少年漫画の部活モノを思い浮かべて欲しい。思い浮かべただろうか。俺は思い浮かべる事が出来ない。部活モノちゃんと読んだ事がないから。故に脳内イメージでいくね。
同じ学校の、とある二人組を思い浮かべて欲しい。ポジションは似たような感じで、実力も似たような感じ……部内で見れば上位だ。主人公と、1話で主人公に誘われて入部したイケメン、脳内イメージだとそんな感じだ。
2人は時に争い、時に励まし合いながら、「どちらが上か」を競い合う。時には共通の苦難に曝される事もあるだろう。それを乗り越える為に手を取り合う事もあるだろう。だが、最終的な論点は「どちらが上か」である。そしてその争いは俗に言う「青春」、そして彼らの「現在」が終わっても。卒業の後も続いていく。
そんな俺の脳内概念をなんとかイメージして欲しい。それなりに大きな大会で優勝するところまでなんとかイメージして欲しい。
出来ましたか?
そんな二人組のようなオバさん達が職場にいる。わざわざ年齢の壁を越えて少年漫画を例に出したのは、この2人に「争う大人」にありがちな、ジメッとした湿度がないからだ。多くの少年たちの争いですら大抵がジメジメとしているものだけれども、脳内概念の彼らに湿度は無縁。実際の部活モノの事は知らん。俺は俺の脳内概念の話をしている。
「ええやん」
でしょう?いや実際俺も、理想的な関係にあると思います。競争をするのであれば相手は必要だ。だが競争以外の所でトラブルの要因となりえる湿度が如きジメジメは邪魔。競争はカラッとした、スカッとした物こそが望ましい。それはよくわかる。番外戦術入り乱れる競争、何が何だかよくわからないからね。アレはアレで楽しいけれど、仕事となると難しいです。
ところでこのオバさん達は何を競い合っているのか。「作業の丁寧さ」だろうか、「作業の速さ」だろうか。あるいは「接客態度」だろうか。もっと身もふたもなく、「営業成績」だろうか?仕事の場で競い合うとなれば、その辺りの観点だろう。我々はこのオバさん達を見習うべきだろうか?うむ、その辺りならば、競争事に対する姿勢や向き合い方としては、学ぶべき箇所は多いだろう。
争っているのが「声の大きさ」なのがちょっと問題ですけれどね。
お客様への挨拶?ああ、それは(適度に)大きな声で行うべきものだ。しかし競争のタイミングはそこではない。そこは測ったように二人とも一定。この二人が争い合うは、「雑談時のデシベル」である。
このオバさん達は常に「その場で誰のデシベルが最も大きいか」を競いあっている。だれかが自分より大きな声を出すと、自分の声はそれよりさらに大きくなる。そうすると、相手の声はさらに大きくなる。それを受けて、自分の声が。相手の声も。自分。相手。チェーン処理が大変だ。ターン1制限の付け忘れ。初歩的な設計ミス。1年で規制、3年で釈放。されてもあんまり使われない。
告白しよう。俺はこのオバさん達の雑談が不快でしょうがなかった。話題は普通に雑談なのになんでこんなに不快なのか、その原因がわからないのがまた不快だった。適当に相槌を打ちながらひたすらスマホ弄っていた。今なら解る。アレはガチデッキ相手にルールの解らない初心者が一方的に殴られているような物。ルールの解らないスポーツに巻き込まれるのは常に拷問である。体育の時間のバレーボール。あるいはサッカー時初めてのトラベリング指摘。その感覚はよく知っている。
ならばこうした場合の対応もまた同様で良いはずだ。まず、「観戦」に徹する。参加しない!幸いもう内申とか成績とかは心配しなくて良いから、その点については学生時代よりむしろ楽!そして観戦しつつ、少しでも楽しみたいのであれば、ルールを把握することだ。見方を得るべきだ。そしてそれはすでに「成った」!今後はどこまで大きくなるのか。誰がいち早く自身の「最大音量」に到達してしまうのか、到達した最大音量をどれだけ維持できるか、を見所として今後は、観戦しようと思う。
思った。思っていた。
今途中で耐えきれなくなって、事務所から出て外でこの文を書いています。すげぇ。モルタルの壁を貫いてまだ聞こえてくる。会話内容までハッキリと把握出来る。吉川(仮名)さんの次男の嫁が仕事から帰ってきた後に何にもしないのが不満らしいです。共感の相槌が多すぎるだろ田村(仮名)さん。
吉川さんの次男の嫁さん、うるさいとは思いますが頑張ってください。本当にうるさいとは思いますが。