節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

jump scare嫌いの納涼「残穢」

怖いの、嫌いなんですよね。

 

怖いの、嫌いです。だから夏の怖いビデオ特集とか、本当に嫌。何が嫌かって、家族が割と見るんですよ。家族が見てる中で俺だけこっそり部屋に行ったら「アイツ怖いんだwww」とか言われるじゃないですか。家族に。嫌ですね。

 

いや、ああいうビデオ、怖くは無いんですよ別に。ただ、ビックリする。

 

そう。俺はビックリするのが嫌で、ただ怖いのが嫌なわけじゃない。突然大音量の悲鳴や呻き声がギャーッ!怖い顔とかが画面にドーンッ!そういうのが嫌なだけで、ただ怖いのは別に嫌いじゃない。ビックリ系を嫌うのは、生物の本能みたいな物だから。嫌いなのがむしろ正常。ビックリ系が好きな人、せいぜい事故とか気をつけてくださいね。スリルを求めすぎないように。

 

怖いだけなのは別に嫌じゃないんですよマジで。ムーとか結構好きだし、SCPとか読んでるし。今回のFGOのホラーイベントも普通に楽しめたし。アレが嫌な層も結構いるようだし、そういう人たちと比べれば全然普通。俺は別にホラーが嫌なわけじゃない。純粋なホラーはむしろ好き寄りなのでは?

 

そんな事を友達に言ったら勧められたのがこの「残穢」です。「感想待ってるぜ!」だそうです。

 

…………嫌ですねぇ。

 

 

【あらすじ】

 この家は、どこか可怪しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が……。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだが――山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!

 

……借りた時に警戒しすぎて、ドッキリ系の挿絵がいきなり出てこないかパーッとめくって確認してしまったわ。無かった。友人なんだけれどもそういう騙し討ちをしそうな奴なんですよ、アイツ。

 

それだけを示して以下、ネタバレ注意。

 

 

 

同じマンションの全く違う部屋で、同じような「奇妙な音」が聞こえる……。そんな言ってしまえば規模の小さな怪異を調べていくうちに、そのマンションの……「土地」にまつわる様々な過去が明らかになる。そんなお話ではあるのだが、いわゆる幽霊が主人公の前に出てきてギャーッ!と言うようなシーンは、無い。

 

いくつか主人公が「何か」の気配に違和感を覚えるシーンはあるけれど、基本的には「ここでは昔……」と言うお話を聞くに留まる。その話の連鎖が見どころの一つではあるのだろう。

 

特筆すべきはこの主人公の理論構築能力で、どんな怪異の気配にも驚きはしない。ホラー作家という職業柄か、「このパターンか」と構えを崩さない。そして周囲の人の話を冷静に聞いて、今まで仕入れたネタを知識として活かし……こんな主人公の視点で語られた結果、主人公だけでなく、この本自体が全体としてどことなく理性的になっている。

 

写真に小さな光球が!これ『オーブ』ですよね!?

 

「写り具合から考えて、夜間にフラッシュを焚いて撮影した写真のようだった。だとしたら、この光は異常なものではなく、ハウスダストがフラッシュを反射したものだろう。一般にオーブと呼ばれるものは、ほとんどが埃か水滴の類だと思う」(p14)

 

なかなか人の居つかない部屋が!

 

「『もともと、このへんは人の定着しないところなんだよね』

 

変な意味ではなく、そもそも人の入れ替わりが激しい地域なのだと益子さんは言う。結婚や出産に際して住み変わるには手頃な場所だが、終の棲家にするには物足りない」(p45)

 

自殺者が同じ場所で連続で!

 

「実際のところ、同じ場所で自殺者が続くことがある。ただしこれは、自殺を企図した人間が、過去に自殺の起こった場所を死に場所として選ぶために起こる現象だ。いわゆる『自殺名所』がこれにあたる。あるいは、過去の自殺を模倣するということもある。新幹線からの飛び降りが起こると、ひとしきり同じ手法の自殺が続く。その意味で『自殺者は自殺者を呼ぶ』のだ。ゆえに報道する際、場所や方法を陳述しない、という方針をとっている国もあるし、これは自殺の抑制に一定の効果があるとされている」(p64)

 

赤い染みがべったり!さては血!?

 

「(中略)おそらくは血痕ではない。フィクションの中では美的な見地から赤黒い血痕などと描かれるが、実は血液は非常に退色しやすい。新鮮な状態では暗赤色をしているが、日光の影響によって赤褐色から褐色、緑を帯びた褐色、墨色へと、たやすく色を変えてしまう。コレは血液中の赤を呈するヘモグロビンが光の作用によってメトヘモグロビン、ヘマチンへ変化していくためだ」(p140)

 

……このようなスタンスは、実際に怪異が現れるようなシーンでも揺るがない。主人公家の廊下の照明のセンサーが、どうも「何か」に反応しているようだ。主人公は果たしてどんな反応をするのか……。

 

「なんだろうね、と私は猫に問いかける。以前住んでいたマンションの駐車場で拾った茶トラの兄弟だ。猫たちは不思議そうに私を見て、突然、はっとしたように二匹同時に同じ方向を振り返った。茶トラには珍しいグリーンの眼で中庭の窓越し、じっと廊下のほうを見つめている。神経質そうに尻尾の先を動かしながら。

 

こんなことが、最近、よくある」(p219‐220)

 

凄いなこの人。この猫ちゃん兄弟の反応は……これは猫ならよくある事。フェレンゲル・シュターデン現象。あのコピペ好き。

 

で、そんな冷静な視点から語られる「残穢」の物語ならば怖くないのか。コレはね、冷静な視点で語られるから怖いんですよ。……怖いって言っちゃったよ。しゃあない。俺はホラーが怖いです!薄々そんな気はしていたんだ自分でも。

 

いやぁだって、例えば「心霊スポット巡りと称して不法侵入をする」であるとか、あるいは「神仏を粗末に扱う」であるとか……そういう「非」が明確にあったり、あるいは当初は善性の人物だったけれどもちょっとした怪異に怯えた事でかえって「地雷」を踏んでしまうような……そういう事がない、ただの「理性的な人物」でも、この怪異は普通にロックオンしてくる。

 

何かおかしい事があった時、「コレはおかしい!こんな事はあるわけがない!」とそういうビデオみたいな悲鳴をあげながら半ばパニックになられてしまうと、反射としてはこちらもビックリしてしまうが、少し時間が経つと「いや、そこまでじゃないな」と冷静になる。なれる。

 

