節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

炬島のパンドラシャーク(上) 再読読書メモ・感想

 

今日のワンドロは炬島のパンドラシャークです。準備しようとしたタイミングで、「あ、下巻読み終わってから再読した上巻の読み直し再読メモを記事にするのを忘れてた!」と思い出したので今からやります。5割がたの準備はしてあったのでイケるとは思うが……これとは別に記事を仕上げるところまではどうだろうか……?

 

再読メモなので下巻の感想が普通に出てくる&読み返してから割と時間を空けて追記しているのでいつも以上にネタバレ注意です!

 

時系列としては①つぶやかずに読書する(1巻発売当時)②下巻発売が決まる③つぶやきながら読書(今回まとめた呟き)④下巻読書(読書メモ別記事で書く)⑤Twitterの呟きをまとめ、追記……しばらく放置⑥今 って感じですね。解りにくくてすみませんが。

 

 

 

モブ同然の扱いだけどな!

 

タコ、イカ、サメ、シャチ、ワニ!

 

我らB級映画海鮮組!

 

……ワニはどちらかといえば淡水か。一応海水も種によっては行けない事もないとかなんとか。

 

……今は亡き木曜洋画劇場で、「レッド・ウォーター サメ地獄」という映画をやっていたらしくてですね……この映画はなんというか……「湖でサメが暴れ回る」映画なのですが、予告で「なんで湖にサメがいるんだ!?」「突っ込むな!」みたいなやりとりが嘘字幕によって為されていたのが妙に印象に残っている。

 

その予告しか見た事がない、ともいう。本編もちょっとは見ていたのか?親にチャンネルを変えられた……?詳細は不明だが印象に残っているのはそのCMだけである。

 

調べてみたらちょっと面白そうなので困るな。サメとテロリストが別口で襲ってくる辺り、パンドラシャークと要素が若干被っているだろうか。

 

登場するオオメジロザメはガチで淡水にも適応可能なサメなので、実は湖にいるのもそこまで変な事ではないのだそうで。

 

まぁ普通のサメが特に説明もなく淡水にいても俺は受け入れるが。昨今の連中を思えば、水の中に留まってくれるならだいぶ温情な方では?

 

 

下巻まで含めて読了後に書いておりますが、結局この2人が直接仲間割れし、対立する、という事はついにありませんでしたね。

 

お互いに不満もありはするのだろうけれども、イルヴァさんは「自分には甘い部分があり、傭兵業務との両立は己の身体能力があって初めて成り立つ物なので、コレを他人にまで強制するのはあまり好ましい事ではない」とどこか遠慮していたし、ベルトランの方は「絶対勝てね〜」と反抗するのを最初から諦めていたのがデカかったか。

 

まー、大勢で揃って反抗しても、普通に鎮圧されて終わりますからねぇ。命まではたぶん取られんだろうが骨折の1つや2つは覚悟せんとあかんし。

 

やるとしても精々が「いよいよヤバくなったその状況下に於いて、自身の身を優先し、置いて逃げる」がギリギリのラインか。二度と顔を合わさぬ覚悟があれば…………いや、普通に「ケジメ」とか気にする方の人ではあると思うので、その後うっかり顔合わせたら危ないのだけど……まぁ、あんまり本腰入れて世界中を探したりは、そこまでは……?

 

私(イルヴァ)は許そう。

だが【ネタバレ注意】が許すかな!?

 

 

研究者組織、カリュプディス。マッドサイエンティストの集まりですね。

 

そこに所属するアイツがあんな感じだったので、なんというか……その末路もあってか、そこまで「大物の格」みたいなものは組織としてはなくって、それがかえって狂言回し役として良い感じ。

 

多分アイツくらいのノリで「ゾンビ」とか「恐竜」とかを研究しておるやつが居る。……実のところどちらも「居る」し、結構作れちゃうんだよな。困ったね。

 

ゾンビで事故を起こすとギャルドさんが冤罪を晴らすために多分来ちゃうし、恐竜で事故を起こすと恐らくは大財閥が敵に回ります。困ったね。

 

