節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

#成田作品ワンドロ 「デュラララ!!」について1時間考えてみよう

 

デュラララ!!」は成田良悟の作品の中で最も有名な作品であろう。

 

代表作といっても良い……いや、わかりますが。デビュー作でありアニメ化も果たした「Baccano!」をまずは挙げろ、とか、言いたくなるお気持ちはわかりますが、しかし世間一般でのネームバリューは「デュラララ!!」の方が上であろう。

 

ネームバリュー、認知度をどう比べるか、というとこれは難しい問題だが、ざっとGoogleで「デュラララ!!」を検索するとそのHit数は「6,910,000件」である。一方の「Baccano!」は「4,430,000件 」(「バッカーノ!」だと「608,000件」)なので……ざっくり1.5倍くらいの差はあるわけだ。

 

Baccano!もアニメ化はしたんですけどね……「深夜アニメ」というものが文化として定着するより、すこーし若干早かった(2007年……『見る人は見る』時期ではあったか?年単位の同期に「らき☆すた」や「バンブーブレード」等。……「魔人探偵脳噛ネウロ」も、在る)のと、Baccano!のアニメが「主に2つの時間軸・事件を並列して動かす」という慣れていない人が見るには少々向かない構成だったのが、「デュラララ!!」と比較して話題になりにくい影響としてあるだろうか……どちらも同時にクライマックスへ向かって盛り上がっていくあの感じは、好みではあったのですが、わかりやすさという視点で見るとな。

 

デュラララ!!」があそこまで大ヒットしたのか、と言われれば、素人である俺には「ヒットしたからヒットした」としか言えないし、たぶんそこまで的外れな論でもない。話題になったから話題になる、ブームになったからブームになる、ある一定のラインを超えた流行というのは、それ自体が一つの流れを生み出すもので……当時「デュラララ!!」はそうした流れの中に確かにあった……ように思う。すごかったんですよ当時……もはや曖昧な記憶ではあるが……。

 

その流れの中で起こった極めてどうでも良いバタフライ・エフェクトの1つが、「俺が成田良悟にドハマりした」というもので、当時刊行されていた「デュラララ!!」を……確か7巻までだったかな、一気に買ったのです。そっからBaccano!とか越佐とかヴぁんぷ!とかの他シリーズへ入っていって……おおそうだ、当時「存在を知っていたけど読めなかった」商品の中には「Fate/strange fake」もあったのだった!今はその続きまで読むことができるんだから当時の俺にぜひ伝えてやりたい。

 

別に幻滅はされんだろうし。当時の俺のいわゆる理想の大人は「スネ吉兄さん」と「井之頭五郎」だったからな……。嗜好品と食事はまぁ比較的に好きにやらせていただいております故。最近ちょっと油モノは良いかな、という気もしてきましたが。五郎ちゃんの役者さんが毎回文句を言う気持ちもわかるさ。

 

そんなわけで成田良悟作品にハマるきっかけになった「デュラララ!!」について……正直何について語るか全然まとまってないのですが、「印象に残った巻ごと」でとりあえず語っていこうかな、と思います。ネタバレ注意です!

 

 

デュラララ!! 4

「数年前から目撃されている黒バイクというのは、貴方の事で宜しいんでしょうか?何の目的でこんな危険なバイクで街を走行しているんですか?犯罪を犯しているという意識はあるんですか?」東京・池袋。そこには様々な火種とそれに振り回される人種が集う。池袋の都市伝説を放送するテレビ局、服装と特性がバラバラの奇妙な双子の新入生、兄とは正反対の有名アイドル、ダラーズの先輩に憧れる少年、果ては殺し屋に殺人鬼、そして一千万の賞金が懸かった“首なしライダー”。そんな彼らが過ごす賑やかな池袋の休日は、今日も平和なのだろうか―。

 

冷静に考えてみるとあらすじに「殺し屋」と「殺人鬼」が出てきたうえで「平和なのだろうか―」と聞かれても困りますね。……まぁ、池袋ならよくある事か。自販機が空を飛んでいる程度では全然平和だよ。

