節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

雑読メモログ(4/5)

ちょっと時間が空いてしまったけれども、雑読メモログを再開します。

 

前回はこちら。

 

zattomushi.hatenablog.com

 

Twitterのリンクがどうなるかわからんので不安ではあるが……まぁ、やっていきましょう。

 

 

嵐の夜、閉鎖状況で3人くらいが話す話らしいです。デカメロン的だとかなんとか。デカメロンは確か例の「世界文学大図鑑」に乗っていたような気がする。別の本だったかどうか?当時の世俗的な文化・風習が割と絡んでくるので読む際には気を付けないとだとかなんとか。別の本だったような気もする。

 

デカメロンと聞くとどうしても妖精騎士ガウェインが出てきてしまうのは俺だけではないと思いたいが。2部6章で最も印象に残ったのが彼女だったのは想定外でしたねぇ。第一印象は「なんかデカいのが居る……」くらいだったのに。

 

……と、ここで「ここ30年の小説全部」は読了。全体としての感想は、また今度記事にまとめます。

 

とりあえず更新頻度を上げるための試みとして、色々やってみよう、と言う事で。

 

これで「ここ30年の小説全部」読んだ、と、文字の上ではそう言えるわけだな。言った後で相手が乗ってきたら困るけれども。

 

というわけで次からは「キドナプキディング」の読書メモです。ちなみに雑読メモの後ろについているアルファベットは、アレよ、複数の本を同時に読む際にどのメモがどの本のメモなのか管理するためのものよ。本の評価とかではないです。さすがに二十何冊も並行で読むことは、趣味としてはないだろう。記事としてまとめる際に改めて推敲するけれども、ネタバレ注意です。ジャンルとしては一応ミステリになるだろうしな。

 

本当か?異能バトルじゃないか?

 

 

 

まぁ多分本人から聞いていると思うが、君のお父さんはめちゃくちゃ殺人事件を隠蔽しているぞ。

 

まともに警察に通報したの、2作目くらいでは……?「普通の人が普通に殺される事件」がそのくらいしか無かった、と言うことでもあるが。

 

そして最も「やらかした」のも、またその2作目なのである……!事件自体はちゃんと通報したんだけれども……まぁ、これ以上はネタバレとして度が過ぎてしまうか。

 

ちょっと記憶テスト的にそれぞれの巻での「警察」の動きについて思い出してみよう。別に答え合わせとかはしないけれども。

 

1巻……離島で起こった殺人事件。主人公は(一応)警察を呼ぼうとしたが、島の偉い人が「警察は嫌いだから呼ばん」と言ったので、呼ばない事に。

 

2巻……京都市内で起こった殺人事件。主人公は通報『は』ちゃんとした。ただし。

 

3巻……特殊な学校で起こった殺人事件。その学校の特殊性から通報は「しても無駄」と言う事で終わる。

 

4巻……極めて特殊な環境で起こった殺人事件。その特殊性から警察は関与出来ず。…………万一来られてたら主人公は結構困る事になったかもあんまりちゃんと調べないで……!

 

5巻……特殊な研究所で起こった殺人事件。「主人公しか生き残らなかった」ので大変に困り、警察に通報するどころか逆に事件を揉み消せる知り合い」に連絡した。

 

まぁ、盾ちゃん。君のお母ちゃんやね。

 

6巻…………事件は色々あったのだが、どの事件もまぁ特殊だから警察がどうこうとかは無かった……?古槍ちゃんとか澪標姉妹とか、死体が発見されたので多分捜査自体はしてるけど、アレはもう犯人がどうとかそう言う話ではないので……。アパートの倒壊に際して警察の人が来ていたが、これも登場人物の誰が通報したとかでは無かったはず。多分近隣の目撃者の方による通報だと思う。

 

……いや、決して役立たずとかそういう事ではないのですが……この辺りはジャンルによる悲しさとしか言えず。無能とかではなくて斑鳩さんも咲さんもちゃんと仕事できる人なのですが、しかしだからこそ困るのだ……。

 

ノーカラテ・ノーディティクティブ……。

 

……戯言遣いもカラテはそんなにないが。アレはどちらかといえばジツだしな。カラテは赤色に任せよう。高度に極まったカラテはジツと見分けがつかず、実際赤色のカラテは論理能力めいている。

 

 

第一章章題。

 

そんな赤色の轢殺カラテが今宵も炸裂する!

 

ノイズくんには本当にひどいことをしたよね。

 

俺はただの「一種のギャグ」として受け取ってしまったのだけど、後年解説本である「ディクショナル」を読んで色々「意図」があった事を知る。一応本文でもそれらしい事は触れられていたのだが、当時の俺は「仰々しく登場した敵キャラが一瞬で倒される」という展開にギャグの匂いを強く感じ、その意図に気づけなかったのだな。

 

それはそれとして「仰々しく登場した敵キャラが一瞬で倒される」展開自体は多分西尾先生、半ば自覚的に使っているフシはあると思う。まにわに然り裏の六人然り。最近の作品でもやっているんだろうか。やっているなら嬉しい。好きなので。

 

サイアークがやられたようだな……。

 

 

 

呟きを3つまとめたので、機械的に斬っていく。

続きは今度、また次回。

#成田作品ワンドロ 「デュラララ!!」について1時間考えてみよう

 

デュラララ!!」は成田良悟の作品の中で最も有名な作品であろう。

 

代表作といっても良い……いや、わかりますが。デビュー作でありアニメ化も果たした「Baccano!」をまずは挙げろ、とか、言いたくなるお気持ちはわかりますが、しかし世間一般でのネームバリューは「デュラララ!!」の方が上であろう。

 

ネームバリュー、認知度をどう比べるか、というとこれは難しい問題だが、ざっとGoogleで「デュラララ!!」を検索するとそのHit数は「6,910,000件」である。一方の「Baccano!」は「4,430,000件 」(「バッカーノ!」だと「608,000件」)なので……ざっくり1.5倍くらいの差はあるわけだ。

 

Baccano!もアニメ化はしたんですけどね……「深夜アニメ」というものが文化として定着するより、すこーし若干早かった(2007年……『見る人は見る』時期ではあったか?年単位の同期に「らき☆すた」や「バンブーブレード」等。……「魔人探偵脳噛ネウロ」も、在る)のと、Baccano!のアニメが「主に2つの時間軸・事件を並列して動かす」という慣れていない人が見るには少々向かない構成だったのが、「デュラララ!!」と比較して話題になりにくい影響としてあるだろうか……どちらも同時にクライマックスへ向かって盛り上がっていくあの感じは、好みではあったのですが、わかりやすさという視点で見るとな。

 

デュラララ!!」があそこまで大ヒットしたのか、と言われれば、素人である俺には「ヒットしたからヒットした」としか言えないし、たぶんそこまで的外れな論でもない。話題になったから話題になる、ブームになったからブームになる、ある一定のラインを超えた流行というのは、それ自体が一つの流れを生み出すもので……当時「デュラララ!!」はそうした流れの中に確かにあった……ように思う。すごかったんですよ当時……もはや曖昧な記憶ではあるが……。

 

その流れの中で起こった極めてどうでも良いバタフライ・エフェクトの1つが、「俺が成田良悟にドハマりした」というもので、当時刊行されていた「デュラララ!!」を……確か7巻までだったかな、一気に買ったのです。そっからBaccano!とか越佐とかヴぁんぷ!とかの他シリーズへ入っていって……おおそうだ、当時「存在を知っていたけど読めなかった」商品の中には「Fate/strange fake」もあったのだった!今はその続きまで読むことができるんだから当時の俺にぜひ伝えてやりたい。

 

別に幻滅はされんだろうし。当時の俺のいわゆる理想の大人は「スネ吉兄さん」と「井之頭五郎」だったからな……。嗜好品と食事はまぁ比較的に好きにやらせていただいております故。最近ちょっと油モノは良いかな、という気もしてきましたが。五郎ちゃんの役者さんが毎回文句を言う気持ちもわかるさ。

 

そんなわけで成田良悟作品にハマるきっかけになった「デュラララ!!」について……正直何について語るか全然まとまってないのですが、「印象に残った巻ごと」でとりあえず語っていこうかな、と思います。ネタバレ注意です!