ところがこの本の場合、「冷静に考えてみよう。……というのはおかしくない。しかしこの土地では……という過去があり、……という共通点がある。それだけなら偶然かもしれないが……という点においては……。……という事は、やはりどこかおかしい」くらいのテンションなので、ビックリはしないものの、実に自然に「そうか……おかしいのか……」と飲み込めてしまう。コレを結構な頻度で連続して行われるので、恐怖の総量は結果的に「ギャーッ!」を超えることになる。

 

最終的に「絶対にヤバい本拠地行こうぜ」みたいな「今確信したけどお前絶対『理性的な人物』じゃないよな」と気付ける段階に進む頃には、もう充分飲んじゃっている。飲んじゃったなら元凶まで付き合いたくなる。そうすると、怖い。

 

でも、この怖さは不快では無かったですね。単純に面白く、その点でも続きが気になった。なるほど、みんなこの感覚を味わいたくてホラー見てるのか。ギャーッ!系統の醍醐味もそれですか?それはまだよくわからないです。まぁFNAFも考察とかスゴく楽しそうだからな。近いものはあるのかもしれないけれど。

 

「怖さ」で言えば、他の人の感想などで見た「自分の家の土地が気になって……」みたいな事は自分には起こらなかった。この本の「元凶」とかあるいは全体にある「仕掛け」みたいな感染系は、一時期怖がりまくったので耐性がある。

 

俺が何回、火竜そば系統に引っ掛かったと思ってるんですか。

 

俺が何回、サッちゃんの歌(都市伝説Ver)聞いたと思ってるんですか。

 

俺に何通、不幸の手紙が回ってきたと思ってるんですか。止めたしよ。

 

比較的最近の所では、俺が何回、日本支部の白虎と目を合わせて、朱雀の召喚呪文読んだと思ってるんですか。

 

……こういうのは慣れが一番ですね。いつか悪霊過積載を起こして血とか吐いてぶっ倒れるかもしれないけれど。

 

「ギャーッ!」な悲鳴とか、いきなりの怖い顔が無ければホラー大丈夫だと思っている方は、試してみるのもいいんじゃないでしょうか。

 

一切、責任は取らねえけど。

 

あと、書く流れがつくれなかったのでココで書きますが、中盤から主人公を苦しめる首の痛みの原因が、最後の最後に明らかになるんですが、それも良かった。コレはネタでも何でもなく。

 

世の中全ての不幸が怪奇現象に由来するのかと言われれば、そんな事は当然ないからね。怪奇現象全然関係ない、不幸まみれの世の中です。悪霊全然関係ない場所でも、血とか吐いてぶっ倒れるかもしれないね。南無南無。

5連続敬遠と便所ワンキル「甲子園が割れた日」

球技全体への興味が0の自分ではあるが、今年の夏は妙に野球を意識していた。やはりにじさんじ甲子園の影響であろう。日頃応援しているライバーさん方による「甲子園」は、球技の興味0、体育会系の印象マイナスの俺にも若干の影響をもたらした。

 

マジで良い試合揃いだったので本戦だけでも見てください。気になる高校があればここまでの道程も追ってみてください。俺は王立ヘルエスタ高校を推していた。勿論、どこも好きでしたがね。

 


【#にじさんじ甲子園】にじさんじ甲子園 本戦 〜Aリーグ〜【パワプロ2020】

 


【#にじさんじ甲子園】にじさんじ甲子園 本戦 〜Bリーグ〜【パワプロ2020】

 

こんな機会はなかなか無い。俺がスポーツに興味を持てるタイミングなんてものは、10年に1度あるかどうかである。無駄にするには貴重だが、この猛暑の中でスポーツを実際にやるほどでは無い。2時間で倒れます。嘘。20分で熱意が0になって止める。クーラー最高。スポーツの本を読むきっかけにするくらいが健全だろう。

 

書店で探せば面白そうなのがあった。「甲子園が割れた日」である。今にして思えば甲子園に熱意を持ったのをきっかけとしてこの本に興味を持つあたりが「性根」を示しているようで、嫌ですね。

 

 

【あらすじ】

「甲子園なんてこなければよかった」――。球史に刻まれた一戦、1992年夏、星稜vs明徳義塾明。松井との勝負を避けた明徳は非難を受け、試合をきっかけに両校ナインには大きな葛藤が生まれた。あれから15年、自らの人生を歩みだした監督、元球児が語る、封印された記憶、高校野球の聖地で、彼らは何を思い、何が行われたのか。球児たちの軌跡を丹念に迫ったノンフィクション。【カバー裏より引用】

 

以下、ネタバレ注意。

 

 

 

真剣勝負というのは横から見ていると時に滑稽である。俺の好きな「真剣勝負」はインドア系なのでそちらの話をするが、遊戯王というカードゲームでは一時期の海外で、「対戦が始まって『とあるモンスター』を場に出したら、試合終了寸前までトイレに籠る」という……敢えてこの表現を使うが「戦法」が存在した。

 

俗称を「便所ワンキル」という。詳細は省くが『とあるモンスター』は相手のターン開始時にダメージを与える事ができて、色々なカードで「呼び出す」事ができる。そして海外の遊戯王(大会)では試合に制限時間があり……その制限時間を超えると残りの体力が多い方が勝つので、「こちらが先攻で『とあるモンスター』か、あるいは『呼び出せるカード』が手札にある」……そんな緩い条件をクリアすれば、相手に制限時間寸前にターンを渡し、ごく微量のダメージを与える事で……勝利できる。

 

誤解を恐れずに言えば、遊戯王において先攻1ターン目で勝負が決まる、というのは、別に珍しい事ではない。公式ルールはそれが「やりにくい」ように気を使っているけれど、その時々のカードプールにより様々な「先攻1キル」は存在し……当然のように「後攻1キル」も存在し……流石に実際1キル出来るかどうかは腕前と運と相手の盤面が絡んでくるのだけれど、「1ターンで切り札を出し、相手への妨害策も並べ、ターンを渡す」くらいならもう、当たり前である。勝負は1ターン目で、ほぼ決まる。それが遊戯王の大会だ。大会でそれが出来ないなら、それはデッキの構築かプレイングを誤っている。

 

そんなガチ勢の集いにおいて「珍しくはない、ほぼ勝負が決まる盤面」に過ぎない「便所ワンキル」が、何故蛇蝎の如くに嫌われたかと言えばコレは、成功率がそこそこ以上に高いのもあるが、何より番外戦術が過ぎるからである。

 

いや、だって、コレをやられた側の立場になって考えてみてくださいよ。直前まで入念にデッキの調整を重ね、交通費出して朝から電車に揺られ、独特の空気の会場に辿り着き、さて対戦だ。相手がモンスターを出して……「ちょっとトイレいいですか?」……まぁ、良いよ。許可を出す。急に腹が痛くなることは誰にでもあるだろう………………帰ってこない。…………帰ってきた。おいおいもう時間がないぞ。急いでターンを始め、ドローする。ダメージ。負け。