 

2010年まとめ買い組の1冊。単巻での完成度も非常に高い。新キャラたちが続々登場し、そして既存のキャラクターとまた絡んでいく、という意味で、1つの区切りとなった3巻の後に相応しい一冊。

 

この巻ではそうだなぁ、殺人鬼ハリウッド……ネタバレになってしまうが言ってしまうか、上で注意はしたことだし……「聖辺ルリ」が良いキャラしていましたねぇ。B級映画のような特殊メイクを己に施し、「怪物」としてその暴威を振るう恐るべき殺人鬼……その正体は、今を時めく美少女アイドルだったのだ!

 

……という二面性と、あとはまぁ、キャラデザ。なんでしょうね、ダウナー気味というかなんというか……。当然というかなんというか、本巻で「交際相手」となった「羽島幽平」……「平和島幽」も好き。

 

こちらはB級映画……どころかZ級でも仕事に手を抜かないところとか、兄からの影響の受け方とかが独特の視点で描かれていて良かったな、と思います。

 

この二人の「怪物」と「人間」に対するスタンスとかはそれぞれ魅力的で良かったと思います。まぁでもあんまり表舞台に出てくることはないのかなぁ……下手したらメインの出番としては4巻で終わりかなぁ、と7巻までを一気読みした段階ではそう思っていた記憶もある。

 

実際にはルリさんは割と話の根幹に絡んでくる人物……の知り合いだったり、それにちょっと関係あるところで野生のストーカーがPOPしたり、割と出番も多かったのですが。嬉しい誤算ではあった。

 

「聖辺」姓は他の成田作品だと「ヴぁんぷ!」に若干絡んでおり、もしかしたら他シリーズにも出演の機会があるかもしれない人気アイドルさんである。今後の益々のご活躍をお祈りしております。

 

4巻は魅力的なキャラが色々出てくるお話なので、この巻だけでも楽しめる……だろうか?

 

どうだろうな……1から3巻までの、ザーッとしたあらすじくらいは知っておいた方が楽しめる……?アニメ1期からいきなりこちらに入るのはアリだろうが、その場合はたぶん2期まで続けてアニメでみますよね……。

 

デュラララ!! 7

「僕は何もしてないよ。あれは、ダラーズみんなでやった事だから―」東京・池袋。この街の休日はまだ終わらない。臨也が何者かに刺された翌日、池袋には事件の傷痕が未だに生々しく残っていた。すれ違うことなく街を徘徊するクラスメイトの男女、弟に付きまとう女の動向を窺う姉、最強の男を殺すために強くなろうとする少女、兄のことなど気にせずひたすら無邪気な双子、今後の自分を憂い続けるロシア出身の女性、過去の未練にしがみつくヤクザな男、休日を満喫しようと旅行に出た闇医者、そして安心しきりの首なしライダーは―。さあ、みんな一緒に、デュラララ!!×7。

 

この巻まで一気買いしたわけです。

 

そして成田良悟にドハマりしたわけです。

 

「なるほど。デュラララ!!というシリーズは間違いなく面白い。このシリーズは完結まで追う事にするとしよう。……だが成田良悟、という作家についてはまだよくわからない。この作品以外の事はわからない。もう少し何か、作家それ自体に引きがあればな……」

 

そう思いながら読んでいた俺に、ある意味で最も分かりやすい形で成田良悟の「成田良悟性」が現れたわけですね……いや誤字ではなくて。それもまぁ味だとは思いますが。

 

「それ」について語る前に7巻についてまとめよう。7巻は短編集の形を取っており、「矢霧姉弟with張間美香」「ヴァローナ・茜with静雄」「任侠、赤林海月、その過去」「セルティ・新羅デート」「臨也入院」などの話が描かれており、そのどれもが面白いんですが、まぁなんといってもこの中で印象に残ったのは赤林さんの過去ですよねぇ。

 

俺はデュラの男キャラでは赤林さんが割とダントツで好きなんですよ。シリーズの締めでもいい動きをしていたし。

 