 

 

デュラララ!! 4

「数年前から目撃されている黒バイクというのは、貴方の事で宜しいんでしょうか?何の目的でこんな危険なバイクで街を走行しているんですか?犯罪を犯しているという意識はあるんですか?」東京・池袋。そこには様々な火種とそれに振り回される人種が集う。池袋の都市伝説を放送するテレビ局、服装と特性がバラバラの奇妙な双子の新入生、兄とは正反対の有名アイドル、ダラーズの先輩に憧れる少年、果ては殺し屋に殺人鬼、そして一千万の賞金が懸かった“首なしライダー”。そんな彼らが過ごす賑やかな池袋の休日は、今日も平和なのだろうか―。

 

冷静に考えてみるとあらすじに「殺し屋」と「殺人鬼」が出てきたうえで「平和なのだろうか―」と聞かれても困りますね。……まぁ、池袋ならよくある事か。自販機が空を飛んでいる程度では全然平和だよ。

 

2010年まとめ買い組の1冊。単巻での完成度も非常に高い。新キャラたちが続々登場し、そして既存のキャラクターとまた絡んでいく、という意味で、1つの区切りとなった3巻の後に相応しい一冊。

 

この巻ではそうだなぁ、殺人鬼ハリウッド……ネタバレになってしまうが言ってしまうか、上で注意はしたことだし……「聖辺ルリ」が良いキャラしていましたねぇ。B級映画のような特殊メイクを己に施し、「怪物」としてその暴威を振るう恐るべき殺人鬼……その正体は、今を時めく美少女アイドルだったのだ!

 

……という二面性と、あとはまぁ、キャラデザ。なんでしょうね、ダウナー気味というかなんというか……。当然というかなんというか、本巻で「交際相手」となった「羽島幽平」……「平和島幽」も好き。

 

こちらはB級映画……どころかZ級でも仕事に手を抜かないところとか、兄からの影響の受け方とかが独特の視点で描かれていて良かったな、と思います。

 

この二人の「怪物」と「人間」に対するスタンスとかはそれぞれ魅力的で良かったと思います。まぁでもあんまり表舞台に出てくることはないのかなぁ……下手したらメインの出番としては4巻で終わりかなぁ、と7巻までを一気読みした段階ではそう思っていた記憶もある。

 

実際にはルリさんは割と話の根幹に絡んでくる人物……の知り合いだったり、それにちょっと関係あるところで野生のストーカーがPOPしたり、割と出番も多かったのですが。嬉しい誤算ではあった。

 

「聖辺」姓は他の成田作品だと「ヴぁんぷ!」に若干絡んでおり、もしかしたら他シリーズにも出演の機会があるかもしれない人気アイドルさんである。今後の益々のご活躍をお祈りしております。

 

4巻は魅力的なキャラが色々出てくるお話なので、この巻だけでも楽しめる……だろうか?

 

どうだろうな……1から3巻までの、ザーッとしたあらすじくらいは知っておいた方が楽しめる……?アニメ1期からいきなりこちらに入るのはアリだろうが、その場合はたぶん2期まで続けてアニメでみますよね……。

 

デュラララ!! 7

「僕は何もしてないよ。あれは、ダラーズみんなでやった事だから―」東京・池袋。この街の休日はまだ終わらない。臨也が何者かに刺された翌日、池袋には事件の傷痕が未だに生々しく残っていた。すれ違うことなく街を徘徊するクラスメイトの男女、弟に付きまとう女の動向を窺う姉、最強の男を殺すために強くなろうとする少女、兄のことなど気にせずひたすら無邪気な双子、今後の自分を憂い続けるロシア出身の女性、過去の未練にしがみつくヤクザな男、休日を満喫しようと旅行に出た闇医者、そして安心しきりの首なしライダーは―。さあ、みんな一緒に、デュラララ!!×7。

 

この巻まで一気買いしたわけです。

 

そして成田良悟にドハマりしたわけです。

 

「なるほど。デュラララ!!というシリーズは間違いなく面白い。このシリーズは完結まで追う事にするとしよう。……だが成田良悟、という作家についてはまだよくわからない。この作品以外の事はわからない。もう少し何か、作家それ自体に引きがあればな……」

 

そう思いながら読んでいた俺に、ある意味で最も分かりやすい形で成田良悟の「成田良悟性」が現れたわけですね……いや誤字ではなくて。それもまぁ味だとは思いますが。

 

「それ」について語る前に7巻についてまとめよう。7巻は短編集の形を取っており、「矢霧姉弟with張間美香」「ヴァローナ・茜with静雄」「任侠、赤林海月、その過去」「セルティ・新羅デート」「臨也入院」などの話が描かれており、そのどれもが面白いんですが、まぁなんといってもこの中で印象に残ったのは赤林さんの過去ですよねぇ。

 

俺はデュラの男キャラでは赤林さんが割とダントツで好きなんですよ。シリーズの締めでもいい動きをしていたし。

 

なんというか、こういう意味で好かれる、あるいは憧れる事を決して良くは思わないであろう点含めて好みの良い任侠でした。良い人ではなく、善人などではあるはずがないが。そこは線を引かねばならぬ。

 

デュラに限らず、成田良悟の作品では「警察」と「ヤクザ」がちゃんと組織として強いんですよね。作品によってそれぞれ組織の名称は変わって来るけれども、表でも裏でもその「一線」を超えるか超えないか、みたいなところで区切られているというか……「この線を超えたら警察(ヤクザ)が出てくるが、それでもやっていけるかどうか?(いけないのでこれ以上はやめようorうるせえ!と押しとおる)」みたいな問いかけにキチンと意味があるというか。そんな作品の中にあって、赤林さんはさらにその「一線」についての考えが個のキャラクターとして在るので、印象に残っているのかな、と思います。

 

そしてそう。最後のサプライズ。

 

……間宮愛海についてですね!

 

名前はたしか7巻ではでてこなかったんだっけ?

 

ぇやー、原作一気読みをしていた俺は大爆笑、「ここであのキャラが出てくるのか!」で1度笑い……あとがきの「漫画版のキャラデザが良かったから再登場させた」で2度笑う!

 

成田良悟作品において醍醐味である、「忘れていたキャラクターの再登場」と「イラストによって新キャラの設定が生える」を同時に経験することとなったのだ……!

 

成田良悟は面白い事をする人なので他のシリーズも面白いだろう」と直感、他のシリーズを買う事となり……「イラストによって新キャラの設定が生える」については、初めてではなかった事をここで知るのでしたとさ。

 

雪村ナズナは良いぞ。霙も良いぞ。

 

極めて最近の話をするならパンドラシャークにおけるカナデ最終形態も実はこの類例であるらしい。しまどりるさん、すげぇなぁ。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

 

デュラララ!! 3

「あんたは人を殺せるか?新宿で情報屋なんかやって、何人もの人間を好きなように弄んで。折原臨也、あんたは、人を殺せるのか?自分の手で、直接な。ナイフで死なない程度に刺して、お茶を濁し続けやがって。まあ、何を言っても...結局お前は誰か他人を使うんだろう?笑える程に、卑怯な奴だなお前は」東京・池袋。そこには寂しがり屋な過去が集う。現実から逃避し続けるボス、責任を感じている女子高生、友人の想いに気づけない少年、乗っ取りを図る男、未だ情報で人を操る青年、そして漆黒のバイクを駆る“首なしライダー”。そんな彼らが過去を乗り越え、三つ巴の哀しい現実に立ち向かう―。

 

この巻はちょっと特殊な経緯で印象に残っている。

 

最近、良い機会なので「デュラララ!!ノ全テ」を買ったんですよ。まぁ、アニメ化の際に出されたファンブックですね。声優さんやアニメ監督、原作者のインタビューなんかも載っている、色々嬉しいやつだ。

 

 

その中で、アニメにおける「ダラーズは消えます」宣言についての、監督のコメントがありまして。

 

そして、帝人が解散宣言らしきものを出します。 これは即ち、コントロールのきかない組織において、 何をしたらいいのか思いあぐねて、とにかく今は静観するしかないと考えた帝人の手段です。 色のない状態に戻る。 解散宣言とも取られかねない 「ダラーズは消えます」という言葉を選んだのは、そういう意味で、敢えて組織の崩壊をも覚悟した言葉でした。

デュラララ!!ノ全テ P139)

 

そして、大きな見せ場となった法螺田を天国から地獄に落とした大逆転劇。 黄巾賊の中に紛れ込むというやり方はダラーズが無色透明であるからこそできた芸当で、まさに門田の作戦勝ちという展開です。 22話の、 解散宣言とも通じる、帝人の 「ダラーズは消えます」 という謎かけのような言葉の意味を、一番理解していたのはある意味、門田だったのかもしれませんね。

デュラララ!!ノ全テ P143)

 

……別に「公式と解釈違い!」と暴れるつもりはありませんが、俺が当時「受け止めていた」考えとは少し違いましてね。

 

門田が超ファインプレーを、帝人の意図しないレベルで行った、というのは俺もその通りだと思うんですが、俺の中では「ダラーズは消えます」という宣言は、あの時の帝人にとっては本当に「解散宣言」だと思っていて。すぐに登録情報とか消せるわけでもないからとりあえずサイトのトップページだけ封鎖しておいて……とか考えていたらあのような事件が起こってしまい、そして自分の「解散宣言」を門田がああいう形で利用するのを見て、「無色だからできる事」がまだあると実感し、解散させず残す事にした……そういう流れだったと思っていたのですが。

 

「そうか、監督はそう受け取ったのか……いや、でも確かに帝人くんがダラーズをあっさり解散させるとも思えない……納得はいく、いくが、しかし……当時の俺は……」

 

そんな風に思いながら、原作3巻を読み返した俺。原作での記述を確認しようとする、その姿勢は我ながら真面目だなぁと思うが……さて、賢明なファンの皆様なら、もうお気づきですね?

