節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

炬島のパンドラシャーク(下) 読書メモ・感想

 

己の存在は希望か災厄か。最凶は捕食し進化する――。
「人食い鮫ヴォイド」が死の直前に産み落とした遺産――“カナデ”がついにその姿を現した。
カナデはサメとは思えない驚異的な知能と戦闘力で己の存在を狙うテロ組織『カリュブディス』の敵を次々と喰い殺していったが、人間の域を遙かに超えた強さを持つ女傭兵・イルヴァとの激闘の末に敗北する。
瀕死の重傷を負い、海に流されたカナデ。しかし、流れ着いた先でのある少女との邂逅により、物語は一気に動き出す。
己の正体は希望か災厄か。その答えを求め、最凶は捕食し進化する――。

デュラララ!!』『バッカーノ!』著者・成田良悟が放つ究極の“B級サメ小説”ついに完結!

(炬島のパンドラシャーク(下) カバー裏より引用)

 

はい、そういう事で炬島のパンドラシャーク(下)の感想というか読書メモです。

 

上巻……の感想を書いていませんでしたね。ネット連載時……1から2話、3話くらいの段階で書いた記事はこちらになります。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

zattomushi.hatenablog.com

 

 

上巻はこの間読み直したので、そのログを近日中に……そちらが終わったら、上下巻まとめての感想を書こうかな、と思っています。この記事では新刊なので、Fake最新刊と同様の形式で。控えめにしようとは思っていますがネタバレ注意です。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

 

それではやっていきましょう。書こう。書こう。そういう事になった。

 

もう一度書いておくけどネタバレ注意というか、本文読んでない人が読んだらたぶん何を言っているのか全然わからん形式になっていると思うよ。

 

 

 

 

(P13)

 

ネブラなら給料も十分だろうに馬鹿なことをしたのぉ。

 

事前に提示され、一度は了承した金額を土壇場で上乗せしようとすると大抵はそうなる。実生活でも使える知恵であるな。

 

……大人しく飲んでたら大人しく帰れたのか。それはわからない。カリュプディスをどこまで信用するかですね……まー、正直かなり微妙だと思いますが。

 

そもそもネブラ側にも恐らくバレるし、バレた後はうんまぁ……死ねるならまだ良いですね、くらいの感じなので……実際ノーフューチャーな。

 

……というかコレ、「釣り餌」では……(企業としてのネブラを全く信用していない成田読者)。

 

(P20)

 

成田キャラの姉はヤバい。紅矢倉博士みたいに分かりやすくヤバいケースもあるけれども……善良な姉も、それはそれでヤバいのです。

 

越佐大橋で一番好きなキャラはシャーロットですね。あの娘も善良である事には間違いないが、それはそれとして迷探偵だ。

 

それはそれとしてサメに餌付けするのを「善良」で流してしまって良いのか、という気はしなくもない。……結果的に見れば超ファインプレーではあったのかもしれないけれど。

 

クッキー(Baccano!)とかにも安易に餌付けしたらアカンですからね。飼えない野生動物への餌付けは慎重にせねば……飼ってるなら大丈夫です。

 

クッキーくんを飼育されている家庭に法律を根拠にどうこう言うのであれば、そこじゃねえだろ、とはなるし。じゃあどこだよ、と言われると、コレは一言ではなかなか難しいが。

 

(P29)

 

サメは浅瀬を這える。みんな知っているね。海外では海岸の砂浜を潜行するサメの目撃情報もあったりなかったりするそうです。

 

最近では完全な内陸にいても油断できずその辺から竜巻で飛んできたりそもそも幽霊だったり水から水へワープしたり色々する、というのはもはや常識と言って良いだろう。

 

せやろか。

 

(P39)

 

越佐よりちょっと後の時代らしいのですが、首無しライダーはどうやら壮健であるらしい。良い事だ。

 

首無しライダーには「老化」の概念もないからな。

 

まじめにいつ頃の話なんだろうか……コロナ禍というか伝染病はあったらしいんですけれども、それが一応は心配の要らないレベルで終わって……2030年代後半くらいかな?

 

(P65)

 

ヘンリエッタ・ラックスさん。氷室の天地に出てきたっけ。遺族とめちゃくちゃモメたとか……。女性だったのか。

 

俺はてっきり本人がドナー登録的なそういう医療研究の検体になる事は同意していて、ただ「本人の死後も生き続ける細胞」という理外の存在により遺族の皆さんが感情としてエラーを吐いたのだと思っていたのですが、どうやら普通に本人にも同意を得ていなかったらしい。

 

じゃあ、ダメだろ……。

 

(P69)

 

そう、君も「姉」だ、野槌狐景……!