 

コレは酷いね。記念すべき大会の思い出は、9割方が「トイレ待ち」である。……実際には……「窃盗ジャッジキル」という逆転の荒技があるらしいけれど……流石にアレは都市伝説だろうと思っている。アレ、バレれば良くて大会出禁、悪くて逮捕だから。やった奴が1人か2人はいるかもしれないが……対策として流行したとまでは。本当、調べてみると色々あって面白いですよ。見ている分には。Vドラコントロールに対する【セルフデッキデス】、好き。

 

遊戯王の話をすると長い。本題に戻る。

 

敬遠なんて全然、可愛いもんだろ。ルールの範疇なんだから。便所ワンキルに比べたら。

 

それが本件、5連続敬遠の第一印象だった。

 

比較対象が悪すぎる。

 

 

 

松井秀喜。俺でも顔と名前が一致している野球選手のうちの1人だ。ちゃんと数えた事はないが、多分、10人いないうちの1人だ。あだ名は「ゴジラ」。なんと選手のあだ名まで俺が把握している!コレはメジャー選手。二重の意味で。

 

そんな奴と勝負したいか。遊びではない「真剣勝負」がしたいか。すれば負けるぞ。絶対に、とは言わないが、高確率で。……勝負を避ける判断は、責められませんよ。

 

実際この本でも「敬遠」自体を嫌っている人は、ほとんど居なかった。「5連続」に疑問を呈する人はいたが、「敬遠」はルールで間違いなく認められている。ここはグレーゾーンですら無い。真っ白だろう。……まぁ、真っ白な事でも嫌うだけなら、ちょっとはいるのは人の世の常。具体的には、解説の松岡英孝さんとかな。

 

【第1打席、第2打席の時点で、松岡は既に《勝負して欲しかったですね》と繰り返していた。そして明徳が敬遠を重ねる度に、感情のボルテージを上げていく。

 

第3打席では《勝負しなきゃイカンですよ》と切るような語調になった。さらに《高知の野球とはちょっと違いますね》と加えた。

 

第4打席も次のような調子だった。

 

《これはイカンですね》

《これは勝負すべきですね。5万5000の観衆のためにも》

 

最後の打席になると、松岡の声が微妙に揺れ始める。

 

《3年生対3年生の、男の勝負をして欲しい。いや、残念ですよ。本当に残念です》】(p221)

 

これはこれで、ある種の理想的なリアクションではあるけれど。また遊戯王の話になるけれど、こちらが作った盤面を見て相手が「デュエリスト同士の、男の勝負をして欲しい。いや、残念ですよ。本当に残念です」と呟いたら、それは決闘者(特にロック・コントロール系のデッキを好む者)冥利に尽きるからね。照れちゃう。

 

……身内のカジュアルな試合なら多少は自重しますよ?……最近はめっきり、やってねーし。ペンデュラムでカードショップから離れ、リンク召喚からすっかり実戦を離れている。人間関係の変化はねー、どうにもねー。たまにSwitchで遊ぶくらいだねー。

 

 

 

というかこの本読んでるとマジで松井が圧倒的過ぎて。間違いなく「身内の試合では使う前に一声、確認かけなきゃいけないカードカテゴリ」ですよ、こんなん。

 

【実は対戦が決まった時、恩師の石山さん(健一=早稲田大学元監督)と電話で話したんです。それで『勝ちたいんならアイツとは絶対勝負するな。アイツは今すぐにでも全日本の4番を打てるくらいのヤツだ』と】(p102)

 

……コレは敬遠したのとは別の高校の監督の言葉ですが。ココはね、逆に塁にランナー溜めちゃうのを避けるべきリスクとして捉えた。松井以外のバッターもけして弱くない、ちゃんと強いから。どうしようもねえカテゴリだな。順当に回しているだけなのに、ルールから何も外れず、セオリー通りに動かしているだけなのに強い。全盛期の【征竜】か、はたまた【EMem】か。【十二獣】って感じはしないな。アレはルールから外れているので。

 

勿論、甲子園は「公式大会」である。どんなガチカードでも使うべきだ。そして、その「対策」はして、されて、然るべきだ。「直接戦闘めちゃくちゃ強い」相手の対策に、「戦闘を避ける」のは、当たり前じゃないですか。勝ちたいんだから。

 

 

 

ただ対策として考えられるのは……「出塁した松井の活用」で、そうなってくると、この本でも登場した、松井の「次の打者」にプレッシャーというか……タスクが掛かってくる。彼……月岩が打っていれば、と、たかだか本を一冊読んだ自分には言えない。……いや、実際は、言われてるんですけどね。同時期の選手だと若干の当事者意識が出て、言えちゃうんだろうか。

 

【「入学前から野球部の練習に参加してたんですけど、そのときに嫌になっちゃったんです。先輩に、お前が打ってれば勝てたのにな、みたいなことを散々言われて。もちろん、冗談で言ってるんですよ。それは分かってたんですけどね……。でもボク的には応える事があって」

 

そんな軽いやり合いから発生したもつれの中で、ある先輩にまだ中味が残っているコーラの缶を投げつけられたことがあった。その仕打ちに堪えきれなかった月岩は思わず手を出してしまった。それが決定打となった。】(p 166)

 

本当、それを言うかね。

 

 

 

両チームの監督や、敬遠したピッチャー。そして松井本人。それぞれの考えがしっかりあった。

 

それを「魅力的なキャラクター」であるだとか、「青春ドラマ」と表現するのは少し違うだろう。コレはただの現実である。……勿論、この本に書かれている事が全てではないだろうけれども。

 

甲子園。球児の夏。

 

そんなフレーズとは少しばかり離れてしまった、全く爽やかではないインタビューの記録が心に残る。

 

もう少し野球だとか、スポーツだとかに情熱のある人間なら、また少し違う感想が生まれたのかも知れぬ。

 

少なくともこんなに遊戯王ネタに紙面を割く事はなかった。

 

野球にちゃんと関心がある者に、男の感想を書いて欲しい。いや、残念ですよ。本当に残念です。

第8回「突発好きな物図鑑」まとめ あっさり倒される実力派その他

 

「この後〇〇する事になるのだが……」みたいな事ですね。実際〇〇するんだよ。

 

ベストのシーン……嘘喰いのラビリンス戦(2戦目)は、正確な表現をするとこんな感じ。

 

ゲームの審判(厳密にはちょい違うけどまぁ、まぁ)の門倉立会人が「ある事」に気づいてモノローグを挟み込みんですよ。

 

「いや…やはりそうだ 間違いない」

「何という 恐ろしい男だ」

「信じられないことを考える………… しかも獲物はその事に気付いていない… 何て事だこれでは」

嘘喰いは 間違いなく 負けるぞ」

 

と。こんなん完全に前振りじゃないですか。敵がなんか策を仕掛けてて、このままだと負けちゃうよー、じゃないですか。そんなもん、嘘喰いは実は見抜いてて、気付いていないと思わせておいて実は気付いてた、みたいな感じで「アンタ 嘘つきだね」の逆転勝利、の、前振りじゃないですか。

 

嘘喰い、この戦いは普通に負けます。

 

これはねえ、実際読んでもらわないとどんな風に見事に、普通に「負ける」のか解らないんですよ!そのギャンブルの特殊性と……あと、そこまでに提示された情報、コレら全てを総合して考えて……気付けるか否か、というお話なので。負けて、そこで終わりでは勿論、無い!