 

……そう、原作3巻にそんなシーンはねえのである……!

アニオリの追加シーンなのである……!

 

マジで素の勘違いをしていたから焦りましたとさ。2回読んじゃったからね。言われてみればそうなんですよ。帝人くんがそんな簡単な宣言だけでダラーズを消すわけがねえんだよなぁ。

 

多分アニメを見たその時点では「このシーンはアニオリだなぁ」と思っていた……のだとは思う……いや、どうだ?もしかしてアニメを先に見たんだったか?そのあとに原作を読んで、「黄巾族に門田たちが紛れ込んでいる」という大まかな流れを確認して、「アニメと同じだなぁ」と脳内で補完してしまっていた……?

 

極めて自然なアニオリだったこともあり、ものすごく混乱してしまいましたとさ。

 

総評

 

当時を思い浮かべればまだまだ思い出は沢山だ。

 

「臨也と静雄はどちら派だ」みたいな質問を友人にされて、「どちらかといえば静雄」と答えた後に、「じゃあデュラで一番好きな男キャラは誰だ」という話になって「赤林さん」と答えたら「あぁ……」という反応が返ってきたり、デュラ4巻の巻頭口絵(折原姉妹が臨也と寝てるやつ)を見た女子に「エロだー!」と言われたり、学習してデュラ6巻の表紙(茜ちゃんを抱いた杏里の後ろで臨也がほくそ笑んでるやつ)にはカバーを被せて行ったら剝がされたうえで「エロだー!」と言われたり(口絵のヴァローナでも言われた気がする)、アニメをニコニコで見ていたら一行二行「01010101」だの「愛愛愛愛」だの「蒼天已死黃天當立」だの「人ラブ!俺は人間が(ry」だの流れてきて「まぁこれもニコニコで見る醍醐味か」と放置していたらそのうち画面を覆いつくすレベルで増殖してきて見えなくなったり……沢山だ。

 

特に罪歌がヤバかったですねぇ……。

 

そんな俺も13巻による完結後……続編であるSHや折原臨也スピンオフについては、まだあまり読めていなかったりする。アニメ2期も、リアルタイムで見れなかった話が割と多い。

 

色々と学生生活に区切りがつく年というか年齢というかで完結したので、それをきっかけにオタ卒しようと思ったのでしたかねぇ。……まぁ、今こんな感じなのでそんな感じなのですが。

 

無駄に終わったと諦めて、大人しく読み始めるのもいいだろう。

再読するのもいいだろうし。3巻みたいな勘違いが、ほかにもあるかもしれないし。

 

当時に読んだ本を読んだとて、当時に帰れるわけでもないが、それでも読むのは自由だろう。

 

デュラララ!!についてはまだまだ語りたい(けれども言語化できていない)部分も多い。今後読書記録を改めてつけていく中で、改めてそれらについて触れる機会があるかもしれない。

 

その時はぜひ、よろしくお願いいたします。

炬島のパンドラシャーク(下) 読書メモ・感想

 

己の存在は希望か災厄か。最凶は捕食し進化する――。
「人食い鮫ヴォイド」が死の直前に産み落とした遺産――“カナデ”がついにその姿を現した。
カナデはサメとは思えない驚異的な知能と戦闘力で己の存在を狙うテロ組織『カリュブディス』の敵を次々と喰い殺していったが、人間の域を遙かに超えた強さを持つ女傭兵・イルヴァとの激闘の末に敗北する。
瀕死の重傷を負い、海に流されたカナデ。しかし、流れ着いた先でのある少女との邂逅により、物語は一気に動き出す。
己の正体は希望か災厄か。その答えを求め、最凶は捕食し進化する――。

デュラララ!!』『バッカーノ!』著者・成田良悟が放つ究極の“B級サメ小説”ついに完結!

(炬島のパンドラシャーク(下) カバー裏より引用)

 

はい、そういう事で炬島のパンドラシャーク(下)の感想というか読書メモです。

 

上巻……の感想を書いていませんでしたね。ネット連載時……1から2話、3話くらいの段階で書いた記事はこちらになります。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

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上巻はこの間読み直したので、そのログを近日中に……そちらが終わったら、上下巻まとめての感想を書こうかな、と思っています。この記事では新刊なので、Fake最新刊と同様の形式で。控えめにしようとは思っていますがネタバレ注意です。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

 

それではやっていきましょう。書こう。書こう。そういう事になった。

 

もう一度書いておくけどネタバレ注意というか、本文読んでない人が読んだらたぶん何を言っているのか全然わからん形式になっていると思うよ。

 

 

 

 

(P13)

 

ネブラなら給料も十分だろうに馬鹿なことをしたのぉ。

 

事前に提示され、一度は了承した金額を土壇場で上乗せしようとすると大抵はそうなる。実生活でも使える知恵であるな。

 

……大人しく飲んでたら大人しく帰れたのか。それはわからない。カリュプディスをどこまで信用するかですね……まー、正直かなり微妙だと思いますが。

 

そもそもネブラ側にも恐らくバレるし、バレた後はうんまぁ……死ねるならまだ良いですね、くらいの感じなので……実際ノーフューチャーな。

 

……というかコレ、「釣り餌」では……(企業としてのネブラを全く信用していない成田読者)。

 

(P20)

 

成田キャラの姉はヤバい。紅矢倉博士みたいに分かりやすくヤバいケースもあるけれども……善良な姉も、それはそれでヤバいのです。

 

越佐大橋で一番好きなキャラはシャーロットですね。あの娘も善良である事には間違いないが、それはそれとして迷探偵だ。

 

それはそれとしてサメに餌付けするのを「善良」で流してしまって良いのか、という気はしなくもない。……結果的に見れば超ファインプレーではあったのかもしれないけれど。

 

クッキー(Baccano!)とかにも安易に餌付けしたらアカンですからね。飼えない野生動物への餌付けは慎重にせねば……飼ってるなら大丈夫です。

 

クッキーくんを飼育されている家庭に法律を根拠にどうこう言うのであれば、そこじゃねえだろ、とはなるし。じゃあどこだよ、と言われると、コレは一言ではなかなか難しいが。

 

(P29)

 

サメは浅瀬を這える。みんな知っているね。海外では海岸の砂浜を潜行するサメの目撃情報もあったりなかったりするそうです。

 

最近では完全な内陸にいても油断できずその辺から竜巻で飛んできたりそもそも幽霊だったり水から水へワープしたり色々する、というのはもはや常識と言って良いだろう。

 

せやろか。

 

(P39)

 

越佐よりちょっと後の時代らしいのですが、首無しライダーはどうやら壮健であるらしい。良い事だ。

 

首無しライダーには「老化」の概念もないからな。

 

まじめにいつ頃の話なんだろうか……コロナ禍というか伝染病はあったらしいんですけれども、それが一応は心配の要らないレベルで終わって……2030年代後半くらいかな?

 

(P65)

 

ヘンリエッタ・ラックスさん。氷室の天地に出てきたっけ。遺族とめちゃくちゃモメたとか……。女性だったのか。

 

俺はてっきり本人がドナー登録的なそういう医療研究の検体になる事は同意していて、ただ「本人の死後も生き続ける細胞」という理外の存在により遺族の皆さんが感情としてエラーを吐いたのだと思っていたのですが、どうやら普通に本人にも同意を得ていなかったらしい。

 

じゃあ、ダメだろ……。

 

(P69)

 

そう、君も「姉」だ、野槌狐景……!

 

野槌ちゃんはキャラデザで言えば本作で一番好きですね。服装を思い切り勘違いしていた件は忘れてくれ。俺は忘れられずまだ見る度にドキドキします。思春期か?

 

(P92)

 

いや、いるよ。めちゃくちゃいる。

 

それがBaccano!2002に登場、老(エイジング)姐さんである。2000年度の仮面職人四幹部が内の1人だ。他の幹部は生(ライブ)と病(イルネス)と死(デス)である。2000年度仮面職人、ノリが軽くて好きなんですが、いちいち「2000年度」と付けなくてはならんのが欠点だな。

 

ミニガンが別に小さくない、というのは俺はあの人というか2002で知ったのだったかな。「(戦闘ヘリの装備としては比較的)小さめの銃」の意だったと思います。

 

(P108)

 

ドローン兵さんたちは実際の戦場でも結構難しい「立場」にあると何かで読みましたね。実際にわかりやすい「戦闘」を行う兵士さんとの軋轢であるとか、あるいは遠隔でボタンを押すその本人の意識の問題であるとか……何で読んだんだったかな。

 

(P120)

 

宗教染みたノリの、子供だけの愚連隊……彼ら彼女らも元気か。元気でもあんまり生気のない子たちではあるのだが。

 

弱くなったヘンゼルとグレーテル(BLACK LAGOON)が数十人いるみてぇなもんだからな。もっと多いかも?