化学系の流出事故だと「水」とか「デュラハンの不思議物質」とかになるだろうか。……でもそういうのでヤバい規模のやつは、もうネブラが自社ビルでやってるし……あとBaccano!最新刊でアイツがやろうとしてるのって多分…………。

 

……やっぱり「本当にヤバいやつには勝てない」くらいの格なんだよな、現状。

 

まぁこうやって油断してると後々ヤバい奴が出てきた時にうわぁってなって楽しい。

 

 

……これどこのシーンを読んでの感想だっけ……?

 

該当のシーンが複数あって困りますわ。

 

 

これは逆にどのシーンで何を書こうとしたのかめちゃくちゃ記憶に残ってるんだけどここであんまり詳しく書くと総評で書くことなくなっちゃう。

 

まぁなんでしょう、「20周年」の区切りにこの作品を出した事の意味、みたいなものを勝手に感じましたとさ。

 

勝手にな!

 

上巻出たの厳密にいえば19周年だしな!

 

 

「電撃漁」と書いてビリと読む。

 

そんな純文学、文學界掲載の「足の間」の感想はこちらです。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

 

こういうところで独自性を出していかねえとな。そしてそろそろ再開しねえとな。

 

「足の間」に登場する、「ウナギだけどウナギじゃない」存在はタウナギで良いのだろうか?

 

答えは出てこないんですよねー……。

 

関西の方だと割とその辺の田んぼとかに居て、しっかり焼けば意外と美味しいらしいので、興味はある。

 

ザリガニとかもちゃんと処理すれば美味いみたいな話は聞きますが……よほどの非常時でもなければ普段はプロに任せたさがある。こういう事を言っていると結局非常時にも何も出来ないんですけどね。常日頃から慣れておくことこそが肝要だ。

 

 

これはパンドラシャーク……もう名前を言ってしまうか。カナデとの決着(1回目)あたりの感想だと思う。

 

褐色ツリ目腹筋無愛想テロリスト(テロリストとしてはかなり善良で邪悪ではない方)のイルヴァさん、恐るべき属性の盛り具合であった。善良ではあるが仲間たちを止めたりはあんまりしないのでまぁ敵対しちゃったら残念でしたね。

 

そんなわけで上巻ではイルヴァ姐さんの勝利!複数個の爆弾を喰らったカナデは、傷だらけの状態で海に沈み……といったところで下巻に続く。ほかにも色々ありますが。ヴォジャノーイが現れたりしているが。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

キャラ毎の雑感みたいなものは上下巻まとめてワンドロでやる……1時間だけだとカナデとイルヴァだけになっちゃうかな……として、この巻で特に印象に残ったのは、142Pの紅矢倉博士のセリフでしたね。

 

「人間同士だろうと、家族だろうと、心が通じる事など稀有な事例だよ。 ただの押しつけだ。だけど、私は一方通行だろうと、心は常にカナデに向けているよ」

「……」
やはり致命的なズレがあると感じて黙り込むラウラに、雫は困ったように笑いながらその頬を優しく撫でた。
「善悪の問題じゃあない。 あの子に全てを捧げる事が私にとっての正義というだけさ」
それを聞いた青年が、ようやく落ち着きを取り戻しつつ、疲れ切った顔で精一杯の皮肉を口にする。
「確認するまでもなく一方通行でしょうね。向こうにとっては、博士もただの餌でしょうから」
雫はその言葉に一度キョトンとした目をした後、一際穏やかな笑みを浮かべて言った。
「ああ......そうだな。 それも、何度か考えた事があるよ。 結論はいつも同じだ」
「はい?」
再び戸惑う青年に、雫は己の胸に義手を当てながら目を伏せる。
「あの子を形作る栄養素になれるなら.…それはそれで構わない….…ってね」

(炬島のパンドラシャーク(上) P142)

 

俺はこのセリフというか、この場面全体で紅矢倉博士が主張する「論理」に、初読の際からどこか既視感があったのですが、読み返してついに思い出した。そうだそうだ。成田良悟デビュー作、「Baccano!」にすでにこんなやり取りがあったんだ!