なんというか、こういう意味で好かれる、あるいは憧れる事を決して良くは思わないであろう点含めて好みの良い任侠でした。良い人ではなく、善人などではあるはずがないが。そこは線を引かねばならぬ。

 

デュラに限らず、成田良悟の作品では「警察」と「ヤクザ」がちゃんと組織として強いんですよね。作品によってそれぞれ組織の名称は変わって来るけれども、表でも裏でもその「一線」を超えるか超えないか、みたいなところで区切られているというか……「この線を超えたら警察(ヤクザ)が出てくるが、それでもやっていけるかどうか?(いけないのでこれ以上はやめようorうるせえ!と押しとおる)」みたいな問いかけにキチンと意味があるというか。そんな作品の中にあって、赤林さんはさらにその「一線」についての考えが個のキャラクターとして在るので、印象に残っているのかな、と思います。

 

そしてそう。最後のサプライズ。

 

……間宮愛海についてですね!

 

名前はたしか7巻ではでてこなかったんだっけ?

 

ぇやー、原作一気読みをしていた俺は大爆笑、「ここであのキャラが出てくるのか!」で1度笑い……あとがきの「漫画版のキャラデザが良かったから再登場させた」で2度笑う!

 

成田良悟作品において醍醐味である、「忘れていたキャラクターの再登場」と「イラストによって新キャラの設定が生える」を同時に経験することとなったのだ……!

 

成田良悟は面白い事をする人なので他のシリーズも面白いだろう」と直感、他のシリーズを買う事となり……「イラストによって新キャラの設定が生える」については、初めてではなかった事をここで知るのでしたとさ。

 

雪村ナズナは良いぞ。霙も良いぞ。

 

極めて最近の話をするならパンドラシャークにおけるカナデ最終形態も実はこの類例であるらしい。しまどりるさん、すげぇなぁ。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

 

デュラララ!! 3

「あんたは人を殺せるか?新宿で情報屋なんかやって、何人もの人間を好きなように弄んで。折原臨也、あんたは、人を殺せるのか?自分の手で、直接な。ナイフで死なない程度に刺して、お茶を濁し続けやがって。まあ、何を言っても...結局お前は誰か他人を使うんだろう?笑える程に、卑怯な奴だなお前は」東京・池袋。そこには寂しがり屋な過去が集う。現実から逃避し続けるボス、責任を感じている女子高生、友人の想いに気づけない少年、乗っ取りを図る男、未だ情報で人を操る青年、そして漆黒のバイクを駆る“首なしライダー”。そんな彼らが過去を乗り越え、三つ巴の哀しい現実に立ち向かう―。

 

この巻はちょっと特殊な経緯で印象に残っている。

 

最近、良い機会なので「デュラララ!!ノ全テ」を買ったんですよ。まぁ、アニメ化の際に出されたファンブックですね。声優さんやアニメ監督、原作者のインタビューなんかも載っている、色々嬉しいやつだ。

 

 

その中で、アニメにおける「ダラーズは消えます」宣言についての、監督のコメントがありまして。

 

そして、帝人が解散宣言らしきものを出します。 これは即ち、コントロールのきかない組織において、 何をしたらいいのか思いあぐねて、とにかく今は静観するしかないと考えた帝人の手段です。 色のない状態に戻る。 解散宣言とも取られかねない 「ダラーズは消えます」という言葉を選んだのは、そういう意味で、敢えて組織の崩壊をも覚悟した言葉でした。

デュラララ!!ノ全テ P139)

 

そして、大きな見せ場となった法螺田を天国から地獄に落とした大逆転劇。 黄巾賊の中に紛れ込むというやり方はダラーズが無色透明であるからこそできた芸当で、まさに門田の作戦勝ちという展開です。 22話の、 解散宣言とも通じる、帝人の 「ダラーズは消えます」 という謎かけのような言葉の意味を、一番理解していたのはある意味、門田だったのかもしれませんね。

デュラララ!!ノ全テ P143)

 