 

「ラッツ」リーダーのネジロくんは割とヤバめの人を複数敵に回しているので島では割とマズい立場にあるのですが、まぁ彼ら彼女らが集団で存在している、ということは恐らく彼もまた健在であるのだろう。

 

ネジロくんが始末され後任が決まった、という可能性は著しく低かろう。あの集団はネジロくんがあっての集団ですので。別に褒めてはいない。単なる事実。

 

……そういえば少なくとも「あの事件」を経験したみんなはもう成人してはいるんだろうな……ネジロくん含めて……生きていれば。

 

(P138)

 

おぞましやゾンビ戦法。死体ですらも道具にすぎぬのか。死体を玩具のように取り扱うその様は、まさに稀代の死霊術師……!

 

……デッドマウント・デスプレイのアニメがもうすぐ公開ですってよ!

 

(P173)

 

たぶん盛大なルート分岐であったのだろう。

 

生存ルートの中では一番おっかない事になるルートではあるのかな……「ネブラ」だと「不死」、「ガルダスタンス」だと「吸血鬼」になっていた可能性がそれぞれあるか。

 

吸血鬼のサメはディープディープディープ海色さんとキャラ被るので、そういう意味では最も穏当だったかも知れぬ。

 

日本人はコレは……デュラSHかな?SHはあまり読めていない。これについては今度改めて。

 

(P183)

 

妹さんがいたのか。そうか。あなたも姉か。

 

この作品、「メカクレ率」と「姉率」がとんでもねえ事になってねえか?

 

なってるかもしれないけれど、俺は良いと思うよ。

 

(P195)

 

ネフェルピトーとカイトとゴンとコムギの関係ですね。多分探せば他にも例はある。整理しておくとネフェルピトー=サメ、カイト=傭兵同僚、ゴン=傭兵、コムギ=八重樫フリオ、という事になるか。なるか?

 

要するにネフェルピトー(=サメ)が無差別に人を襲う災害じみた存在であるならばまだ話は解るけれども、場合によって襲ったり(カイト(=傭兵同僚))襲わなかったり、場合によっては助けたり(コムギ(=八重樫フリオ))するのは納得しかねる、という第三者(ゴン(=傭兵))としての意見である。いや別にゴン君はキメラアントの蛮行を納得したわけではないが……それでも感覚的に「ズルい」とは言ってしまうわけでな。

 

場合によっては被害者の総数が減るにも関わらず、それでも「理不尽であれ」と願われるこの考え自体は、感情的には理解できる部分もある。

 

部分もあるが、しかしこういうのは襲われた人(カイト(=傭兵同僚))が善良であった際に「あんな良い奴をお前は襲ったのに!」となるのであって、そこへ行くと傭兵同僚はまぁお仕事っつー面はあるにせよ特に最初の犠牲者たるゾルフとかはまー下衆な奴だったので、コレはつまりそういう事だな。

 

お前がゴンならもしかしたら勝てたかもしれないが、お前はゴンではないんだ。

 

そうなると類例としてはむしろ……。

 

サメ=忍者、傭兵同僚=「組長(オトン)も忍者に殺された! 女子供10人ぽっち拷問しただけで…血も涙もねえ!!」の組長、傭兵=「組長(オトン)も忍者に殺された! 女子供10人ぽっち拷問しただけで…血も涙もねえ!!」の極道、八重樫フリオ=堅気の皆さん、が形としては近いか。

 

孤独な者よ安らかに。連載再開気長に待ちます。

 

(P214)

 

マジで屍神殿みたいな事しはじめちゃったわこの子。

 

「肉」の整形……。生きているから死霊術師とは言えないんだろうけれども、似たような事はギャルドさんが腐肉でやってたから、延長といえば延長か。

 

(P219)

 

やっぱサメにはチェーンソーだよな!

 

この風習はシャークネードが発端……で良いのだろうか?だとすれば浅い歴史ではあるが、しかし妙にしっくりくるなぁ。

 

サメとチェーンソーの因縁の起点がそこにあるとすれば、サメがチェーンソーを使うのはいわゆる「死因宝具」であるのだが、まぁ「死因宝具」を使うキャラは人気な事も多いので、良いと思う。

 

原初のサメ映画たる「ジョーズ」の死因ですらも、こいつは使いこなすわけだなぁ。くたばれ!化け物!

 

……アレは手榴弾じゃなくて、酸素ボンベだっけ……まぁ、爆発物という括りで見れば。

 

(P266)

 

ちょっと道筋が違ったらゴキブリだったなコレ……。

 

カリュプディスの皆さんの脳裏にも一瞬浮かんだ選択肢ではあるだろうが……彼らにも理性は存在した。まー、一個体単位でできる事で言うと割と少なめではありますからね。対衝撃性能とかも不安ではあるし。

 

この辺りは若干「遺存種(レリック)」を思い出したり出さなかったり。子爵が論争吹っ掛けて断られる下り、良いですよね。

 

(P285)

 

似合いの末路だ。

 

若干のザエルアポロ感がある。ザエルアポロは好きです。なんか終始テンションが高くて楽しそうなので。

 

「自分が『無価値』だと断じたものに足元を掬われる」と言う意味での末路としては、Baccano!2002のブライドに通じる部分があるだろうか。

 

そう言えばアイツも最後はサメに喰われたんだっけ。

 

(P296)

 

似合いの末路だ(その2)。

 

真面目にベルトランさん、小悪党としてかなり芸術点の高いムーブをしてくれて良き哉。

 

「圧倒的な実力を持つリーダーの影に隠れてはいるが、それでもモブ傭兵部隊と比較して一段上の実力者ではある」、「必要が無ければ殺しを避けたり、前線に出てこない同僚への色眼鏡をたしなめるような一面もある」、「それはそれとして自分の身が危なくなったら汚い手も普通に使う」……そしてこの末路である。

 

似合いの末路だ(3回目)。

 

「圧倒的な実力を持つリーダーの影に隠れてはいるが、それでもモブ傭兵部隊と比較して一段上の実力者ではある」辺りから、B+概念にも通じる部分があるか。

 

イルヴァさんとの関係も終始「この人甘いんだよなー」「でも戦ったら絶対勝てねえから逆らわんとこー」という不満と妥協が裏にあった上での穏当な関係、と言う感じで好みでしたね。

 

その上でなんというか「こういう映画で女子供をイジメた奴」として満点の退場ムーブでした。ヒーローが登場したら秒で終わり、なんなら登場演出の爆発で吹っ飛ばされるんだ。

 

似合いの末路だ(4回目)。

 

(P310)

 

あ、そこがつながるの!?

 

(P312)

 

……(爆笑している)。

 

いやー……最高ですね! B級映画の終わり方といえばこうでなくては!

 

後半2つについては総評の後に!

 

 

という事で読み終えました。キャラごとの雑感は上下巻まとめて改めてやろうかなと思いますので、とりあえず下巻の感想だけをネタバレ控えめで……。

 

まずはなんと言ってもパンドラシャーク……、ヴォイドの遺産、「カナデ」!

 

上巻で自由を手にしたのも束の間、己を超える「理不尽」の前に敗れたカナデが出会ったのは、見知らぬ顔なれどもよく知る種族……「姉」。

 

少しばかりの交流の後に、カナデは再び故郷へ舞い戻る!

 

そう!オネエチャンの味方、パンドラシャークである!

 

……もう完全に「ヒーロー」然とした存在になってしなったので、「俺は敵味方関係なく喰らう災厄としてのサメが見たかったんじゃ!」という人には不満かも知れぬ。君はゴンくんですか?一応今回ほぼずっと満腹だったから、飢餓状態だとまた少し話が変わるかもしれません。

 

「人間」でもなくさりとて「野生」でもなく、理性的に己に必要な「機能」を進化させ続けるその姿には、しかし確かに「怪物性」はありましたぜ……真面目に倫理とかそういうのを学習する暇は無かったし、今後一般社会と同じようなそれを学べるかどうかは結構怪しくはある……が、「善性」のようなものを感じる事が出来るのも、また事実ではある。今後が楽しみだ。

 

とりあえず「オネエチャンの味方」ではあるんだろうな、とは思いますが。そこがブレる事はないだろう。

 

そんなカナデと正面から戦うのは危機感知系傭兵イルヴァさん。傭兵チームのガラの悪さを補って余りあるほどの甘さを持ちながら、それでもチームの誰も逆らおうとはしない実力者である。Fate的にいうと極めて高ランクの心眼(偽)持ち。第六感による方ですね。

 

褐色腹筋ツリ目のキャラデザが刺さる刺さる…………(カラーページのキャラデザを見ながら)……チャック開いてません?……まぁ、そういう事もあるだろう。

 

狐景ちゃんが裏切った時の対応とか、甘いけど容赦はなくて好きです。

 

「あー、裏切ったかー……まぁ弟さん交渉材料に使われたらしゃあないかなー……」と理解はする一方で、「じゃあベルトランは狐景始末するよなー……それを止めるかっていうと、うーん……組織としてはなー……」と、一線を越えたら冷たく突き放すその2軸が両立した感じがベネ。あとはカナデ君の名前を知って、すぐにそれを受け入れるくだりとかも好きですね。

 

で、この怪物2人の戦闘としてはああいう結末に終わったのですが……さて、間隔を開けて、本編「蛇足章」の話をしようかな。ネタバレ注意!