 

 

シリアス漫画にいるギャグ時空のキャラ、大好きなんですよ。たまにちゃんとシリアスするのもいいし、ずっと崩さなくてもいいし。

 

そんなギャグ時空キャラが銀髪イケメンの厨二だったら?好き。

 

でも厨二口上、ブラクラの世界観で言ってたら普通に撃たれるよ?当たり前じゃん。なので撃たれる。だが、当然、撃たれた時の対策もしている。好き!カジュアルなガチ勢!何がそこまでさせるのか解らんが、存分にその世界観で生きるが良い!

 

いつの日かその二丁拳銃が役に立つ日が来るのか、それとも来ないのか。多分来ませんが、来るとしたらどんなシーンなのか。次の出番が楽しみですね。いつになるやろな。

 

……小説版のアイツ?好きに決まってんだろ。また今度やるかもしれません。でも存在というか、どういうキャラなのかがネタバレな部分はあるからね……。

 

 

【ガトリング・オーガバーン】を用い、LP4000のアニメ版において効果ダメージでの先攻1キルを決めまくる。「相手が何かをする前に倒す」というのは遊戯王に限らずあらゆる対戦において正義だが、明らかにやり過ぎだ。彼のカードは現在一度もOCG化されていない。キャノン・ソルジャーを始めとする射出系バーンも回数制限無いと許されない御時世だから……そこの改変は必須でしょうねえ。

 

クラッシュタウン編はその魅力が視聴者の間で語り継がれてきた名エピソードだが、その「敵役」としてはベストのキャラクター性だったのでは無いか、と考える。

 

DSのゲームでも【フルバーン】で襲いかかってくる。こちらは鬼柳とタッグを組んで戦う事になる変則デュエルだが、やはり手札10枚を要求してくる。遊戯王におけるフルバーンはそもそも「カード1枚で1000ダメージを与えることができれば初動で5000、3ターンドローして合計3000で、3ターンで勝負を決める事が出来る」という設計思想の元生まれたデッキだとされているが、お前そのデッキで手札10枚は、つまり、お前ッ!10000じゃねえか!

 

鬼柳さんは初動遅いし、CPUに【インフェルニティ】をグルグルさせる事が出来る訳もなく。そういう意味でも強敵だった。そもそもビーストとか入ってる【純インフェルニティ】だし。もっとトリシュループとかしなさいよ。されても困るけどさ。

 

実はガトリング・オーガよりロングバレル・オーガ及び埋葬呪文の宝札の方がヤバいのは内緒。勿論、ガトリング・オーガがヤバくないわけでは無いけれど。

 

 

無印禁書2巻のラスボス。ヒロインを世界を敵に回してでも、どんな手段を使ってでも救おうと、世界各地を飛び回り、いよいよ準備を整えたところで、1巻でヒロインが救われてしまった。全然自分関係ないところで。世俗を離れてたからそんなん知らんくてな……。

 

チート魔術ではあるけれども、思った事が片っ端から叶ってしまうため、チラッとでも失敗を想像するとアカン事になる。あと、地味に使える範囲に縛りがある。本来数百年の詠唱が必要な所を工夫して無理やりやっとるからね。それを加味してもやっぱりチートではあるのですが、アウレオルスさん本人が割と悲観的・慎重な性格なのもあって、実はそこまで食い合わせが良くは無かったり。悪い事考えないようにしようとすればするほどアカンくなる能力なので、一度でも不利になっちゃうとな。シロクマのことだけは考えないで!

 

少なくとも「神の右席」登場までは能力面では最強か……。「天罰術式」が効果は限られるけれど使いやすさと効果範囲でやや上回るかもしれない。失敗した「使徒十字」辺りも成功していれば並んだかもしれないが。……でもアレ、オチがアレだから、成功するルートは……。

 

俺は飛び飛びで読んでて、今のシリーズとかは全然解らんのですが、なんか軽く調べたらえらい事になってますね。アレイスター出てきたの?っていうか、増えたの?なして?

 

……好きなシーンはステイルに自身の魔術(瞬間錬成)や他にも色々を酷評されながら、自らの魔法名「我が名誉は世界の為に(Honos628)」にかけた信念を思い出すシーンなのですが、これ、偽物なのよね……。

 

アニメでそんな偽物、アウレオルス・ダミーは存在をカットされ、漫画版では御本人の出番もカットされた。なしてや。そんなに早く3巻の一方通行出したかったんか。解る。人気キャラだもんな。姫神ちゃんは、その、一部熱狂的なファンはいるんだけれども……次の本格的な出番が確か体育祭とかになっちゃうから……。能力が「限定的過ぎる割に世界観的に異質過ぎる」し。吸血鬼、アレから出てきました?

 

 

4マナで出したチックチックが割ったシールドの幻竜砲で死んだでござるの巻。まぁ、それでも最低限の1ドローは出来るんだけどさ。

 

サイバー種族なんで色々強力な進化ができる。ドラゴノイドなので……ドラゴノイドはなんかあったっけ……「超竜バハム」のクルー・ブレイカーの対象になれる。そういうコンセプトのデッキを、キャラデザに惹かれ、活躍させたい一心で組んだ記憶がある。でもサイバー種族で進化させるとドラゴノイド消えるよ。噛み合ってねえじゃねえか。

 

当時なんでキャラデザがツボに来たのかはよく解っていなかったんですが、今見たらばギザっ歯で三白眼(気味。2.5位、下が微妙)だったので、「ああ」となりました。怖っ。時系列で言えば一番最初まであるじゃん……え?お前が俺の性癖の目覚めなの?……「そうではない」と言う事にしておいたほうが、チックチックと俺の関係に良さそうなので、そうしましょう。

 

 

 

それにしても今回のまとめはどうにも、「単純な腕力」が弱い連中だ。ガトリング・オーガの攻撃力はなんだっけ。調べたら800でした。DM最低ラインのチックチックにも殴り負ける。特殊枠のクルトくらいしか倒せない。けれどもチックチックとガトリング・オーガどちらが怖いのかと聞かれれば、それはガトリング・オーガです。

 

初めは「ロットンロットンまとめ」とかにしようと思ったけれど、こちらの共通項の方が面白そうなのでそれでまとめよう。アウレオルスも殴り合いは弱かろう。ウィザードの方はそもそも攻撃出来ない。アレは敵の攻撃を誘導するデコイ兼、味方撤退用の置き物ですので。

「ジョーズ」を最初に見られなかったのは悲劇?