 

野槌ちゃんはキャラデザで言えば本作で一番好きですね。服装を思い切り勘違いしていた件は忘れてくれ。俺は忘れられずまだ見る度にドキドキします。思春期か?

 

(P92)

 

いや、いるよ。めちゃくちゃいる。

 

それがBaccano!2002に登場、老(エイジング)姐さんである。2000年度の仮面職人四幹部が内の1人だ。他の幹部は生(ライブ)と病(イルネス)と死(デス)である。2000年度仮面職人、ノリが軽くて好きなんですが、いちいち「2000年度」と付けなくてはならんのが欠点だな。

 

ミニガンが別に小さくない、というのは俺はあの人というか2002で知ったのだったかな。「(戦闘ヘリの装備としては比較的)小さめの銃」の意だったと思います。

 

(P108)

 

ドローン兵さんたちは実際の戦場でも結構難しい「立場」にあると何かで読みましたね。実際にわかりやすい「戦闘」を行う兵士さんとの軋轢であるとか、あるいは遠隔でボタンを押すその本人の意識の問題であるとか……何で読んだんだったかな。

 

(P120)

 

宗教染みたノリの、子供だけの愚連隊……彼ら彼女らも元気か。元気でもあんまり生気のない子たちではあるのだが。

 

弱くなったヘンゼルとグレーテル(BLACK LAGOON)が数十人いるみてぇなもんだからな。もっと多いかも?

 

「ラッツ」リーダーのネジロくんは割とヤバめの人を複数敵に回しているので島では割とマズい立場にあるのですが、まぁ彼ら彼女らが集団で存在している、ということは恐らく彼もまた健在であるのだろう。

 

ネジロくんが始末され後任が決まった、という可能性は著しく低かろう。あの集団はネジロくんがあっての集団ですので。別に褒めてはいない。単なる事実。

 

……そういえば少なくとも「あの事件」を経験したみんなはもう成人してはいるんだろうな……ネジロくん含めて……生きていれば。

 

(P138)

 

おぞましやゾンビ戦法。死体ですらも道具にすぎぬのか。死体を玩具のように取り扱うその様は、まさに稀代の死霊術師……!

 

……デッドマウント・デスプレイのアニメがもうすぐ公開ですってよ!

 

(P173)

 

たぶん盛大なルート分岐であったのだろう。

 

生存ルートの中では一番おっかない事になるルートではあるのかな……「ネブラ」だと「不死」、「ガルダスタンス」だと「吸血鬼」になっていた可能性がそれぞれあるか。

 

吸血鬼のサメはディープディープディープ海色さんとキャラ被るので、そういう意味では最も穏当だったかも知れぬ。

 

日本人はコレは……デュラSHかな?SHはあまり読めていない。これについては今度改めて。

 

(P183)

 

妹さんがいたのか。そうか。あなたも姉か。

 

この作品、「メカクレ率」と「姉率」がとんでもねえ事になってねえか?

 

なってるかもしれないけれど、俺は良いと思うよ。

 

(P195)

 

ネフェルピトーとカイトとゴンとコムギの関係ですね。多分探せば他にも例はある。整理しておくとネフェルピトー=サメ、カイト=傭兵同僚、ゴン=傭兵、コムギ=八重樫フリオ、という事になるか。なるか?

 

要するにネフェルピトー(=サメ)が無差別に人を襲う災害じみた存在であるならばまだ話は解るけれども、場合によって襲ったり(カイト(=傭兵同僚))襲わなかったり、場合によっては助けたり(コムギ(=八重樫フリオ))するのは納得しかねる、という第三者(ゴン(=傭兵))としての意見である。いや別にゴン君はキメラアントの蛮行を納得したわけではないが……それでも感覚的に「ズルい」とは言ってしまうわけでな。

 

場合によっては被害者の総数が減るにも関わらず、それでも「理不尽であれ」と願われるこの考え自体は、感情的には理解できる部分もある。

 