 

 

 

 

「…………『地獄のサメボーグ』」

「そのデザイン…パート2のクライマックスバージョン……」

「………3までは間違いなく名作…でも4はサメボーグが完全な人型になってフォルムからサメの要素がなくなるのが生理的に無理……だけど5で出てきたシャチドロイドの美少女は個人的にはアリ………ただサメボーグが口から火炎の竜巻を吐き出すのはシャークネード4を意識し過ぎだと思―――――」

(デッドマウント・デスプレイ 2巻P140 …や―の数に若干の差異があります)

 

「地獄のサメボーグのライバル シャチドロイドの少女『キラウェル』」

——少女、上陸

「来年彼女が主役のスピンオフ映画が公開されるらしい」

(デッドマウント・デスプレイ 2巻P182)

 

……まさか伏線だったのか……?

 

小夜さんのサメ映画語りはカットしても本筋に影響は出ないが……あんまりカットはしないでほしい。版権とか難しい部分もあるだろうけれども……!

 

そんなわけで「地獄のサメボーグ5 キラウェルの逆襲」(こんなタイトルなのかは知らん)よろしくシャチドロイドと化したイルヴァ姐さん。「彼女」の研究内容は「神経を外部AIがコントロールする生体ドローン」とのことなので、主体はあくまでも生体か……ならば「危機感知」とかもまだ生きているな。厄介な。

 

まぁ生きていたなら良かったですが。戦いの結末自体には納得していたようですが、別に死にたがっていたわけではなし。普通にお礼言って普通に再戦しそうなのがイルヴァ姐さんの怖いところやで。まぁ所属としては傭兵からネブラになる……と思うので、荒事自体は…………頻度としては、減る、かなぁ?

 

成田キャラの姉はヤバいですが、弟や妹がヤバくないわけでもないのです。

 

……成田キャラは基本的にヤバく、また成田キャラには「姉率」が高い、とか、そういう統計の話になってくるのだろうか……?

#成田作品ワンドロ 「Fate/strange fake」偽キャスターという男

 

「次の成田作品ワンドロどうしようね」

 

「好きなキャラ3選……いや、ベストバウト3選……?」

 

偽キャスター。

 

「え?」

 

偽キャスターだけで1時間もたせる。

 

「……マジ?」

 

好み過ぎるから全然いける。

 

「……いくか!」

 

いこう。そういう事になった。

 

 

Fate/strange fakeのネタバレを含みます!ネタバレ注意!

 

 

序文

 

偽キャスターについて語るという事は、「Fate/strange fake」について語るのと同義である……そういっても過言。……いや、まぁ確かに過言ではあるのですが、しかしそれでも、こじつけられないこともない。

 

偽キャスター。真名や宝具、スキルの詳細については今しばらく置いておくとして……その最たる特徴は、「時として原典を凌駕する『贋作宝具』の作成」である。

 

条件はある。弱点もある。無尽蔵にできる芸当ではなく、それなりの「材料」も必要なそれは、効果を字面だけで見るよりもかなり縛りが多く、弱いとは言わないまでもピーキーな……敢えて露悪的な表現をすれば使いにくい印象を与えるのはたしかだろう。

 

それでも、マスター……警察署長、オーランド・リーブは彼を選んだ。

 

人が人のまま英霊を超えるために。かの英雄王の数え切れぬほどの『宝物庫』に対抗するために……!偽キャスターが強化するのは、警察組織「二十八人の怪物(クラン・カラティン)」。

 

人の世の安寧を守る「警官」諸君は、規格外ともいえる偽りだらけの聖杯戦争で、果たしてどのような役割を為すのか……!

 

……というのを、まずは1巻プロローグ時点での彼の「カッコいい」語りとしておこう。この裏でマスターに最高級の娼婦をねだったりしてるんですが、それはまぁ、それはまぁ。……そもそも偽キャスターがなぜ聖杯戦争にやってきたのかといえば、それは『聖杯戦争というドラマを楽しみたい』からであって、別にこの人聖杯とかそんなに要らんエンジョイ勢なのですよ。もらったら良い飯と女くらいは願うらしいが。

 

さて、そんな彼が登場する、「Fate/strange fake」のテーマとは何か。数多く展開されるFateシリーズにおいて、敢えてここで成田良悟が、新しく物語を作るその意義とは何か。

 

1巻巻末、奈須きのこの解説、その冒頭を引用しよう。

 

贋作が本物と戦う話をしよう。
デッドコピーであろうとエピゴーネンであろうと、それ自体の価値が原典のそれとは別のものになった時、真偽の計りは消失する。
たとえそれが偽典であろうと。語られる内容に創作者の信念が込められているのなら、それは間違いなどではなく、ある人間の真実になるのだから。

(Fate/strange fake P298)

 

……「偽物」と「本物」。考えてみればそれは、Fateシリーズのその初代から、長く語られ続けてきたテーマである。

 

「偽物が本物に劣るとは限らない」……というのは、各作品において様々な手段を用いて語られてきた事であり……それらについては多分原作のゲームをちゃんとやった人たちの方が詳しいので、そちらに譲る。わしゃあSNはアニメと映画と漫画*1だけのにわかなんじゃ……。

 

Fateシリーズ全体を通して、そういう「流れ」がある中で。作品を通して語られてきた「本物を凌駕する偽物」というテーマとしてのその文を……あろう事か、「1キャラクターの設定文」に持ってきてしまったのが偽キャスターなのである!今まで最後の最後、クライマックスでこそ活きるその一文が……偽キャスターの場合、登場したその段階で出てきている!

 

なんなら、1巻の表紙ぺらっと捲った見開きキャラ紹介で既に書かれている!

 

これはつまりどういう事か?……スタート時点で既に「これ」が出来るという事は、偽キャスターはこの長年のテーマに大きな一区切りを付けるなり……あるいは、このテーマを「次」の段階に進めかねない、という事だ!

 

そう勝手に期待しているアカウントがこちらです。

まぁそうならんかったら「ま、せやろな!」つって寝るわ。

そうならんくても既に十分楽しめてはいるしな。

 

偽キャスターはFate/strange fake……という作品、ないしはFateシリーズの1つの大きなテーマに多大な影響を与えかねないキャラクターではありますが……彼だけで作品やシリーズ全体を語るのはやはり過言というか無理なので、大人しく作品を読みましょう。

 

それはそれとして偽キャスターは大変に魅力的なキャラクターなので、これから語りたいと思います。まだ序文だぜ。

 

 

偽キャスターという男

 

はい、というわけで真名や宝具、スキルを隠さずに偽キャスターについて語っていきます。一応もう一度だけ書いておこうかな。ネタバレ注意です。間隔も開けよう。

 

 

 

 

 

偽キャスター。真名、アレクサンドル・デュマ・ペール(大デュマ)。巌窟王や三銃士で知られる、言わずと知れた大作家。FGOプレイヤーに置かれましては、あのSECOM系復讐鬼、エドモン・ダンテスの生みの親……という表現が最もわかりやすいかと思われる。……わかりやすいだけで、間違った説明になってしまうのですが。そもそもエドモン・ダンテスの行った復讐劇と物語としての「巌窟王」はダンテス本人も言及している通り完全にイコールというわけではなくゴニョゴニョ……ま、関係者であることは間違いないがね。ちなみにエドモン・ダンテス(生前)ご本人、Fakeにちょびっと出るよ。そちらのファンも必見だ。

 

聖杯にかける願いは前述のとおり、敢えて言うなら「美味い飯と良い女」。どちらかといえば聖杯戦争それ自体を見物にやってきた、という形での召喚。既存のキャラクターで言うならApoの赤キャスター……シェイクスピアが近いだろう。

 

保有スキルは「時代観察」「美食家」「無辜の怪物」。「無辜の怪物」は近年の研究が進んでいるため低ランクだ。「時代観察」が主に作品執筆に対して使われることを考えれば、戦闘に関して使えるものはほぼほぼ無い。しいて言えば「美食家」により狩猟に+補正がかかるため、【獣】属性相手の雑魚エネミー(FGOで話の途中で唐突に出てくる感じのウェアウルフとか猪とか)なら、まぁ、まぁ……普通の魔術師と同じくらいは戦えるかもしれない。筋力もCランクと、文筆系サーヴァントにしてはやや高めだし。

 