記憶の彼方にある三面記事がソースなので、話半分に聞いて欲しいのですが、最近の若者の、いわゆる「性癖」という物は、徐々にアブノーマルなものになっているようです。本当に話半分に聞いて欲しいんですが。一応記事を探したが見当たらなかった。俺の脳内記事かもしれない。

 

じゃあ話半分どころじゃねえや。話1/4に聞いてください。1/10とかでも良いぞ。1/100でもなんでも。小さければ小さいほど俺が喜ぶ。何かしらの責任を負わなくて済むから。電子顕微鏡を使って俺の話は聞いてください。話ミクロンの嘘八百です。

 

その記事ではなんかアンケートみたいなのを取って、性癖を調査して、本誌調べの統計を出して、いわゆるアブノーマルな性癖の割合が高くなっていると示していた。下世話な事です。何をもって「アブノーマル」とするのか極めて慎重にならなければならないこの御時世では特にそう感じてしまう。俺の脳内記者かもしれないのであまり悪くは言えないけれど。結構前の事だしな。

 

で、まぁ、記事にするくらいに力入れて調べてるので、一応その原因らしき物も考察していて。それによれば最近の若者はAVとかエロ本とか選び放題の中にいるから、いわゆるノーマルな性癖を経る前にアブノーマルな性癖を知ってしまうんだ、とそういう結論をつけていた。下世話な事です。「ノーマルな性癖」とは具体的に何なのか、今となってはどう示してみても怒られるでしょう。俺の脳内記者かもしれないのであまり悪くは言えないけれど。結構前の事だしな。

 

……で、こういう記事を見て。あるいは俺が脳内でこういう論理を組み立てて。その時俺が何を思ったのかといえば、「コレはサメ映画の話だな」という事で。ここの飛躍が自分でも面白かったので結構前の事でも覚えている訳ですが。

 

だから……今サメ映画色々あるでしょう?それを中心に紹介する映画ライターみたいな人までいるわけです。それで、NetflixAmazonプライムとかを使えば、それが選び放題なわけですよ。ネットわかんねえ人でもGEOとかTSUTAYAに行けば、そこそこ以上に選べる訳ですよ。

 

ただ、選び放題っつっても、いわゆる映画を見る体力というか、モチベーション、あるいはもっと身もふたもねえところで「時間」は有限なわけで、いわゆる味の濃い映画を観たくなってしまうのは人情という物。

 

例えばサメが竜巻で飛んだり。頭が増えたり。ロボだったり。燃えたり。幽霊だったり。陸地でもなんでも泳いだり。そういう奴らを選ぶのも、まぁ、悪い事では無い。全然。個人の好みです。

 

かく言う私も初めて見た「サメ映画」はシャークネード2。子供の頃USJジョーズのアトラクションには乗ったけれど、さすがにアレを「観た」にカウントするのは駄目だろう。俺の初めてはシャークネード2でした。その後は3でその次は1です。

 

シャークネード2を知らない人のために説明しておくと、サメが竜巻で飛ぶ映画の2作目です。楽しかったよ。感想で「楽しい」が出てくるのは良い映画ですね。

 

で……シャークネードシリーズは楽しく見たけれど……まだ「ジョーズ」は見てない……。

 

コレは、ちょっと気になる。ノーマルな性癖のAV(だからどういう物なんだソレは)を見ないのは全然気にならないけれど、ノーマルなサメ映画の代表格を見ないのは気になる。なんなら初体験がシャークネードなのにも若干の引け目を感じてしまう。この書き方だとシャークネードさんには本当に申し訳ないが、別にシャークネードさんに不満があったとかではなく、俺が初めてで上手く観れたか解らないから、その意味で。

 

……サメ映画の鑑賞の話ですよ?

 

まぁ、過去の名作を漁るのは良い事です。そんな訳で見てみましょう。

 

Twitterで実況(らしき事)もしてたのでそっち見てた人は2度目になるが、済まんね。……アレもミュート用のタグとか考えた方がええんかな……。ネタバレとかあったら悪いもんな……。ミュートされっぱなしにされたら寂しいからな……。以下ネタバレ注意です。

 

 

 

 

 

そんな訳でジョーズを見ましたが。

 

面白かったです。このレベルの有名な「過去の名作」となると、ある程度の古臭さは覚悟していましたが、全く気にならなかった。

 

見る前の印象と違う部分もあるにはあって、俺はこの映画を「D級サメ映画の対極」に起き過ぎていましたね。もちろん、映画史、あるいはサメ映画、そのどちらの評価軸においても最上位〜上位クラスなのは間違いないんですが、しかし「D級サメ映画の対極」では無い。

 

コレもまだ観てない作品(実の所、観る気もそんなには無いので具体的な作品名を出さないことで一応の義理とする)が多い中、伝え聞く話で申し訳ないが、いわゆる「D級サメ映画」では「サメがほとんど映らず」、襲撃は「血糊で誤魔化され」、「描写外、画面外でキャラが喰われ」、シナリオ面では「人間ドラマにサメを無理やり放り込んだ」ようなものも多い、と聞く。

 

ジョーズはこのわかりやすい「対極」なのだろうなと、勝手に思っていた。

 

つまり、こうだ。

 

「サメ、最初から最後まで出っ放し!」で、襲撃は「肉片までしっかり描写!」、「全捕食シーンをノーカット!」からの、シナリオ面では「サメとの対決をメインとし、そこに終始する」。

 

こういう作品だと思っていた。市長のノリとかも知ってはいたんだけど、そういうゴタゴタはまぁ、前半30分くらいで終わるだろうと思っていた。正直襲撃シーンの勝手なこの妄想で、「グロいのはちょっと……」と敬遠していた部分はある。

 

それが、どうだ。1つずつ見ていく。

 

サメの出番。多い。しかし、その多くは「ヒレが少しだけ」である。あとはシルエット。全体像であるとか、牙や口、顔が出現するのは、結構な後半である。

 