部分もあるが、しかしこういうのは襲われた人(カイト(=傭兵同僚))が善良であった際に「あんな良い奴をお前は襲ったのに!」となるのであって、そこへ行くと傭兵同僚はまぁお仕事っつー面はあるにせよ特に最初の犠牲者たるゾルフとかはまー下衆な奴だったので、コレはつまりそういう事だな。

 

お前がゴンならもしかしたら勝てたかもしれないが、お前はゴンではないんだ。

 

そうなると類例としてはむしろ……。

 

サメ=忍者、傭兵同僚=「組長(オトン)も忍者に殺された! 女子供10人ぽっち拷問しただけで…血も涙もねえ!!」の組長、傭兵=「組長(オトン)も忍者に殺された! 女子供10人ぽっち拷問しただけで…血も涙もねえ!!」の極道、八重樫フリオ=堅気の皆さん、が形としては近いか。

 

孤独な者よ安らかに。連載再開気長に待ちます。

 

(P214)

 

マジで屍神殿みたいな事しはじめちゃったわこの子。

 

「肉」の整形……。生きているから死霊術師とは言えないんだろうけれども、似たような事はギャルドさんが腐肉でやってたから、延長といえば延長か。

 

(P219)

 

やっぱサメにはチェーンソーだよな!

 

この風習はシャークネードが発端……で良いのだろうか?だとすれば浅い歴史ではあるが、しかし妙にしっくりくるなぁ。

 

サメとチェーンソーの因縁の起点がそこにあるとすれば、サメがチェーンソーを使うのはいわゆる「死因宝具」であるのだが、まぁ「死因宝具」を使うキャラは人気な事も多いので、良いと思う。

 

原初のサメ映画たる「ジョーズ」の死因ですらも、こいつは使いこなすわけだなぁ。くたばれ!化け物!

 

……アレは手榴弾じゃなくて、酸素ボンベだっけ……まぁ、爆発物という括りで見れば。

 

(P266)

 

ちょっと道筋が違ったらゴキブリだったなコレ……。

 

カリュプディスの皆さんの脳裏にも一瞬浮かんだ選択肢ではあるだろうが……彼らにも理性は存在した。まー、一個体単位でできる事で言うと割と少なめではありますからね。対衝撃性能とかも不安ではあるし。

 

この辺りは若干「遺存種(レリック)」を思い出したり出さなかったり。子爵が論争吹っ掛けて断られる下り、良いですよね。

 

(P285)

 

似合いの末路だ。

 

若干のザエルアポロ感がある。ザエルアポロは好きです。なんか終始テンションが高くて楽しそうなので。

 

「自分が『無価値』だと断じたものに足元を掬われる」と言う意味での末路としては、Baccano!2002のブライドに通じる部分があるだろうか。

 

そう言えばアイツも最後はサメに喰われたんだっけ。

 

(P296)

 

似合いの末路だ(その2)。

 

真面目にベルトランさん、小悪党としてかなり芸術点の高いムーブをしてくれて良き哉。

 

「圧倒的な実力を持つリーダーの影に隠れてはいるが、それでもモブ傭兵部隊と比較して一段上の実力者ではある」、「必要が無ければ殺しを避けたり、前線に出てこない同僚への色眼鏡をたしなめるような一面もある」、「それはそれとして自分の身が危なくなったら汚い手も普通に使う」……そしてこの末路である。

 

似合いの末路だ(3回目)。

 

「圧倒的な実力を持つリーダーの影に隠れてはいるが、それでもモブ傭兵部隊と比較して一段上の実力者ではある」辺りから、B+概念にも通じる部分があるか。

 

イルヴァさんとの関係も終始「この人甘いんだよなー」「でも戦ったら絶対勝てねえから逆らわんとこー」という不満と妥協が裏にあった上での穏当な関係、と言う感じで好みでしたね。

 

その上でなんというか「こういう映画で女子供をイジメた奴」として満点の退場ムーブでした。ヒーローが登場したら秒で終わり、なんなら登場演出の爆発で吹っ飛ばされるんだ。

 

似合いの末路だ(4回目)。

 

(P310)

 

あ、そこがつながるの!?

 

(P312)

 

……(爆笑している)。

 

いやー……最高ですね! B級映画の終わり方といえばこうでなくては!

 

後半2つについては総評の後に!

 

 

という事で読み終えました。キャラごとの雑感は上下巻まとめて改めてやろうかなと思いますので、とりあえず下巻の感想だけをネタバレ控えめで……。

 

まずはなんと言ってもパンドラシャーク……、ヴォイドの遺産、「カナデ」!