「美食家」はなんでしょうね……味覚の鋭敏さを示すとか言われてもな。毒が盛られてたら気づけるとかだろうか。あとはZeroキャスターの「芸術審美」みたいに、一部サーヴァントの真名にいち早く気づける、とかはありそうではある。料理関係者……俵さんとか?「コメが無限に出てくる俵」なんて持ってたら、そら気づくやろ、という話でもあるが。PL知識とPCスキルの乖離の話になってくるのかもしれない。TRPGの人が話しているのを見たことがあります。

 

宝具は2種類。規定回数任意の対象を強化する「銃士たちよ、風車に挑め(マスケティアーズ・マスカレイド)」と、クラススキル「道具作成」を「道具作成(改)」へと強化し、既存の物品を「宝具」に昇華する「遥か終わらじの食遊奇譚(グラン・ディクショネール・ド・キュイジーヌ)」。どちらもサポート向けの宝具である。

 

「銃士たちよ、風車に挑め(マスケティアーズ・マスカレイド)」をFGOに実装した際に、「単なる味方全体バフ」以上のエモい効果にできないかなと俺はずっと考えていたんですが、テスカトリポカがパッシブで「戦士の司」っていう「マスタースキル強化」の効果を持ってるんで……「これだ!」と思いました。これだけだとちょっと弱いかもなんで、そうだな、「マスタースキルのCT短縮」とか、そんな感じでお願いできれば。その際はマスタースキルのCTの短縮しにくさを加味していただいて、3-5くらいにしていただいてもバチは当たらんと思う。「(生きてさえいれば)毎ターンマスタースキルのCTを1短縮」とかも面白いか。

 

まーけど、映えるのは「遥か終わらじの食遊奇譚(グラン・ディクショネール・ド・キュイジーヌ)」の方だよな……ただこれも制限が多くて……「既に現物としてある宝具」に手を加えるのもできるっちゃできるんだけれども、Aランク以上のには完成してるんで手を加えられないです。……これもどうしようねぇ。宝具バフしか思いつかんが……。

 

そこそこの倍率の宝具バフと、OC上昇(1回、1段階)と、「宝具使用時にスター獲得」or「宝具使用時に全体にNP獲得(小)」or「宝具使用時に味方全体の攻防バフ」の選択肢の内からなんか、プレイヤーが選べる感じにして、「改造」感を出すか。あるいは10種くらいの効果のなかからランダムで3つくらいつけてみるか。「宝具使用時に○○特攻付与」が適切なタイミングで3つ重なったりしたら熱いじゃないですか!8割がたの局面でハズレ扱いされてしまうのが難点だろうが。

 

……絶対どこかでバグが起こる。あとこれはTCGで時として見られる、「以降新しいカードを刷る度に『組み合わせても事故らないか』チェックする必要が生じる」カードに為りえる。FGOは禁止とかできねえし、バランス調整が大変なことになるので、こういう効果だと嬉しいが、それはそれとして俺はやめておいた方が良いと思う。

 

まぁ、キルケーの「豚化」で一度通った道ではあろうが。バランス調整……考えてはいると、思いますよ……一応な。いやでもククルカンはアレ、大丈夫なのか?(引けなかったけどフレンドさんに使わせてもらった)(ヤバかった)。

 

サーヴァント性能の話はこれくらいにして、次に人格的な話をしよう。

 

一見すると「ノリの軽い兄ちゃん」的な性質であり、警察署にこもりながら署長に飯だの女だのを頼む姿からも察せられる通り、非常に世俗的な人物だ。聖杯戦争に関しての様々な情報をこっそり宝具化した情報機器で収集し、また警察陣営強化のために原稿を書き続ける……一方で、「お前それ聖杯戦争に全然関係ないよね」「それは関係はあるんだけど本来お前が知ってたら不味いヤツだよね」という事についても興味津々で調べていたりするので、マスターのオーランド・リーブさんの眉間から皺が消える事はない。

 

しかしあくまでも彼は人類史に刻まれた英霊だ。なにも物見遊山や観光目的に召喚されたわけではない*2。やるべき仕事はしっかりこなすし……観戦もポップコーンを片手にお気楽映画鑑賞感覚でしているわけではない。「画面の向こう」の存在ではない。彼もまたしっかりと、この聖杯戦争の当事者なのだ。

 

……さぁ、そんな彼の活躍を見ていこう。

 

1巻

 

登場して早々にマスターに「兄弟!」と呼びかけ、軽いノリで愚痴り続けるシーンは、なんというか「これぞ成田良悟!」という感じで愉快だったが、しかし軽いノリばかりというわけでもない。署長さんも途中までは勘違いしていたようなので、まぁ無理もないけれども。

 

……そう、署長さんも途中までは勘違いしていたんだ。

 

フランチェスカって嬢ちゃんにも、そんなにつれないのか? 兄弟』

Fate/strange fake P277)

 

執筆にこもりっきりなはずのデュマの口から、「黒幕」の名前がでるまでは……!

 

『ああ、そうそう。日本で思い出したが、冬木ってのぁいい所らしいな。 龍脈の流れもこの土地と同じぐらい質がいいってよ。 まあ、俺は龍脈とか感じ取れないからどうでもいいんだが。土地って言えば、ここの土地守のティーネ・チェルクって嬢ちゃんに、今度電話でも入れてみるか?警察署長はこの祭を仕組んだ魔術師の一人で、スパイがあんたの組織に何人も居ます……ってな。おっと、長々と一方的に喋って悪いな。自分の本だともっと長い台詞もポンポン書くんだけどよ。 やっぱ言葉のキャッチボールってのは大事だよな、兄弟』

Fate/strange fake P279)

 

出るわ出るわ機密情報。そういえばティーネの組織にいる警察のスパイとかまだ回収されてないな……署長にブラフ張る意味もないから、まぁいるにはいるんだろうな。ちなみにこの情報収集は、たぶん「食遊奇譚」でPCとかを宝具化したやつです。当時の俺は「デュマの代表作「巌窟王」は元をたどれば新聞連載……つまり宝具、あるいはスキルにあるのは毎日発行され、聖杯戦争に関する情報を集めてくる『新聞』……!」とか予想していました。俺の予想などこの程度よ。

 

新聞どころかリアルタイム更新で全体から情報掻き集めてくる奴が出てくるとはまさかおもわねえやな。

 

そんなわけで最初にデュマの事を「脅威」とみなしたのは、実のマスターその人なのでした。大丈夫なのかお前ら。

 

それをこれから見ていこう、というわけだ。

 

ちなみに大丈夫なのかと問われれば、8巻時点で答えるならば、あの、この聖杯戦争自体がそもそも全然大丈夫ではないので、それを基準に考えるのであれば、相対的に全然大丈夫なほうです。うん……いや、なんなら一番安定して仕事をしている陣営では?割とマジで。不安要素も……しいて言えばジョン君くらいか。

 

2巻

 

2巻。Fate/strange fakeという物語を語るのであれば、欠かす事の出来ない「あのシーン」が登場する巻である。画的に映える名シーンだ。どのくらい名シーンかと言われれば、アニメ特番のお知らせで真っ先にビジュアル化された程度には。

 

【悲報】セイバー、逮捕。

 

しっかり市民にオペラハウスの弁償を約束する演説を執り行うセイバーの姿は面白かった……当然すぐに手錠を掛けられパトカーに乗せられていったのだが……わしは心底しびれたよ。

 

……さて。逮捕、というのは当然警察の仕事である。警察の仕事である、という事は、署長さんが大変だ。神秘の隠匿とかあのセイバーが全然考えないで演説しちゃったんで、黒幕陣営のファルデウス君とかも大慌てである。フランチェスカはウケてた。みんながみんな大変なタイミングで、さてキャスターは何をしていたか。

 

カジノ行きてぇって署長に言いながら(断られた。飯の要求は通った)、音楽ソフトでオリ曲を作成していました。タイミングとしてはやや前後するが、まぁ同時期である。

 

「ほー、パソコンで音符と歌詞を入力すりゃ、この絵の嬢ちゃんが歌うってのか! すげえ時代だなおい! こりゃ聖杯戦争どころじゃねえぞ!」

Fate/strange fake 2 P80)

 

ミクさんかねぇ。彼女もだいぶ息が長い。AIコンテンツとの関連付けもまぁ起こるであろうから、近いうちに大進化がきそうではある。デュマさんのオリ曲についてはまぁ、読んでください。

 

さて、ふざけてばかりもいられない。この2巻で警察陣営は、ある意味で最悪の相性の相手と戦うことになる。

 

死徒ジェスター・カルトゥーレ……「六連男装」の異名を持つ、強力な吸血鬼。人類史を否定するその死徒としての「種族特性」は、人が作りし宝具、人が使いし宝具を無効化してしまう、恐るべきものだったのだ。まぁFateは割と相性ゲーな部分はある*3ので、あまり気にしない方が良いっスよ。このシーンでハンザさんも言ってたけれど。