コレねえ、出てくるシーンが良いんですよ。この船と仲間で巨大サメ倒すぜーっ!って言うノリで出たけどなかなか会えなかったり、会えても取り逃したりがある程度続いた後で、主人公が愚痴りながら餌というか、撒き餌というかの魚の内臓を海に撒いてたら、いきなり近くにガバァッと現れて。

 

しかもこの後の空気感が良くて、サメ、この場面では主人公を襲ったりしないで、巻かれた内臓喰って一旦海に戻るんですよ。それを見届けた主人公、無言で立ち上がり、後退りでゆっくり船室の船長の方へ行って。静かに言うんですよ。

 

「……この船じゃ小さ過ぎる……」

 

本当に静かな演技なんですが、それゆえに本当に「刺激する訳にはいかない化け物」がすぐ近くにいるんだな、と思わせられた。

 

あとお手本のような「正面を向いたままのゆっくり後退り」でしたからね。出会ったのがツキノワグマだったら100点満点だった。残念ながらサメだったので特に意味は無かったけれど。

 

襲撃シーンはどうだ。

 

海中アングルと「例のBGM」で為される緊迫感あふれるシーンだけれども、少なくとも姿がしっかり描写される前、前半は案外あっさりした印象を受けた。血糊もドバドバと安っぽくなるほどは使われていなかったが、逆に言うと適量は使われていた。コレに関しては、正直、助かる。肉片を映すのをウリにされても、困る。

 

しかし「例のBGM」は良いですね。強キャラの出現BGMが嫌いな男子はいません!あくまでも「出現BGM」に過ぎないので攻撃時それが掛かるわけでは無いのもポイント。不意打ちの緊迫感は、常にある。

 

で、白眉は「画面外の襲撃」で、まさにその画面外、描写外、としか言えない襲撃シーンが存在する。具体的には、既に襲われ死んでいる被害者を発見する、と言う下りなんだけれども、このシーンは「誰も襲われる所を見たわけじゃ無い」と言う一点に、シナリオ上の意味がきちんとある。

 

平たく言うと、サメのせいだと信じてくれないんですよ、市長が。「物証持ってこいよ」つって。あったんだけど、落としちゃってダメでした。残念。そこでまた市長との間に亀裂入っちゃったりね。キチンと「画面外で死んでいる」事に意味があって、良かった。

 

最後にシナリオ、「サメとの対決をメインとし、そこに終始する」。これはどうか。

 

確かにメインはずっと「サメとの対決」だった。そこは外さない。しかしだからと言って人間ドラマが希薄だった、人間ドラマではなかったのか、というと、そういうわけでは無い。

 

「サメとの対決」の為に海水浴場を封鎖したい主人公陣営、それだと島の観光に大ダメージが入るのでサメを「噂」にして凌ぎたい市長陣営のやり取りは見応えがあった。

 

市長が良いキャラしてるんですよ。憎まれ役ではあるし、実際、「誰も海に入らないじゃん、お前行けよ!」とか悪手も打ってはいるんだけど。

 

ただ「皆の前でサメの解剖して死体がでたらどうする?」とか「物証も無しに議会を動かすことは出来ない」とかは、それはある程度その通りで、あと結局海水浴場を封鎖できずに発生した被害者の遺族に主人公が責められた際、遺族を止めこそはしない物の「君のせいじゃない」とフォローする下りなどは、普通に良かった。

 

最終的には自分の家族を危険に晒す事になってしまい、態度を改めるんだけれども、この時に病院に実に気まずそうに入ってくるのもよかった。悪役ではあっても、悪人ではない、最後の一線は踏み越えなかったその塩梅は、見る前の「単なる嫌なやつ」と言うイメージが良い意味で覆された。

 

……ただ、今回の鑑賞に一点問題があったとすればまさにこの点で。

 

……俺、コロナの事忘れたくてこのタイミングでジョーズ見た側面は確かにあるんですよ。

 

……状況が……GoToキャンペーンとシンクロ起こしてて……結果、忘れるには至らなかった……!いやぁ、市長の対応もGoToキャンペーンも、そう易々と正誤は問えない問題ですので、そこの言及は避けますが、しかしあまりにも状況が……。

 

最初に見れなかったのは別に悲劇でも何でもありませんが、この状況で見るのは考え物かもしれませんね。ある意味貴重な経験ではあるかもしれないけれど。

鰻の白焼きが喰いてえ、と、思うだけ

鰻の大量乱獲が懸念され始めたのは何時頃からか。

 

土用の丑の日が近づくと決まってネットで騒がれる。曰く「もはや絶滅寸前だ」、「そもそも『土用の丑』は平賀源内のステマに過ぎない」、「それにしても本来『う』の付く食べ物ならなんでも良いんだ」。そんなやり取りを毎年のように見かける。その割に大衆店なんかでも案外お手頃な値段で鰻の取引がなされている。

 

俺はどちらかと言えば「絶滅が心配」派の人間で、ここ数年は食わない年の方が「多い」。ここで「食っていない」と書けないのは、実家に帰省した際に用意されている事があるからだ。「お店で売られているのを買わない」までは意義を認める事が出来る。しかし「買われて家庭でご飯に盛られた」物を拒めば、ご飯一杯と鰻が無駄になるだけである。あと多分結局怒られて食う羽目になる。1発くらいは殴られるかもしれない。善意と厚意の物ですから。

 

ちなみに雑談で家族に「どうやら絶滅寸前らしい」とは話した事があると思う。忘れているのか、響かなかったのか、あるいは、「もうすぐ食えなく(類:手が届かなく)なりそうなら今食っとこう」という考えなのか。家族がこのどれに該当するのかを追求する気は、今の所ない。いつの世も資源関係はリアル魔神柱争奪戦ですね本当に。

 

そんな人間なのでそこまで鰻について偉そうな講釈を出来る立場では無いのだけれど、しかし自分の金では買ってないという一点に賭け、もはや恐らく敵わないだろう望みを一つ、ここに記したい。

 

……白焼きが喰いてえ……。

 

アレは……イギリスの食文化を紹介するやる夫スレだったか……。曖昧な記憶ではあるが、英国名物「鰻のゼリー寄せ」に苦言を呈されたイギリス人が、日本人に向かって「お前たちの蒲焼きもタレの味しかしないだろう」と言って、日本人が「コイツに白焼きを食わせてやろう」と決意する、みたいな……。そういうやり取りが何かであって、それを見てからずっと白焼きを食ってみたかった。ゼリー寄せもね、ちゃんと作ればアレ要するに煮凝りだから、不味くは無いそうなんですが。

