指揮官タンネとの邂逅が、探偵の運命を大きく揺れ動かすのであった…!!
(filmarksより引用)
世界観
今回視聴した作品に共通する「世界観」について。
なんぞ細かい部分はファンの考察とか覗いて見たので俺の記事がオフィシャルなものだとは思わんでくださいね。
かなり昔に石油が枯渇して、代わりに石炭・亜炭が豊富に見つかりそれが主なエネルギー源となり……そんな具合にスチパン風味の世界となった日本ならぬ「大帝都」が舞台の作品群。
採掘の果てに得体の知れぬ地下世界、「クラガリ」が出来上がり、おまけに闇の果てからなんか変なのも湧き出る始末。そんな世界でわぁきゃぁする人たちの話です。
ただ敢えて世界観全体ではなく、「クラユカバ」という作品について、難点というか、「そこも俺は好きだったけれども、嫌がる人も居そうな場面」を言うのであれば、1から10まで全て開示するような作風ではない、という点だろうか。
それだけなら他の名作もあり、「そういう作品もあり、そういう需要も確かにある」で話としては終わることが出来るのだけれども、そうした作品群と比べても、作中でしっかり回収する割合としては、結構「低い」部類に入ると感じた。
例えば今回、「クラユカバ」に関していうのであれば、事件自体は一応解決する。集団失踪事件で失踪した、多くの人は帰って来る。謎の轍についても、まぁ、一応は「これを使った痕なんだろね」的な装置は出てくる。出てくる、が。
しかし「帰ってきた人たちなんか様子おかしかったけど大丈夫なのかアレは」であるとか、「結局犯行グループとしては取り逃がしましたよね?」であるとか、「あんな装置犯行現場の路地裏で展開出来なくないですか」であるとかの疑問は残る。タンネ(彼女については後述しよう……『彼女』なのはとりあえず良いのか?)の正体は結局パンフなど購入しても明確にこうだとは示されず、あと……これはマジメに怒る人が居るかもしれないところなんだけど、今回物語にいかにも深く絡んできますよというキーワードであった「クラガリ」についても、実はその詳細は謎である。
というか今回、クラガリには実は潜っていない。「地上の人間から見れば十分にクラガリ」ではあるのだけれども、タンネさんに言わせればその箇所は「クラベリ」と言われるそうで、なんというか「深層(アビス)に至る物語!」だと思って「メイドインアビス」を見たら、オーゼンさんの手前辺りで「帰ろう」となったような肩透かし感は確かに少し感じた。
個人的にはそれもクラガリの得体のしれない感じをつけさせ、それこそメイドインアビスの絶界行(ラストダイブ)じゃないけれど、「簡単は行けないし、行くべきではないし、もし行くのであれば戻れない可能性が十二分に高い場所」というイメージを付けさせて良いじゃないか、とは思うので、俺の評価方法では、どちらかと言えば加点要素なのですが。
一応予告などでもタンネさんが「クラガリはもっとヤバい(=このくらいじゃクラガリとは言えない)」的な事を言ってはいるし。
……まぁ、同時にあのセリフがフラグっぽさというか、そこから「じゃあもっとヤバいクラガリを見てみましょう!」の前振りだと思うのが「普通」じゃないかよ、みたいなことを言われたら「そうかもね」とはなってしまいます。一応ヤバさの質が別ベクトルの相手の前振りみたいな事にはなっているんだけれども、「アレ」もクラガリで通用するのか……若干微妙の感がある。
ともかくそうした「全部見たとしても不明な点」が結構多く、またその不明点についても「考察すればわかるよ」みたいなレベルではなく、本当に現状では「不明です」で終わってしまうような点である、というのは……先に知っておいても良かったかもしれない。「端ノ向フ」とか先に見ておけば良かったかな。いやぁでも、アレは後で書くけど、後で見た場合は後で見た場合で楽しみ方があるので……。
荘太郎
うだつの上がらぬ探偵。なじみの情報屋(子供)に、迂闊にもクラガリの情報収集を依頼したところ、なんとその子も行方不明に。……その際の落ち込み具合がまぁ印象的でした。悪い人ではねえんだ。
事件を追ううちに、かつて行方不明になってしまった父につながるヒントなど得ながらも……恐らく、余程の事がない限りは、もうクラガリに自分から潜り込むようなこともないのではないかというのが、俺の見立てでありますが。なんだろうね、こう、「日常」の空気が強くある。少なくとも、事件も何も依頼を受けていない時に隙を見つけて父を探し……みたいな話にはならないんじゃないだろうか、と思う。
……酷な話にはなるが、恐らくもういなくなってからの方が長いからなぁ。子供なら「母を探して」的なメイドインアビス展開もあっただろうが、もはやいい大人である。……なんか今回の記事メイドインアビス成分がちょっと高いな。狙ったわけではないんですけどね。
そういう過去の事件とは、「そういう事もたしかにあった」、で終わっている感がある。それが良いとも悪いとも言う気はないけれど……それが「終わっている」事を示したのが、あの活動大写真破壊だったと思っている。これからも基本的には地上の人々を助けて回るのだろう。そんな「日常」の空気が良く似合う。
基本的には。