 

死徒はまた別の相性ゲーの前に退散したのですが、「人間である限り決して勝てない」存在は、警察陣営に暗い影を落とす事となり……そして実際、片手を奪われた負傷者まで出てしまう。

 

彼の名はジョン。だが彼の雄姿はデュマや署長を改めて奮起させ……そして極上の「材料」が、獅子劫さんから届けられるのでした。

 

3巻

 

セイバーの残していった剣を「ただの装飾剣」と看破しながら、与えられた情報から、その真名に辿り着く。このころにはもう署長とはなんだかんだ結構仲良し、という感じ。言い争っている場合ではなくなってきた、とも言いますが。

 

「神話と歴史の境目を生きた最後の王」……であるという、その立場に軽く触れながら、能力としては「なんでもカリバー」を看破する辺り、観察力に関しては流石、というところか。

 

他にも「アヴェンジャー」というクラスについて語ると同時に「復讐」についての持論を展開したり、いろいろと面白く興味深いやり取りはあるものの、今巻ではあくまで解説役、といったところでしょうか。

 

4巻

 

直接の行動は控えめだった前巻とは打って変って、今回の先生は活動的だ。

 

クラン・カラティンメンバーへの直接のインタビュー……。ジョンさんには新たな武器が手渡され、そしてこのインタビューにおいては、デュマ……偽のキャスターの脳内や手の内も徐々に見え始める。

 

宝具改造の宝具の由来に始まる、自らの過去……。

……そして、警官たちに「自分たちは勝てるか」と問われたデュマは語る。

 

「・・・・・・また、俺の昔話になっちまうが」
(中略)
「俺は最初、演劇にも小説にも興味なんざ無かったんだ。お袋に古典の退屈な悲劇ばっかり読まされて、辟易しててな。 ……だけどよ、ある日見た『ハムレット』って悲劇だけは別もんだった。圧倒されてな。 思わず無理言って脚本を譲って貰って、全部覚えちまうぐらい何度も何度も読み返した。俺はそれで、演劇って奴に興味が出てな。あれが、俺の始まりの一つだ」
(中略)
「ところが、だ。その『ハムレット』は、デュシスって旦那が翻訳……いや、ありゃ翻案だな。とにかく原作を壊しに壊してから自分なりの解釈で書き直したブツでな。俺も後で本物のシェイクスピアの書いた脚本を読んで腰が抜けたもんだ。あの本物に比べりゃ、俺が見たもんは原作ファンもシェイクスピアも大激怒しそうな酷ぇ本、まさに『ハムレットもどき』だったのさ」
(中略)
「だがな、俺の人生を変えたのは、その「もどき』の方だ。これだけは誰にも否定させねえ。まあ、大本が良すぎたからってのはあるかもしれねえが、偽物だろうとなんだろうと、そこにはデュシスの旦那なりの本物の熱意が詰まってたって事さ」
(中略)
「安心しろよ。お前らはまだ知らねえが、兄弟……お前らのボスの熱意は本物だ。お前らが最後まであいつを信じ抜きゃ、たかだか本物にすぎねぇ伝説の一つや二つ、いくらでも覆してやれるだろうよ」

Fate/strange fake 4 P218‐219)

 

デュマの「人間観」だったり、マスターへの信頼関係を思わせる、名セリフというべきであろう。……4巻初版発行は2017年4月。ぐだぐだ明治維新だったり1.5部だったりCCCコラボだったりの時期だが……さて、どこか最初の異文帯の、「強いだけの世界」を思わせるのは果たして偶然なのだろうか?

 

あとどうでもいいんですが(どうでもいいってことはねえんですが)、この時点で「警察内部にスクラディオファミリーの内通者がいる」ってわかってたんですね。じゃあ、あの、ジョン君アトラス説、なかったことにしてください。

 

そして、デュマの仕事はいよいよ部屋を飛び出して行われることになる。

 

偽ライダーのマスターを狙うアルケイデス。「神獣」であるケルベロスには、またもや人間の力では太刀打ちできず、警官隊はなすすべもなく、偽バーサーカーの2つの宝具の組み合わせは……これは若干ならずとも効果があったのだが、アルケイデスの「奥の手」の前に、むしろアルケイデスを強化してしまう結果に終わる。

 

そんな中、戦う力を持たない作家先生が、一人登場するわけだ。

 

「役者が勇気を見せるってんなら、俺も少しは筋道を直してやるとするか」
そして、遠目に義手の警官――ジョンを見つけてニヤリと笑う。
「驚き役で終わらせやしねえよ。 ……お前らみてえな奴こそ、英雄であるべきだ」
独り言を呟きながら、彼は静かにスクロールに『物語』を記し始める。
彼が気に入った役者達に贈る、ささやかな花束の代わりとして。


「…………銃士達よ、風車に挑め(マスケティアーズ・マスカレイド)」

 

Fate/strange fake 4 P290)

 

……しびれますわねぇ。

 

他にも色々見るべき部分はある。71Pの胃薬発言なんかは、今見ると「うわーっ!」となりますね。胃薬にはいろんな種類があるんだなぁ!何にも面白くないわ。


5巻

 

 

 

5巻の表紙はデュマ先生で、何なら冒頭からデュマ先生だ。生前のデュマ先生は口調もラフな感じではなくて新鮮だ……普通に敬語使える人ですからね。ノディエ先生との会話もそうだったけれども。今回のお話のお相手はナポレオン・ボナパルトの甥……そして彼らが語るその目線の先にあるものは、というのはぜひ読んでいただきたい。

 

人間であるジョンさんがアルケイデスの前に対峙するくだりや、その前の語りなんかも良いのですが……この記事はあくまでもデュマの話にとどまるべきか。なにせこのすぐ後に、「銃士たちよ、風車に挑め」の効果を受けて、デュマの人生を彼は追体験することになるわけだから……語るとすればそちらの方を。

 

かの復讐鬼……巌窟王エドモン・ダンテスとの交渉を。

 

「ああ、そうだ。こいつは取引だ。俺があんたの復讐をアレンジして本にする。パリ中の人間に、世界中に、あんたという人間を語ってやる」
(中略)
「多かれ少なかれ恩讐なんざ誰でも抱く。ガキでも語れるもんだ。だが、お前さんの、エドモン・ダンテスの、巌窟王の恩讐を語れるのは誰だ? ······俺だ、俺だけだよ復讐者。弟に菓子を取られたガキの恨みと、人生を丸ごと全部奪われた手前の恨み、どこが違う? もちろん違う! だが、それを誰よりも劇的に語れるのはお前さんじゃあない。あんたは何万、何十万もの民衆の心に語りかける事ができるか? 俺は語れる!その為にペンがある! ......いや、逆に言うとな、あんたはもう、何百万、何千万の人間に語り終えたも同然だぜ 書き記すのは確かに俺の筆だが、その俺にその生き様を見せつけたのは、他でもないお前さん自身なんだからよ!」

Fate/strange fake 5 P211‐212)

 

さて、時を同じくしてデュマは偽バーサーカー、そしてそのマスターのフラットとも会話している。フラットとの会話はノリこそ軽いが、やっている事は「霊基の改造」というかなりえぐいものである。まっとうな魔術師、英霊であるならば、拒否して然るべきものだった。

 

まぁあの二人はまっとうではないので即断で了承したのだが……ワシは心底しびれたよ。実際アルケイデスに致命傷を与えることが出来た策だったり、凶器だったりはデュマの手によるものだったので、実質アルケイデスを倒したのはデュマといえない事もない事は無い。

 

結局倒せてはいない?

むしろ本気にさせてしまった?