 

上巻で自由を手にしたのも束の間、己を超える「理不尽」の前に敗れたカナデが出会ったのは、見知らぬ顔なれどもよく知る種族……「姉」。

 

少しばかりの交流の後に、カナデは再び故郷へ舞い戻る!

 

そう!オネエチャンの味方、パンドラシャークである!

 

……もう完全に「ヒーロー」然とした存在になってしなったので、「俺は敵味方関係なく喰らう災厄としてのサメが見たかったんじゃ!」という人には不満かも知れぬ。君はゴンくんですか?一応今回ほぼずっと満腹だったから、飢餓状態だとまた少し話が変わるかもしれません。

 

「人間」でもなくさりとて「野生」でもなく、理性的に己に必要な「機能」を進化させ続けるその姿には、しかし確かに「怪物性」はありましたぜ……真面目に倫理とかそういうのを学習する暇は無かったし、今後一般社会と同じようなそれを学べるかどうかは結構怪しくはある……が、「善性」のようなものを感じる事が出来るのも、また事実ではある。今後が楽しみだ。

 

とりあえず「オネエチャンの味方」ではあるんだろうな、とは思いますが。そこがブレる事はないだろう。

 

そんなカナデと正面から戦うのは危機感知系傭兵イルヴァさん。傭兵チームのガラの悪さを補って余りあるほどの甘さを持ちながら、それでもチームの誰も逆らおうとはしない実力者である。Fate的にいうと極めて高ランクの心眼(偽)持ち。第六感による方ですね。

 

褐色腹筋ツリ目のキャラデザが刺さる刺さる…………(カラーページのキャラデザを見ながら)……チャック開いてません?……まぁ、そういう事もあるだろう。

 

狐景ちゃんが裏切った時の対応とか、甘いけど容赦はなくて好きです。

 

「あー、裏切ったかー……まぁ弟さん交渉材料に使われたらしゃあないかなー……」と理解はする一方で、「じゃあベルトランは狐景始末するよなー……それを止めるかっていうと、うーん……組織としてはなー……」と、一線を越えたら冷たく突き放すその2軸が両立した感じがベネ。あとはカナデ君の名前を知って、すぐにそれを受け入れるくだりとかも好きですね。

 

で、この怪物2人の戦闘としてはああいう結末に終わったのですが……さて、間隔を開けて、本編「蛇足章」の話をしようかな。ネタバレ注意!

 

 

 

 

「…………『地獄のサメボーグ』」

「そのデザイン…パート2のクライマックスバージョン……」

「………3までは間違いなく名作…でも4はサメボーグが完全な人型になってフォルムからサメの要素がなくなるのが生理的に無理……だけど5で出てきたシャチドロイドの美少女は個人的にはアリ………ただサメボーグが口から火炎の竜巻を吐き出すのはシャークネード4を意識し過ぎだと思―――――」

(デッドマウント・デスプレイ 2巻P140 …や―の数に若干の差異があります)

 

「地獄のサメボーグのライバル シャチドロイドの少女『キラウェル』」

——少女、上陸

「来年彼女が主役のスピンオフ映画が公開されるらしい」

(デッドマウント・デスプレイ 2巻P182)

 

……まさか伏線だったのか……?

 

小夜さんのサメ映画語りはカットしても本筋に影響は出ないが……あんまりカットはしないでほしい。版権とか難しい部分もあるだろうけれども……!

 

そんなわけで「地獄のサメボーグ5 キラウェルの逆襲」(こんなタイトルなのかは知らん)よろしくシャチドロイドと化したイルヴァ姐さん。「彼女」の研究内容は「神経を外部AIがコントロールする生体ドローン」とのことなので、主体はあくまでも生体か……ならば「危機感知」とかもまだ生きているな。厄介な。

 

まぁ生きていたなら良かったですが。戦いの結末自体には納得していたようですが、別に死にたがっていたわけではなし。普通にお礼言って普通に再戦しそうなのがイルヴァ姐さんの怖いところやで。まぁ所属としては傭兵からネブラになる……と思うので、荒事自体は…………頻度としては、減る、かなぁ?

 

成田キャラの姉はヤバいですが、弟や妹がヤバくないわけでもないのです。

 

……成田キャラは基本的にヤバく、また成田キャラには「姉率」が高い、とか、そういう統計の話になってくるのだろうか……?