……それはそれとして、「報酬がめちゃくちゃ良い」であるとか、「依頼人がめちゃくちゃ困っている」だとかした場合には、まぁなんだかんだと嫌がりつつ、身の安全を優先しつつ、クラガリに潜っていくのではないか、とも思う。「お人よし」属性もかなり強そうなので、仕方がない。
タンネさんとの掛け合いとかも良かったですし、縁はなかなか切れるものでもなさそうだ。
タンネ
彼女は「何」だったんだろうか。一応「こういう人です」「こういう特殊技能があります」「今はこれをやっています」という情報は提示されるけれども、それぞれをつなぐ情報がやや抜けている。
パンフレットを見るに、半ば意図してのことのようであり、個人的にはその不明瞭な部分が作品の妖しさによく似合っていて、私は良いと思う。
正体が判然しないとはいうものの、手掛かりのようなモノはある……というか、「昔見世物だった」はひとまず確定として良いところか。そこから何がどうなってか、現状は装甲列車の車長さんである。
ダウナーな雰囲気でそのくせ割と煽り口調なところがツボにハマりましたとさ。予告編の時点では無表情キャラかと思いきや、案外表情豊かだったり、そのくせダウナーな雰囲気なのは間違いなかったり。
作中恐らく最も「クラガリ」に近い人物として、そのミステリアスさ加減が良い味を出していました。もし続編や他作品への出演があるのなら、そこでもまた違った顔を見せていただけると幸いです。
電車関連の人だとトメオミさんも良いですね。その風貌でバリバリの戦闘職なのか……。
前日譚としてのウシガエル
「なるほど、鼠(とワンちゃん)と鼠取り戦車の追いかけっこ……『トムとジェリー』をレトロスチパン日本風世界でやってみよう、という試みだろうか?」
↓
「……結構エゲツない被害が出ていたらしいな……」
……いや道中で結構な爆発とか火事とかが起こっているのはなんとなく見えてたんだけど、こう……追いかけっこのキッカケというか、始まり方がすごく軽いノリで始まったので、その軽いノリのまま爆発や火事が発生し、こう……アフロになる感じのやつで終わったのかな、と思ってしまっていた。
……最後はなんかいい感じに収拾がついたように見えていたんだけれども、どうも道中では普通に爆発や火事が起こっていたようだ。ササラちゃんは負傷して、命を落とした人もいるかもしれない。
「軽いギャグみたいなノリで始まって、気がついたときには大惨事」というのは個人的にツボである。現実では……これは大変困った事になってしまうのだけれども、架空の物語の中でなら、安心して楽しめる。
どう考えても、「業務用にしてもネズミ駆除機にこのサイズは持てあますだろ」という感想が出てきてしまうけれど。……あの、もしかしてコレ、兵器の試作品か何かを流用して……
……ウシガエル、またその派生品はネズミ駆除器である。
欺瞞は一切ない。断じてない。
俺の視聴順だとこう明るくホンワカした物語なんだろうなぁ、という印象から口縄爺さんの回想に至った際の破壊力・ギャップが大きく感じる事が出来ました。クラメルカガリの前に見る……方が良いかな。後だとどうしても「ササラちゃんの怪我は確定だよな……」みたいなのがチラついてしまうので。
後日譚としての端ノ向フ
クラユカバ本編鑑賞後に視聴。今回見た中では一番「おどろおどろしい」というか……タンネさんのいう所の「妖妖しい」がしっくりくる作品でした。多分一番「クラガリ」に近い作品……なのだろうか。なんなんでしょうね、あの活弁師。要注意人物……あるいは奴自身がオブジェクト……。多分メタフィクション系の現実改変能力。物語階層構造とか概要に出てくる奴。内容はほぼ研究員の私的なメモ書き。
今回「クラユカバ」鑑賞後に見た影響もあってか、特に「後日談」的な見方をしてしまいましたが、その見方だとまぁ本当になんと言うかバッドエンドルート。
恐らく荘太郎の情報収集パートで判定を何回か失敗すると、あの子も恐らくは危なかったであろう。「子供だからセーフ」とかはあんまりない感じ。むしろ子供の方が危なそう。
民俗学的(?)な知見のある人とかが見るとまた違った発見があるみたいです。
「クラユカバ」前に見ておけば「このくらいのジットリさ加減で終わる事は全然ある世界観だよ」という心構えは出来たかも知れない(ジットリさ加減、と言う表現もあまり良くないのだが適切な表現がすぐに出てこない。「ハッキリしなさ」「解決しなさ」……?)のだけれども、しかしその場合クラガリ、あるいはそれに類する場所が「怖くなり過ぎる」んじゃないかという気もするし、何より俺は後に見たのでこの話はここで終わりなんだ。
私見だけれどもクラガリを怖がり過ぎる、怖いだけの場所だと思うのも、これはこれでかなり勿体無い事だとは思うので。伊勢屋さんも小説で言ってましたが、それが救いになる人も、まぁ居るには居る……いやかなり碌でもない場所ではあろうが……。
……クラガリは概ね「インターネット」概念に置き換えることが出来る……?
インターネットに深く関わった人ほど「インターネットに惹かれるな」って言うからな。俺もディープウェブとかそういう方はやめといた方が良いと思う。クラベリで暮らそう。充分に危ないから気をつけよう。
やめられるならやめるに越したこたねえかなとはうっすら思う。
いずれの作品も和風レトロなオカルト混じりのスチパン世界が好きな人は見て損のない作品群だと思いました。監督の今後の作品群も、楽しみです。