……別に「公式と解釈違い!」と暴れるつもりはありませんが、俺が当時「受け止めていた」考えとは少し違いましてね。

 

門田が超ファインプレーを、帝人の意図しないレベルで行った、というのは俺もその通りだと思うんですが、俺の中では「ダラーズは消えます」という宣言は、あの時の帝人にとっては本当に「解散宣言」だと思っていて。すぐに登録情報とか消せるわけでもないからとりあえずサイトのトップページだけ封鎖しておいて……とか考えていたらあのような事件が起こってしまい、そして自分の「解散宣言」を門田がああいう形で利用するのを見て、「無色だからできる事」がまだあると実感し、解散させず残す事にした……そういう流れだったと思っていたのですが。

 

「そうか、監督はそう受け取ったのか……いや、でも確かに帝人くんがダラーズをあっさり解散させるとも思えない……納得はいく、いくが、しかし……当時の俺は……」

 

そんな風に思いながら、原作3巻を読み返した俺。原作での記述を確認しようとする、その姿勢は我ながら真面目だなぁと思うが……さて、賢明なファンの皆様なら、もうお気づきですね?

 

……そう、原作3巻にそんなシーンはねえのである……!

アニオリの追加シーンなのである……!

 

マジで素の勘違いをしていたから焦りましたとさ。2回読んじゃったからね。言われてみればそうなんですよ。帝人くんがそんな簡単な宣言だけでダラーズを消すわけがねえんだよなぁ。

 

多分アニメを見たその時点では「このシーンはアニオリだなぁ」と思っていた……のだとは思う……いや、どうだ?もしかしてアニメを先に見たんだったか?そのあとに原作を読んで、「黄巾族に門田たちが紛れ込んでいる」という大まかな流れを確認して、「アニメと同じだなぁ」と脳内で補完してしまっていた……?

 

極めて自然なアニオリだったこともあり、ものすごく混乱してしまいましたとさ。

 

総評

 

当時を思い浮かべればまだまだ思い出は沢山だ。

 

「臨也と静雄はどちら派だ」みたいな質問を友人にされて、「どちらかといえば静雄」と答えた後に、「じゃあデュラで一番好きな男キャラは誰だ」という話になって「赤林さん」と答えたら「あぁ……」という反応が返ってきたり、デュラ4巻の巻頭口絵(折原姉妹が臨也と寝てるやつ)を見た女子に「エロだー!」と言われたり、学習してデュラ6巻の表紙(茜ちゃんを抱いた杏里の後ろで臨也がほくそ笑んでるやつ)にはカバーを被せて行ったら剝がされたうえで「エロだー!」と言われたり(口絵のヴァローナでも言われた気がする)、アニメをニコニコで見ていたら一行二行「01010101」だの「愛愛愛愛」だの「蒼天已死黃天當立」だの「人ラブ!俺は人間が(ry」だの流れてきて「まぁこれもニコニコで見る醍醐味か」と放置していたらそのうち画面を覆いつくすレベルで増殖してきて見えなくなったり……沢山だ。

 

特に罪歌がヤバかったですねぇ……。

 

そんな俺も13巻による完結後……続編であるSHや折原臨也スピンオフについては、まだあまり読めていなかったりする。アニメ2期も、リアルタイムで見れなかった話が割と多い。

 

色々と学生生活に区切りがつく年というか年齢というかで完結したので、それをきっかけにオタ卒しようと思ったのでしたかねぇ。……まぁ、今こんな感じなのでそんな感じなのですが。

 

無駄に終わったと諦めて、大人しく読み始めるのもいいだろう。

再読するのもいいだろうし。3巻みたいな勘違いが、ほかにもあるかもしれないし。

 

当時に読んだ本を読んだとて、当時に帰れるわけでもないが、それでも読むのは自由だろう。

 

デュラララ!!についてはまだまだ語りたい(けれども言語化できていない)部分も多い。今後読書記録を改めてつけていく中で、改めてそれらについて触れる機会があるかもしれない。

 

その時はぜひ、よろしくお願いいたします。