節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

マジカル⭐︎ステップ!京極堂⭐︎リンボ!

FGOにおいてアルターエゴ・リンボ……蘆屋道満が実装された。

 

FGOを知らん人の為にドラえもんで説明すると、劇場版やTVスペシャルに3、4回くらい出てきたキャラクターで、出てくる度に他の学校の人たちを扇動して、のび太と殺し合わせるわ、出来杉くんを唆して、暗黒管理ディストピアを作り出すわ、やりたい放題のキャラクターである。アルターエゴは職業みたいなもんだ。リンボは、まぁ、芸名みたいなもんだ。

 

そんな極悪非道な奴が、今度の劇場版からは味方になるらしい。まぁ悪い奴なだけじゃなくて、色々と愉快な奴なんですが、その愉快さを上回る被害を常にこちらに出してきただけに、どの面下げて味方になるんだと盛り上がっておる。アイツに改造されて実の子供と殺し合う事になった人とか居るんですよ!俺のカルデアにはいねぇけど。

 

さてこの蘆屋道満、戦闘中にスキルを使うとドタドタと足踏みをする。力強く足踏みをする。蘆屋道満は身長が2m、体重は110kg。スキルモーション時の足音も、納得の音量である。思わず聴きたくなり無駄に使ってしまう事もある。そうすると、邪悪に光るだけだったりするのがリンボらしいが。

 

 さて、このドタドタは恐らく、反閇、禹歩であろう。多分。横からだと足運びが良くみえないけれど。

 

俺はコレをとある本で読んだことがあったので、少し興奮してしまった。

 

 

 

 

 

そう。魍魎の匣である。部屋を掃除して、探したんですよ。誉めて。

 

 

「そうは行かない。あなたも確乎り古の作法を弁えている。寺田さん、あなたも踏むでしょう? 反閇を」

「へんばい?」

兵衛の額に狼狽の色が注す。

「あなたはなんと教わりました? へんべですか?それとも禹歩かな?そもそも名前を聞いていないのかな?」

 

(中略)

 

「天武博亡烈!」

木張りの床は善く鳴った。

「これが五足反閇。九足反閇ならば」

臨兵闘者皆陣列在前、と九字を切るときと同じ呪文を唱えて床を踏み鳴らした。あの、鳥口の録音した、どんどんと云う音はこの動作なのか。リズムも善く似ている。

「これは、陰陽道や呪禁の法術で、悪い方角を踏み切る力を持つ、魔術的踏切(マジカルステップ)です。あなたのはこれに似ている。この辺は寅の位置だから丁度いい」

 (魍魎の匣 p780-781)

 

……これはまぁ、「本物でない」霊能力者の理屈の合わなさを指摘する場面で、この後も10P以上続く。

 

個人的に京極堂のシリーズで一番面白いのは、京極堂が蘊蓄を長々と喋っているシーンだと思っているので、この場面はなんとなく印象に残っていた。もちろん要因はそれだけではない。マジカルステップ、なんて感じの熟語に横文字のルビを振るのも、このシリーズではあまり他にはみられないからだ。パッと他に思いつくのはフェミニストくらいか。

 

「君は––女性崇拝者(フェミニスト)なのか?」

「勿論僕は女権拡張論者(フェミニスト)ですよ」

中禅寺の回答に増岡は、人は見掛けによらぬな、と云って納得したが、二人の会話の間には少なからず齟齬があるように益田には思えた。

(絡新婦の理 p439)

 

……印象に残っているのはこの辺りで、実際そんなに絶対数は多くないと思うのだけれど、この場面のちょっと……5行前くらいにもあったわ。「その熟語でその横文字を振るのか!」みたいな文章が。でも荒れるの怖いからやめとこ。この場面ですらちょっと怖いんだから。気になる人は自分で読め。

 

このシーンも「同じ読みで違う意味になる」演出として良く出来ているが、やはり魔術的踏切(マジカルステップ)の方が印象には残る。こっちは意味合いとしては別にルビ振らないで良いですからね。シリアスな真相解明シーンでいきなり出てくるギャップもあるだろうか。

 

一方でこの表現(長々とした漢字の熟語に横文字のルビを振る)に出会い、ときめいたのは間違いなく型月の影響。ブラックバレルの発射演出とか、機神の役割だとか、直近のFGOでも容赦なくツボをついてくる。

 

こうした相互作用を今後も大事にしていきたいですね。

 

そんなことを考えながら「なんか鬼灯の使い道が欲しいなぁ」と適当にガチャ回していたら伊吹童子が当たりました。やったぁ。

 

京極堂シリーズに関しては「初見」から文庫に入るにはやっぱりその厚みでひるむ人も多そうなので、まずは漫画版から入るのも良いんじゃないでしょうか。読みやすいので案外文庫もイケるけどね。ページを跨ぐ文章が、基本的に無いんですよ確か。最近の版だとどうなってるか知らんけど。