節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

#成田作品ワンドロ「ヴぁんぷ!」……「ヴぁんぷ!V」我々は13年待っているし、多分もうちょっと待つだろう

俺は今回ヴぁんぷ!の5巻について書きます。

 

 

5巻で新しく登場した人物たちにチラっと触れてから、巻全体でどういう話なのか、という話をしましょう。

 

5巻は登場人物たちもみんな楽しいし、何より展開としての「一区切り・新たな始まり」感が特に良いんですよね……。初版……2010年10月10日か……我々は13年待っているし、多分もうちょっと待つだろう。

 

成田先生も「デュラの新刊はまだか」「Baccano!はまだか」と言われる度に説明しておられますが、ああいう「出版」は成田先生だけでどうこう出来るものではなく、お身体の具合もあられますのでお身体最優先で出来るものから出版していただければそれが一番なのですよ。

 

俺は「全て」を待っているので次に何が来ても良い。もちろん知らん新シリーズが来ても良い。パンドラシャーク、面白かったです。

 

そういうわけで「ヴぁんぷ!」の5巻の話をして、「ヴぁんぷ!」を待つ人はここにいるぞとアピールしましょう。なんならこの記事で増やすぞくらいの気持ちで書こう。大丈夫大丈夫。最近で言うとあれだ、鵼の碑が17年ぶりに出たじゃないですか。諦めなければ夢はかなう事もあるのです。かなわない場合も無論ある。

 

 

キー・ドリッキー

 

「(警察の手に負えない謎の殺人鬼……島民達は恐怖にさぞ震えている事だろう!だが、この名探偵が来たからにはもう安心だぞ!)名探偵ある所に事件あり! 事件ある所に名探偵ありというわけだ!」

(ヴぁんぷ!V P69)

 

「死斑誘致者」。名探偵……自称だけど。

 

島の迷探偵の同類か、と思われるのは早計だ。なんせ彼の事件解決率は100%!そこで判断するのであれば、間違いなく「名」探偵なのだから!

 

事件の関係者をいったん全員支配して情報を聞き出し、犯人から直接「私がやりました」と自白を聞き出すその様を、名探偵と言ってよいのかどうかの判断は皆様にお任せしますが。

 

間違いなく善性だし、何よりもいち早く事件を解決しようというその情熱は本物だし、観察力も割とあり、今回のお話の「オチ」にもその辺りはかかわって来るのですが、それはそれとして彼の推理方法(推理じゃねえけどなこんなの)には割と穴がある。

 

恐らくミステリにある程度の知見がある皆様であれば「犯人では無い人物が『自分が犯人だ』と思い込んでいる」作品に心当たりがあるだろうが……そうした場合、そう思い込ませた「真犯人」が支配した関係者の中に居ないと、普通に逃げ切られてしまう。

 

そんな「難事件」に彼が立ち会った場合どうするのか、とかはちょっと気になりますね。

 

腹ペコ銀髪人狼のワトソンが助手である。生肉を美味しそうに食べるよ。

 

下のミラルドの事は口と心の両方で「(クズだなぁ)クズだなぁ」と言うけれども、案外仲良くやっている。だからこそ、最後のオチが効いてくるわけで……6巻の予告によれば6巻はこのコンビが活躍するらしいので、楽しみだぜ。予告は予告、未定は未定ですけどね!

 

 

 

ミラルド・ミラー

 

「君の考えている事を当ててみせるよ! 『また勝手に人の心を読んでるな、この糞野郎』だろ? 君は本当に単純だね。他に何か考えつかないの?」

(ヴぁんぷ!V P395)

 

「鏡獄」。読心能力に長けた吸血鬼。

 

「読心能力者は人間の汚い思考を読むのが弱点」と、そう思い込んでいるなら残念だが、ミラルドはそういうの結構好きだから弱るどころかなんなら元気になるぞ。ピュアな心理もそれはそれで楽しめるクチなので、そういう「見たくないものを見せつける」的な倒し方はまぁ難しいだろう。

 

殴り合いは不得手であり、機械などの「心理を持たない相手」からは逃げ惑う事しかできないけれど、人間などを相手にするのはめっぽう得意。圧縮した思考・心理・言葉などをぶつけ、精神に大きなダメージを与える技もある。

 

性格ははっきり言ってかなり悪く、組織の中でも厄介者扱いされている。実際2,3巻で組織の会合に「呼ばれなかった」メンツの1人であり……本当に厳密な事を言えば、初登場は3巻ですね。自分を呼ばなかった仕切り屋を皆でボコボコにしていた。多分思念砲使ってた。

 