 

……だが家で出て来るのはタレ付きのパック入りばかり……自分で金を稼ぐようになってからはすっかり絶滅が心配されるようになっていて……結局食べる事なく今日に至る。

 

「買われて盛られてたら食べる」スタンスの人間が、タレ派の家庭で白焼きを食べるのはとても難しい。

 

第一に思い浮かぶ解法として「正直に言う」と言うのがある。「俺、白焼きっていうの食べてみたいんだよね」と、言う。ではコレをしたらどうなるか。

 

「いやー、俺白焼きって言うの食べてみたいんだよね。鰻の絶滅が心配で自分の金では買わない俺だけれども、白焼きっていうの食べてみたいんだよね。金は出さないけどね。ああ、買ってきてくれたの?ありがとう。いやあ絶滅が心配だけれどもまぁ買われて盛られちゃったらね、白焼き前から食べたかったし。俺は金出してないしね、うん、いただきます」

 

殴られる事になんの異議も無い。なんなら自分で自分の頬を叩きながら言うからね。

 

「いやー、俺白焼きって言うの食べてみたいんだよね。鰻の絶滅が心配で⭐︎自分の金では買わない⭐︎俺だけれども、白焼きっていうの食べてみたいんだよね⭐︎金は出さないけどね⭐︎ああ、買ってきてくれたの?ありがとう⭐︎いやあ絶滅が心配だけれども⭐︎まぁ買われて盛られちゃったらね⭐︎白焼き前から食べたかったし⭐︎俺は金出してないしね⭐︎うん、いただきます⭐︎」

 

(⭐︎……タイミングよく叩こう!)

 

こんなのを家族に見られたら、頭か心の病院だよ。診察の後に案外買ってもらえるかもしれませんけれども。嫌だよ。

 

これを踏まえた無難な落とし所として、「正直に言った上で差額分を出す」というのがある。追加料金、手間賃を算出し、俺だけを白焼きにしてもらう。

 

ただ家族みんなで鰻を囲んで団欒だ、という場面で俺だけが白焼き、というのはどうでしょう。なんか俺だけ無理して通ぶってる感じがしませんか。1人だけ違うの食うのはな。しかも俺だけ高いとなるとな。相当に居心地が悪かろうな。

 

というか、それは結局「自分の意思でウナギを買っている」訳で、それをやるならなんか良い感じの店に1人で行くよ。家族には多分行った事を黙ってるよ。それをやるには現状の鰻に関する諸問題を考えると、食事に邪魔な程度の罪悪感が生まれるので、どうしようという話なんだコレは。

 

……まぁ現実的には結局この「自分で買って食う」が一番簡単なんですが。罪悪感の問題は現状どうしようも無い。

 

解決する方法があるとするならば、普通に鰻を食える、絶滅の心配が無くなるような環境となる事なんですが、コレは俺1人の力ではどうにもならん。あと現状の流れを見るに、ちょっと……だいぶ……かなり……うーん。

 

いつか食える日を夢見ていますが、まぁ、夢のまま終わるかもしれませんね。

 

あと、夢見る期間がかなり長くて、ハードルがかなり上がっている自覚があるので、そういう意味でも夢のままの方が良いかもしれませんね。

 

個人的に山椒のポテンシャルはもっと評価されるべきだと思う。君は鰻専用の薬味では終わらない。今から別の相方を探すのも良いだろう。鰻くんはね、もう、その、良い子なんだけど将来性が。

がぶ飲みメロンソーダと小学生マナー

その日、俺は電車で、1Lのお茶、ペットボトルを持って移動していた。お茶を買うのはいつもの事だ。最近では同じ値段で炭酸ジュースが売っていても、お茶を手に取ることが多くなった。甘味料が舌に残る。シュワシュワ感が時として不快である。これが成長か。敢えて悪く言えば老いか。嫌だなぁ。俺もタピオカミルクティーとか飲もうかなぁ。若干どころでなく遅い気もするなぁ。

 

今回の本題は1Lという容量の方だ。普段は500ml程のを買っているのだが、なぜ1Lを買ったのか。500mlだと途中で飲み干して、結果2つ買ってしまうのだが、たまたま目についた1Lのお茶が、500ml×2より安かったからだ。だから俺は1Lのお茶を買った。結果として退勤時、お茶は、少し余った。全体の1/4ほど余った。1000×(1/4)として、250mlだ。

 

まあ帰りまでの道中に飲めば良いかと思っていたのだが、移動中の給水というのは案外タイミングが難しい。周囲の状況にも左右され、気がつけば目的地であるファミレスはすぐ近くだった。まだ250ml残っている。

 

ファミレスにこれをもっていくか。しかし「飲食物の持ち込み」はマナー的にNGだろう。店内で飲まなければ良い話かもしれないが、李下に冠を正さずという言葉もある。鞄に詰め込むにも1Lのペットボトルはデカく、ぶ厚い。

 

飲むか。

 

悩みながらファミレスの前まで来て、そう考えた。空にしてから入れば疑われることも無いだろう。俺はペットボトルを咥え、上向きにして残った250mlを流し込んだ。途中で息継ぎもせずに。

 

結論から言うと、飲み切ることは出来た。途中で咽せるような事も無かった。しかし、飲み終わったあと、身体から確かにシグナルが出ていたのが解った。

 

「もうするなよ」

 

それは確かに警告だった。250mlだから耐えられた。もう少し増えて300ml、それをがぶ飲みしていたら溺れていた。脳が冷静な思考の末に下した結論であった。

 

「小さな缶一本がお前の嚥下能力に許された、ガブ飲みの限界だ」

 

脳の結論を、食事中ずっと考えていた。反論は浮かばなかった。自分自身の中での実感として、納得のいく答えではあった。安全策を取るべきである。このご時世、外で咽せる危険性は避けるべきだ。このご時世で無くとも、「良い大人」なのだから。なので、以降は大人しくするべきだろう。

 

そんな風に考えていた俺の脳内に、フッとアイツのシルエットが浮かび上がった。彼の名は『がぶ飲みメロンソーダ』。この状況で最も会いたくない男である。

 

 

「衰えたな」

 

重苦しい重圧を感じさせる言葉だった。

 

奴の容量をチラと見る。500ml。これのがぶ飲みは正気ではない。おまけに炭酸だ。甘味料だ。そう思うと同時に、奴に鼻で笑われてしまった。

 

「正気ではない?その狂気をお前は塾帰りに毎回していたのだがな」

 

昔の話だ。確かにそんな時期もあったけれど、毎回では無かった。それは誇張した表現だ。しかしやっていたのは事実である。俺はかつてがぶ飲みメロンソーダを本当にがぶ飲みしていた。友人もしていた。そうするのがマナーだと、小学生の間ではされていた。

