節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

#成田作品ワンドロ 「世界の中心、針山さん」 俺好みの短編3選

今回の成田作品ワンドロ、世界の中心、針山さんは短編集だ。

 

短編集は、読みやすい。良いですね。

 

そんなわけで今日はその短編集の中から1巻1つずつ、俺の好きな物を選んでいこうと思います。本当にまっさらな気分で読みたいという方は、ネタバレ注意です。作品のオチとかには触れないつもりですけれどもね。

 

 

 

 

 

 

 

としれじぇ

 

 

1巻に収録。ジャンル、「都市伝説」。

 

都市伝説、ベッドの下の斧男。部屋に潜む殺人鬼。気づいた少女はなんとか少年と一緒に部屋から出ようとするけれど、なぜだかうまくいかなくて……少年少女、そして斧男に纏わる悲喜劇。人の心を動かすものは、「笑える悲劇」と「泣ける喜劇」よ。

 

「針山さん」は何でもありの短編集なのですが、その「1話」として実に理想的な話だったと思います。基本的にはドタバタコメディだ。ただしヤクザが出てくるし血が流れるし家はちょっと焼ける。為してそんな事になってしまったのやら。

 

Aside「斧男の悲劇」とBside「斧男の喜劇」から構成される2本立て……2つを繋げて読みましょう。一応悲劇は悲劇だけ、喜劇は喜劇だけで、終盤以外は成立するようになっているけれども。

 

針山さんの他の話にも登場する「都市伝説カップル」はまぁなんというか普通にカップルしていて良い……もしかして成田作品で最も「普通のカップル」は彼ら彼女らになるのだろうか?男女どちらにも名前がついていて、短編とはいえ1つの話で主役級の活躍を貰っている、という縛りなら可能性はあるか。

 

普通のカップルも家燃やしたりすることはありますよね!多分!

 

あとはBsideで「喜劇」を味わう事になる「彼」とか好みですね。なんというか……等身大のしょうもなさがある。そんな等身大のしょうもなさでしょうもない事をしようとしたら、まぁあんな事になっちまったわけですがね。開幕から明らかに自棄になっていて、はた目から見ている分には面白い。はた目から見ている分にはね。

 

お前単騎でスターリン超える気なの?収容所に送った人数をざっと調べたら1800万人とか出てきたぞ。

 

あと本当にどうでもいいんですが「多摩川のアザラシ」についての記述があって、そんなの居たなと思い出したり。結局どうなったんでしたっけ。帰ったのか?

 

 

 

37564人目の悲劇

 

 

2巻に収録。ジャンル、「雑魚戦闘員」。

 

ヒーローに容易く倒されて、販促の役にもたちゃしない賑やかし。そんな雑魚戦闘員の中に、一人だけ紛れ込んだ最強戦闘員……No.37564。巨大ロボすら指一本で討ち倒す、販促の役にもたちゃしない雑魚(最強)戦闘員は、果たして何を思うのか。

 

ナリタバース全作品最強ランキング、不動の1位、堂々のTier1。No.37564。場合によってはちょっと時間はかかるけれども、どんな相手も攻略するぞ。ぶっちゃけ「現段階」のスペックだとしてもブン殴ると大体沈むぞ。

 

倒すのに特殊なフラグ立てないといけないケースがちょっと面倒なんですよね。力業で解決できるならしてしまうし、正直「老い」みたいな概念からも無敵なので、最悪寿命勝ちを狙えばいけますが。

 

最強キャラなんですけれども、「周囲の人々」は無敵じゃない……だから色々苦悩もあるのです。価値観というか精神的には気のいい兄ちゃんなんですけれどもね。

 

ハナカマキリ怪人のシルクさんが可愛い。

秘密組織クロック総統、ワン・デイ・タイラント、時平有紀くんも可愛い。

 

37564さんの素顔はチラっとしかうつらねえのよなぁ。

 

 

 

なよ竹の姫君は伝奇パンダの夢を見るか

 

 

3巻に収録。ジャンル「御伽噺」。前後編。

 

疑りぶかい少年が出会ったのは、言ってしまえば「かぐや姫」と、あとパンダ。出会ったってのは誤解を招く表現だった。パンダは前から知り合いだった。そんな少年少女のボーイ・ミーツ・ガール!少年もただの少年じゃなくて忍者の末裔だったり、あと某国の陰謀とか絡むけれども、そんな事よりボーイ・ミーツ・ガールだ。青春だね!

 

お話の初めは2358年の銀河系から始まりますが、「むかしむかし」の話……つまりは現代(2010年代ですけどね!)になるのでご安心だ。忍者の末裔、霊雪人(みたまゆきひと)とかぐや姫のカグヤ……その出会いや関係の進展も良いんですけれども、俺がこの話で一番好きなのはフロスト主任です。なんなら針山さんキャラの中で一番好きかもしれんね。

 

チンピラ然としていて実際チンピラみたいな奴だが、それでも……まぁ言ってしまえばアメリカの「機関」でそこそこの立場を得ている人物だ。文句をぶうぶう言いながら、長期戦が必要ならその構えを取り、搦手を使う事もまた辞さない。その職務に対する「覚悟」は、己の目を一時的にとはいえ潰す事を即断させるほどである。いや、文句はぶうぶう言うんだけれども。多分こう書いて想定する2倍くらいの量ぶうぶう言うんだけれども。

 

黒服の話とかにも出てくるし今後も出てくる予定自体はあるようだから、また彼の文句を聞きたいです。そこそこ優秀な人なのは確かなのだが、左遷先みたいな扱い受けてるのもまた確かなのだよな……。部下の人たちは身体に気を付けてね!

 

カグヤちゃん(っぽいキャラ)は実は1巻の表紙にいたりします。この辺りは後書きで。麗蕾族……!

 

そのほか

 

もちろんそのほかの作品も名作揃い。どれか1つは刺さる作品があるでしょう。特に1巻・2巻の「それぞれの短編すべてを繋げた作品」……1巻「奇跡の中心、針山さん(ジャンル:メドレー)」と2巻「柏木クロスの真っ赤な死(ジャンル:戦隊ヒーロー)」は珠玉の一品。ぜひとも読んでいただきたい……!

 

ここで紹介するべきだったのかもしれないが、「この短編からこういう要素を抜いて」「ここはこの作品がもとになっていて」とあちらこちらに飛ぶので、実際読んでいただくのが一番手っ取り早いのです……!

 

多分後悔はしませんぜ!

 

「物語の繋がり具合」なら「奇跡の中心、針山さん」、「キャラクターの魅力」なら「柏木クロスの真っ赤な死」ですかね……!