 

「ひとつは………この不死には欠陥があった事だ……」
「欠陥だと?」
「この不死は……同じ力を持った者に『食われる』事で終わりを遂げる……」
「ふん……それは、悪魔が好意で作ったシステムだと言っていただろう?」

「違う……これは、憎しみはもちろん………愛し合う者同士にさえ『殺し合い』を起こさせる、まさしく『悪魔のような』システムだ…。考えてみろ、お前だって、自分を殺せる存在…つまり俺や他の同朋達は『始末しておきたい』と思っているだろう?そういう事だ。老いによる死すら超えた者達は、それまで以上に『死ぬ』事を怖れるようになるだろう。つまりは、自分一人が『最後の一人』になろうとする。そんな人間が一人でも現れたら、互いの疑心暗鬼が高まり、不死者同士の殺し合いが始まるのは必然だろう」

「………」
「愛し合う者同士も…永遠という時の中で、『相手の全てが知りたい』と思うかもしれない……相手も本当に自分を愛しているのか…………『相手の全てを知る』………その簡単な方法…つまり『食う』事によって、相手の全てを知る事ができる……この誘惑に耐えられなかったら……」
「そんな愚か者どもは、互いに食い合って死んだらいい」
「どうかな……今はそんな考えは愚かかもしれない。だが、この先「不死」を広めたとして……それが世界に浸透すれば、この世の倫理観や宗教、法律は一変するぞ。そのうちに、こんな考えも出て来るだろう……『相手の全知識を受け入れたのならば、その者は自分の内に生きていると言えるだろう』とな……。私は、未来が自然にそういう世界になるというのならそれも構わない。だが、自分がその原因を作るのは御免だ。私は、この世界が好きだからな」
「………ふん。それなら安心してもらおうか。私も愚鈍な連中にこの力を渡す気は……」
「そして最大の理由は—————」

(Baccano! The Rolling Bootlegs P244-245)

 

論自体は恐らく食人(カニバリズム)系の殺人鬼のセリフとかでBaccano!以前にも多分あったものでしょうが、20周年というこのタイミングで、デビュー作を連想させるセリフを回収というか、してきたという事に、上記の様に勝手にテンションをあげておりましたとさ。

 

いや、まったく同じ論理ではないか。Baccano!でマイザーが危惧していたのは、あくまでも「食った側、食う側」の主張であった。それが実際どの程度的を射たものだったかは一度おいておくとして、「食った側、食う側」がこのように主張し、「食う」事を正当化することこそが、マイザーの危惧していた未来だった。

 

本論からは逸れますがマイザーの「未来が自分の望まない世界に自然になるならそれは構わないけど自分がその原因を作るのは嫌だ」という思想は好きです。単なる現状維持にもキチンとコストを払うというか。

 

対する紅矢倉博士の主張を見てみよう。……おう、これは……「食われる側」が食ってもいいよ、としていますね……。しかもマイザー側の「食う」とは違い、この場合の「食う」は単なる食事……記憶や技能なんかの引継ぎはなく、与えられるのは単なる「栄養」だけであるが……紅矢倉博士は、それでも是とするのである。

 

見ているかマイザー、これが20年後の倫理観だ……!いや作中時間的にはたぶんもっと未来だし周囲にいる皆さんがドン引きしておられるのでこれが未来において一般化している、ということはもちろん無いけれども……!

 

20年の時を経て……これは成長、なのだろうか?アップデート……バージョンアップ……?……なんかよりすごい事になった成田良悟先生。ご活躍を益々応援していきます!

 

まぁちょっと突っ込んだ話をするのであれば紅矢倉博士にとってのカナデってもうマジで家族だから、余程の飢餓状態だったらしゃあない、くらいの感覚だと考えれば理解を得られる率もちょっと上がるかもしれない。