 

小学生とマナーほど食い合わせの悪いものは無い。テレワークやZOOM会議においても、「根拠の無いマナー」を押し通す「偽マナー講師」が問題になっているようだが、そんな連中でも手を出さないのが「小学生マナー」である。

 

「がぶ飲みメロンソーダは『がぶ飲み』するのがマナーです!商品名に『がぶ飲み』とあるという事は、つまりそれを前提にした商品だという事。途中で息継ぎなど挟むのは、メーカー様にも申し訳無いですよね?」

 

このマナー講師は「午後の紅茶は午後にしか飲む事が許されない」と言うし(午後の紅茶だから)、「暴君ハバネロを食べる際には下手に出て触れる、食べる事に許可を得なければならない」と言う(相手は暴君だから)。単なるアホである。こんな事で人間の何かが測れるか。

 

「お前はコイツの同類なのか?」

 

脳内のガブ飲みメロンソーダに問い掛ければ、奴は消えていた。今後がぶ飲みメロンソーダを飲む機会があれば、途中休憩を挟みつつちびちびと飲もう。

 

そんな事を考えながらファミレスで頼んだものを食べ終わった。とある初夏の事だった。

 

がぶ飲みってブランド名に当たるんだってさ。出来る人はがぶ飲みしましょうね。俺は控えます。かぷ飲みくらいにしよう。

第7回「突発好きな物図鑑」まとめ 三白眼とギザっ歯その他

 

 

手広くやってるマフィア的組織のボス。部下にはそこそこ優しく、また愛猫(猫……?)のキクラゲちゃんにはとにかく甘い。

 

まぁ、ドロヘドロの世界に「食らうと終わる魔法」は案外いっぱいあるんですよ。「相手を生きたままバラバラにする魔法」の奴は準レギュラーだし、「相手をパイ料理にする」なんてのはほぼモブキャラだし。そういう意味で煙さんの魔法は、実はそんなにヤバくない。

 

……というのは勿論嘘で、小技の応用性がまずヤバく、そして何より魔法の出力と効果範囲……一纏めに言うと「単純な『煙』のスペック」が段違いなんですね。魔法のエフェクト、演出が「煙」で表される本作において、「煙」を名乗るだけの事はある。そう言う人です。

 

組織としては色々手広くやっているビジネスマン的な側面も。ラーメン屋とかもやってた。(多分)キノコ由来の食中毒で潰れたけど。

 

 

越佐大橋っていうのはそこそこ治安の悪い地名(そしてシリーズ)で、まぁ「日本刀」とか「青龍刀」とか「チェーンソー」とか……勿論「拳銃」使いもいっぱいいるんですが、その中にあって1人「鉄パイプ」で文字通り殴り込みをかけてくる不思議ダウナー系の女の子。

 

「眠り姫」の異名が示すとおり常に眠そうなジト目の三白眼です。たまらんな。可愛いもの好きで島の子供達(男女問わず)をよく抱きかかえています。ますますたまらんな。

 

こんな島でしか生きられない戦闘マシーンのような少女ですが、しかしそんな彼女を「こんな島には似合わない」と評した元サラリーマンも居まして。この人はとても正義感の強い人でねぇ……。書いてありますがこの話本当に好きなんですよ。短編集「5656!」で読めますので是非。一応シリーズ読了後の方が良いかも……致命的なネタバレは無いはずだけれど。

 

本当に良いオチで…………オチだって。はは。

 

 

しょうが!ネギ!ニンニク!

 

薬味と一緒に食うと旨い。勿論単品でも旨い。カルシウム豊富。食物連鎖を支える我らが魚群。文字通りの意味で雑魚の群れ。

 

大洗だったかな、水族館で魚群見ましたよ。年一か何かで点検するとやっぱり微妙に数変わるらしいね。そりゃまあ食われるし、産まれるわな。

 

なめろう食って凄く美味かったけれど、今思えばアレは鯵だったかもしれない。食い比べないと解らない。いや、あの日のなめろうの味はもう忘れてしまったけれど。鯵の味だったかもしれない。鯵の味。はは。

 

……疲れてんのかな、今日。

 

 

なんだっけ。15分駄文で触れたんだよな。「ギャグみてぇな危機」の一例として。

 

マックスに3匹、Xに1匹出てきて、それぞれにお名前があるんですよ。マックスに出てきたやつは「タマ」ちゃんと、「ミケ」ちゃんと、「クロ」ちゃん。後からXで出てきたのは「ムー」ちゃん。可愛い。ウニ9、猫1の謎ボールにひじきみてえな脚をはやしたような見た目をしている。

 

ギャグ回です。そこは誤魔化せない。けれども作中では割と上位の危機……いやマックスではどうだろう。全体的にヤベーの揃ってるからな。コイツらの1個前とか。

 

完全生命体、イフ!公式が「倒せなかったBADルート」を用意している、油断ならない強敵だ。

 

否。イフを強敵と認識する者は。決してイフを倒せない。……ここは宇宙化猫の項目なので、これ以上は触れませんが。

 

 

めだ箱さぁ。好きって言っても嫌いって言っても、面倒な事になるイメージが……勿論、ごくごく低確率なんだけどね。

 

所持能力は支配者を支配するスキル、操作令状(エラーメッセージプレート)。でも「支配的な空間」という事で「学校の校舎」に命令したり、「支配欲は誰でもちょっとは有る!」という事で一般の生徒を支配したりもしている。……まぁ、拡大解釈が過ぎるのはあの漫画割と皆……。

 

小説では地の文役でしたね。二面性のある性格(マスクでON/OFFの切り替えに使用)をしているのだけれども、マスク時も案外口は悪かったり、本性も存外に思ったより良い子だったりしている。二重人格、みたいな訳ではないのよな。本人の意識の切り替え用、というか。橙子さんのメガネみたいなもんだ。

 

……いや「役不足」を本来の意味で使うような子ではあるのだけれど。良い子……では、ない?過負荷にしては……うん、まぁ社会的な部類。

 

 

 

そんな訳で今回の突発好きな物図鑑でした。ギザっ歯と三白眼は少なくとも二次元キャラの見た目としてはかなり好き度高いんだけれど、でもこの2つを同時に持ってるキャラ、高確率でケヒャ笑いのバトルジャンキーなのよね……。

 

バトルジャンキーも好きは好きなんだけれども、ケヒャ笑いとそれが組み合わされちゃうと……十中八九「面白い」になって、二、一で「カッコいい」になっちゃうから……「可愛い」とは離れちゃうんですよね。難儀な事です。