節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

俺は泣いたよ!「五大湖フルバースト」

ポンポさんの映画を見ましてね。

 

「それとさ……泣かせ映画で感動させるより」

「おバカ映画で感動させる方がかっこいいでしょ?」

 (映画大好きポンポさん 漫画版 17P)

 

こんな台詞がありまして。

 

まぁ、これはこれで色々と、賛否ある発言だとは思いますよ。泣かせ映画で狙い通り泣かせるのも難しいんだよ、とか、おバカ映画で感動するのは多分どこかズレた感性のお客さんだけじぇねえの、とか。反論は浮かぶし反論の反論まで浮かびますが。

 

ただまぁ、そういう理屈より先に立って、俺の脳裏に浮かんだのは。

 

五大湖フルバーストの話してる!?」

 

というものでした。

 

していないと思いますね。今落ち着いて考えたら。

 

 

……まぁ、こんどは五大湖フルバーストが果たして【おバカ】映画……ないし【おバカ】漫画であるかどうか、という話になってくるんですが……。

 

……いや、メカになった横綱が「八艘フラーイ」と言いながら対戦相手を抱えて飛び、空中で放り投げて土俵に落下、爆散させる漫画はおバカ漫画だな。

 

はい!ネタバレ注意

 

 

【近未来、アメリカの国技は“相撲”となっていた!全米相撲の聖地デトロイトで“技の横綱”と称賛される力士・五大湖は、ロボット科学者ドクター・グラマラスの甘言に乗り、その肉体を機会へと改造されてしまう。全身を最新鋭の重火器で武装し、土俵で殺戮を続ける機獣と化した五大湖を斃すため、石像となり眠っていた“角界の守護神”伝説の横綱が…………甦る!!あらすじを書く側からしても、正気でそんな漫画が存在するとは思えない怪作にして大傑作。異論は認める!(特別寄稿/ヤスダスズヒト)】

上巻カバー裏面より引用

 

まず五大湖フルバーストがどういう漫画なのかというと、本当にあらすじそのまんまなんですよ。

 

メカになった横綱、『五大湖』が「相撲の概念存在」たる『伝説の横綱』と戦うんです。

 

『伝説の横綱』は明らかに概念系のサーヴァントで、恐らくは歴史上の数々の力士の偉業、または彼らへの民衆の尊敬、信仰が形を為した存在でしょう。明らかに「ただの人間」ではない。

 

だってアイツ、「壁」に居たもん。「壁」に飾られていたオブジェに相撲式三種の神器を用いた「復活の儀式」を行うことで、3日の後に復活を果たしたのが『彼』である。恐らくクラスはルーラーだ。「神の依代」であるとされる『横綱』の伝説をベースに、擬似的に「救世主」を降ろしたのであろう。

 

離せ!俺は正気で本当の事しか言っていない!……マジでFate関連用語以外は本編そのまんまですよ!壁の石像に三種の神器で復活の儀式をしたら三日後に出てきたんだ!

 

……一方の「五大湖」は、これはこれでイロモノである。

 

五大湖は伝説的な横綱だ。『伝説の横綱』のような概念存在ではない。実在する伝説なのだ。その強さは確かだが……実在するが故の苦労も、多々、存在する。

 

原因不明の病により弱り果て、子供との関係はうまくいかず、周囲からはもはやロートル扱い。そんな失意のどん底に沈んだ彼が出会ったのはドクター・グラマラス……。相撲を「貶めよう」とする彼女の誘いに乗り、五大湖は心なき殺戮相撲マシンとなってしまう……!

 

……そういう、割とシリアスな流れでロボットになったんですよ?そんな目で見ないであげてください。

 

そういう、割とシリアスな流れで、空を飛んで相手を土俵にポイ捨てしたり……、あるいは、猫騙し(閃光による目潰し攻撃)からの四十八手ミサイル掃射を敢行するマシンと化したのだ。

 

……本当にそんな目で見ないであげてください。でも「こんなの相撲じゃねえよ!」という反応は、ある種正しいものではあるんだよなぁ……。

 

ともかく、そんな『伝説の横綱』と『五大湖』が戦う話だ。それが「五大湖フルバースト」だ。

 

俺は泣いたよ!

 

笑いすぎたとかでは無くて、割とガチで泣いたよ!

 

取組が始まってからはそりゃあもう息もつかせぬ怒涛の展開ってやつなんですが、敢えて好きなシーンを「場面単位」で1つ取り上げるとするならば……。

 

五大湖とその息子……長年続いたすれ違いで、冷え切った親子関係のこの2人……それを息子が乗り越えて、五大湖に「言葉」を送るシーンでしょうね。

 

見開きでごくごく短い、10文字にも満たないような「メッセージ」を送るんですが、コレが実に……!なかなか次のページに進めませんでしたねぇ。

 

……ネタバレに配慮するとどうにも不穏な文章になるな。いや、「言葉」はすげぇポジティブなモノですよ。冷え切った親子関係に対する恨み言をついに……!みたいなものではない、すごく……勝負しているその最中には、ありがたいモノです。

 

……だからこそ、ページを捲るのには、すごく気力を要したのですが。いやぁ、良いシーンだった。本当に。Perfect Communication!

 

……下巻収録、「両国リヴァイアサン」も良かったです。漫画史上、最も清々しい「八つ当たり」でなかろうか。その怒りは、正当に晴らすべきでは無いのだから。

 

力づくで感動させてくる、カッコいい漫画ですよ。五大湖フルバースト。未読の方はぜひ一度、ご覧ください。

 

力士が力づくで来るんだから、そりゃあ勝てるわけねえんだよな。本部も負けるんですよ?俺も負ける。当然の帰結

 

……本部のアレって結局シンプルに凡ミスだったんですかね?