その性格だけでもかなり大きな問題なのだが……最大の問題は、吸血衝動が高まった「空腹」状態になると読心の制御が甘くなり、「受信」した誰かの思考をそのまま別の誰かに「送信」してしまう、スピーカーのような状態になってしまう事。要するに彼が空腹になると、周囲の人物が無差別に周囲の思考を読み取れるようになってしまう。

 

プライバシーへの配慮とか皆無であり、実際彼のこの体質のせいで殺人事件が発生しかけた事もある。帰ってくれ。

 

ドリッキーやゲルハルトに会う前は、人間の事を単なる鑑賞物として捉えていたらしく、「会う前は」と断じているという事は、今は本人の中で超えてはいけない線を引いているのだろう……。

 

……あんまり語られる側にとっては、大差ない扱いかも知れませんが。

割と今回、危なかったしね!

 

 

 

パメラ・D・ロスクライム

 

「吸血鬼の楽園などと噂されるバルシュタイン城。そこに住まう吸血鬼達が、いったいいかほどのものかと思っていたのですが……。これほどまでに俗に塗れた野卑な連中とは。どうやら私はこの城の事を買いかぶっていたようです。本当にがっかりしました」

(ヴぁんぷ!V P113)

 

……本名を改めて調べて知りましたが……「Dの一族」だったのか、パメラちゃん……。居候連中にこのことがばれなくて良かったぜ。もう2Pはネタにされていただろう。アイツらは本当に俗っぽいので。嫌いではない。

 

ゴスロリメカクレ吸血鬼。下記のディンギルの忠実な下僕。……言うほど忠実かと聞かれると怪しい場面はややあるが、命令には確実に従う。

 

アイマスクによる「絶対に見えない」タイプの強固なメカクレか、バーソロミューの好みでは無い……と一見すれば思えるが、アイマスクを付けた状態だと目が見えないので、携帯を操作しディンギルとメッセージを交わす際などは普通に外す。なんなら挿絵で2回くらい外れてる。ディンギルもそのアイマスクの必要性には首を傾げている。

 

低俗なモノを見ないようにする為に自らの目を塞いだ、との事だが、それとほぼ同じ事を4巻のマーズ家の執事、ジョドーさんがやっていて、しかも彼は人間なのでまぁ発想としては下に見ている人間と同じなんですねとか、そういう事を言ってはいけない

 

吸血鬼を「支配しながら」切り付けることで再生や霧化を封じる技をディンギルから習得しているので、普通に強い子ではあるんですけどね。どうも残念な香りが漂っているのは仕方のない事である。

 

 

 

ディンギル・サンフォールド

 

「やめておいた方がいいな。確かに君達は、世界の中でも最も力のある吸血鬼と言えるだろう。だが、物事には相性というものがある。私はせいぜいサンフォールドの中で最も強いというぐらいで、世界最強でもなんでもないが……。君達になら、相性の関係で恐らく勝てる」

(ヴぁんぷ!V P354 原文は「君達になら、相性の関係で恐らく勝てる」が傍点により強調)

 

吸血鬼の血族、サンフォールド家の「吸血鬼殺し」。前述のパメラの主に当たる。

 

吸血鬼を「支配しながら」切り付けることで再生や霧化を封じる技……それを更に発展させたものを習得していると推察され、「強力な吸血鬼であれば強力な吸血鬼であるほど」彼にとって相性の良い相手である……とは言うんですが、本当か?流石に上限とかあるんじゃないか?『君達』、特に自棄になってた時、割と真面目に地球の危機だったぞ。

 

パメラちゃんほど人間を下に見ているというわけではなく、個人個人やいくつかの人間が作った文化や道具については親しみを覚えているものの、それはそれとして他の吸血鬼の排他的な行動を咎めるわけではない、という、本当の意味で「中立」に属している人。……サンフォールド家は特に排他傾向が強いので、そこ視点だと人間には友好的、でもいいかもしれませんが、まぁあんまり楽観視はしない方が良いだろう。

 

この辺り人間と吸血鬼の関係は色々複雑なのです……。

 

その力の詳細は不明ではありますが、「上位であればあるほど苦戦する」という特殊なレギュレーションを強要する厄介な相手であるのは間違いなく……現状ではこの「ヴぁんぷ!」という物語のラスボスは彼になるのでは、と俺は考えているのですが……。

 

……「ちょっと珍しいモノでも見に行こうかなー」くらいのテンションで出かけている最中に、所属しているサンフォールド家がもうすごい勢いで色々あって壊滅してしまったので、案外面白おじさん枠になる可能性も秘めている。先が読めない人。

 

好物の「オリジナルサンドイッチ」のオリジナル具合にすべてが懸かっていると見ている。……メシマズキャラの可能性まであるのかこの人……。

 

 

 

ストーリー

【暫くぶりだね、日本の紳士淑女諸君! 再び出会えて歓喜の極みだ。この再会を全ての夜に感謝しようではないか】 【だが、夜の一人歩きは危ないから気を付けたまえ。今回の話は、グローワース島で起こった猟奇的な殺人事件の話だ】 【心を読む吸血鬼、無口な人狼の少女、吸血鬼探偵、とある『血族』の男女、そして、事件を追うTVクルー。カメラに映し出される島の夜、その闇に潜むのは、我が息子ことレリックと、夜を受け入れた人間の少女、ヒルダ。そして、偉大なる小物ことヴォッド市長だ】 【吸血鬼と人間、そして半人半鬼は、猟奇的な夜に何を思うのか――この続きは、是非君の目で確かめてくれたまえ】

(ヴぁんぷ!V カバー折り返し部より引用)

 

引用部と色文字の併用って普段はあんまりやらないんですがやはり「ヴぁんぷ!」の解説は赤文字でやらないと気持ち悪いからよぉ。……今回「現場」にはこの人いないので、黒文字でも良いといえば良いんですが。

 

ミラルド君この部分を担当してみる気はないか。無理だろうな。ウザいので買う人が減りかねない。やめといた方が良いね。

 

そんなわけで今回主題となるのは島で発生する連続殺人事件。そんな物騒な事件が起こっている、ある種の「非常事態」において、訪れる二人二組、計四人(腹ペコの助手を入れれば5人)の来訪者……そして島のいつものメンバー達。そんな彼らがそれぞれどう動いていくのか、というのが今回のお話です。

 

そして今回の一大イベント……「成田作品全体を通してみても珍しい超大規模バトル」……その片方を担う「主役」こそ、小悪党系半人半鬼(ダンピール)市長、ヴォッド・スタルフなのです!

 

いやー成田作品、基本的には広くても「街~国の一地域」くらいの危機で落ち着いているので、今回みたいな「止めないと星がヤバい」級のバトルは「ヴぁんぷ!V」がもしかしたら初めてか……?

 

というか2023年現在視点で考えてみても……「Fate/strange Fake」のグガランナ・イシュタル討伐戦とか、あと俺はあんまり詳しくないけど「BLEACH」ノベライズとか、そういう「スピンオフ」以外で考えるなら、惑星級の危機は……他にはあんまり無い?

 

DMDPのアニメ2期でやる辺りも、……あの2人が全く自重せずに戦って、まぁ……「東京」くらいの単位だろし、そう考えると惑星級の危機って本当にヤバいですね。

 

いやもちろんどこぞの雑魚戦闘員さんとかがなんかもう全てが嫌になって突然地面をグーで全力パンチかましたらそりゃヤバい事になるだろうし。そういう「ヤバい事」が出来る人達は何人かは思い浮かぶけれど……「実際ヤバい事が起きてしまった」のは、この巻くらい……?

 

そんな珍しい規模感のバトルだけではなく、今巻ではそんなヴォッド・スタルフの過去についても知る事ができるので、ぜひとも読んでいただきたい……!

 

……という話は、確か前に別の記事で書きましたか。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

 

そしてもちろんヴォッドだけではなくそのヴォッドの「対戦相手」とかもねぇ……彼については今回の巻が「一区切り」というか、「新たな始まり」というかになるわけなので……今後がとても楽しみですね!

 

……我々は13年待っているし、多分もうちょっと待つだろう。

 

マジメな話この5巻、恐らくはヴぁんぷ!という物語全体を通してみても「一区切り」というか、「新たな始まり」というかになるだろうから、ぜひとも続きがよみたいところです!

 

成田先生、お身体に気を付けつつ今後もよろしくお願いします!

 

 

 

そういえば。

 

今回初登場の、インパクトは間違いなく主演級の吸血鬼がもう1人居たので、紹介しておく。

 

ホーキング

 

「ただそこにある無」。生きるブラックホールな吸血鬼。宇宙空間から未知の手段で地球の様子を確認しつつ、テレパシーにより相手に喋りかける。誰にでも話せるわけではなく、ある程度「波長」が合う必要があるようで、ミラルドがよく話している。計算が得意。誰も会いに行けないし、もし会いに行っても大体死ぬ。光の粒子を宇宙に流れる血液と見立てれば彼もまた吸血鬼と言ってよいだろうとゲルハルトさんは言うけれど、お前それを言い出したら大体のモノは吸血鬼と言い張れてしまうぞとは思う。だが実際言い張っている吸血鬼割と居るので、それで良いのだとも思う。

 

 

 

成田キャラ最強ランキング、多分2位。1位ではない。確実に。

コイツはコイツで惑星級なんですけどね。1位の話は、また今度。