 

知らん。そんなことは俺の管轄外だ。……歪んでなかったら倒されるのもやぶさかではなかったらしいから……。

 

6巻

 

行方不明になった警官隊の皆さんを心配する署長のもとに現れるデュマさんは、もはや間違いなく署長の信頼すべきサーヴァントであった。

 

「兄弟、あんたが俺に依頼したのは、警官隊の武器を作る事だ。魔術師としては駆け出し、 英霊なんてもんと比べた日にゃ、そこらの公園でベビーカーに揺られてるガキと大して変わらねえって奴らに、「戦う為の力』を与えるって事だ」
(中略)
「俺は作家だぜ、兄弟。 その俺が、お前らに与えられる『力』は何だ? 『武器』は何だ?英霊とやらになる時に、どっかからくっついてきた『宝具』の力って奴か? 付け合わせに出された道具作成のスキルって奴か? まあ、それも答えの一つだが、根本じゃあねぇ」
(中略)
「俺が他人にくれてやれるものはただ一つ!そう!『物語』だ!」
(中略)
「虚構(フィクション)だろうが現実(ノンフィクション)だろうが! 改稿した戯曲だろうが俺の自伝だろうが! 一から十まで俺の頭の中で生み出した妄想の類だろうが! 崇高な人間と歴史の生き様を小説に打ち直したもんだろうが! 世界が紡いできた料理の歴史を纏め上げたもんだろうが! それもこれも全部ひっくるめて『物語』 って奴だ」
(中略)
ガリバルディの旦那が革命を起こすって言った時に、俺は確かに船だの金だの武器だのを支援したさ。だが、そいつも一つの「物語」だ。金も銃も名声も、人の手に渡ったって話が他人に知られた時点でいくつもの意味合いを持つ。世を騒がせる英雄に、 三銃士の作者、アレクサンドル・デュマが支援した! あの時期の俺じゃ大した効果は無かったかもしれねぇが、一人の人生に影響を与えるにゃ充分な断片だ。ちょいとネットで俺の情報を調べてみたが、ちゃあんとその話が残ってやがった。 少なくとも、100年ちょいは忘れられなかったってわけだ」
(中略)
「ジョン・ウィンガード」
(中略)
「ヴェラ・レヴィット、アニー・キュアロン、ドン・ホーキンズ、チャドウィック・李、ユキ・カポーティ、 アデリナ・エイゼンシュテイン……」
(中略)
「ーー、ーー、……ソフィア・ヴァレンタイン、エディ・ブランド......。 で、締めはあんただ兄弟。 オーランド・リーヴ警察署長殿?」
(中略)
「名前だけじゃねえぜ? 面も、声も、生い立ちも、好きな香草の種類に到るまで知った範囲は丸ごとな。っていうか、あんただって部下の名前は全員覚える性質だろうがよ、兄弟」
(中略)
「今名前を挙げたのは、『主要人物の一覧」って奴だ。連中はもう俺の作品の主要人物なんだよ」
(中略)
「神を気取るわけじゃあねえし、コントロールしようなんて気もねえ。だが、兄弟達にとっちゃ恐らく最初で最後、一世一代の「聖杯戦争』って演目だ。俺はそいつに武器だの力だのって形で台本の一部を提供しちまったわけだ」

「俺が役者の設定を手直しし(ねじまげ)ちまって、最後にゃ俺にもどうなるか解らないっていう極上の台本(人生)なんだぜ? 最前列で見てぇじゃねえかよ、なぁ?」

(P58‐61)

 

とはいえ今回は出番は少なめ。まぁ4巻と5巻で現場仕事してたからね。

 

応援している警官の皆さんの出番はかなり多かったのだが、それはまた別の話なので、まぁ自分で読め。

 

7巻

 

偽ライダーやそのマスターへの対処、フラット・エスカルドス………………が引き起こした騒動、警察は今巻も大忙しだ。一応署長はどちらかといえば「黒幕」に入るんだけれども、それにしたってイレギュラーが多すぎる。こんな状況をコントロールしようと思うのがそもそも無理というもので……実際、「国」はもはやコントロールをあきらめた。……スノーフィールド消滅への、カウントダウンが始まったのだ。

 

そんな事を近いうちに知る事となる署長、オーランド・リーブ……そんな彼にデュマは、手作りの料理をふるまうのであった。伊達や酔興で好き放題食い放題していたわけじゃあないのである。

 

「召喚されてからこのかた、街の雑貨屋で売ってる固いゼリーにワンコインで買えるハンバーガー、貰った軍資金が目減りしちまう程の高級料理まで片っ端から喰わせて貰った。食い方もこの時代の礼儀に合わせちゃみたが、まあ、それなりに面白かったぜ?文句が無いわけじゃねえが、俺が時代遅れなだけかもしれねえから取りあえずは見に回った」
(中略)
「まったく、歴史の研究が進むってのは最高だな。俺がタイユヴァン料理長を『シャルル七世のの料理人』って書いたのが、今じゃ間違いって事になってるんだとよ。小説や戯曲だったら『シャルル七世の方が面白いから問題ない』って言えるんだが、よりによって料理事典でのミスが後から発覚とはな。もう一段階研究が進んでまたひっくりかえるかもしれねえが」
(中略)
「だがな、料理の研究が停まってねえってのは僥倖だったぜ。 現代じゃ、牛の腎臓の食い方も大分熟れたみたいだしよ。断言してもいいが、料理は人類の進化のエネルギー源の一つだ。三大欲求って奴だが、その中でも基本中の基本だからな」
(中略)
「昨日の晩餐よりも今日の晩餐を進化させたい、あるいはより美味く、あるいはより食いやすく、あるいはより安価に、手軽に、健康的に……どんな方向でもいいが、料理ってもんを一歩先に進めようって奴が一人でもいる限りは、人類の文化は停滞しねえさ」
(中略)
「とはいえ、だ。別に俺は料理は常に新しい手法が一番……とは思っちゃいねえぜ? 例えば俺が生きてる頃に食って一番美味かった羊肉のローストは、都会の最新の窯で焼いた奴じゃねえ。 ディアン=ディアンの遺跡を見物しに行った時に馳走して貰った、羊を丸ごと灰焼きにした砂漠の料理だ」

Fate/strange fake 7 P186‐188)

 

……チラっと調べてみたんですが、デュマさんマジで「食」に関してはガチっぽいんですよね……。ふむ、「料理大辞典」……機会があれば読んでみようかな。古い本なので読みにくそうではあるが……。

 

さて、署長にふるまわれたのはそんなお料理ガチ勢デュマ先生の手作り料理。食べてすぐに「あと48時間でこの街が消されます」と、キャスターから報告を受けた署長は……だからといってあきらめるわけでもなく。他の黒幕陣営とは別行動、最後の最後まで「市民の味方の警察官」としてふるまう事を決めたのでした。実際問題「街を更地にしたくらいで超巨大台風とか衛星飛ばしてくるやつとかどうにかできるもんなのか」という懸念は、その通りであった。8巻の神殿とか特異点と化してるみたいな話だったので、実際どうだったんですかね。

 

続く警官へのねぎらいの言葉とかも良いんですが……さて、これが本当に最後の晩餐になるかもと、そんな弱音も口から出てしまう程度には、状況は切迫しているわけである。「銃士たちよ、風車に挑め」は回数制限付き。新たに「遥か終わらじの食遊奇譚」を使うような材料も手元には無い。やや感傷的な気分になりながら……買ってきた「生前の知人」の著作を手に取るデュマ。

 

「まさか、あいつの本もいまだに世界中のガキに読まれてるとはねえ。『けものあぶらのロウソク』はあいつ結局売りに出さなかったのか? 未熟な頃に書いた作品だから売り物じゃねえとか抜かしてたが、俺はあれが一番好きだったんだがな......」
(中略)
「マッチの火の中に浮かぶ思い出か。あいつの意図はともかく、端から見りゃ俺達英霊も似たようなもんかも……」

Fate/strange fake 7 P199)

 

……パラパラとめくりながらそんな風に自嘲するデュマ。

 

……しかし何やら様子がおかしくて。

 

「ん?」
違和感を覚え、そのページを見直した。
「......あぁ?」
開かれたページは、寒空の下でマッチを売る少女を描いた童話のラストシーン。
違和感の正体は即座に判明した。
その結末が、デュマの知る本来の童話とまったく異なっていたのだ。
美しい思い出の中で凍え死ぬ少女というオチが、裕福な富豪の手によって救われ幸せに生き続けるという結末にすげ替えられていたのである。
「オイオイ......待て待て待て待て、マジかマジかマジか」
それはアメリカなど一部の国で出版されている、「悲劇の結末ではなく、ハッピーエンドに改竄したバージョン』の絵本だったのだ。
「お前……こんなよぉ……」
著者名などを再確認しながら暫くポカンと見つめた後、デュマはワナワナと手を震わせーー

Fate/strange fake 7 P199‐200)

 

……続く台詞というか反応は、一応隠しておこうかな。まぁ、心配するような人もたぶんいないと思いますが。

 

あー、いやあ、良いんだよなぁ、アンデルセンとデュマの関係……もう数年前のエイプリルフール企画で、この二人はちゃんと顔を合わせて会話してるんですよ!その時の締めというかなんというかになるのもこの「マッチ売りの少女」だった……と思います。もうオフィシャルな手段で読み返す事はできないのだ……探せばどっかで保管してはいると思うが、まぁ……公式さんはたぶん消しているはずなのだ……。

 

とはいえ、知人の作品と、あるいは現代の出版社によるアレンジにより、多大な刺激を受けたデュマは、気合を入れなおして聖杯戦争に、改めて臨むことになるのでした。

 

アンデルセンにとっての「マッチ売りの少女」がどんな作品だったかをどうやら知っているらしい辺り、お前らどんな会話してたんだよ、となる。お前、アンデルセンにとってのそれは、お前……めちゃくちゃ重要なヤツじゃないのか……?

 

8巻

 

zattomushi.hatenablog.com

 

最新刊ですしこちらでも書いたので、ここではあっさりと。

 

気合を入れなおしての「第一作」は、現代に新たな神殺しの伝説を生むにいたったのであった。

 

本当、エルメロイ先生と合わせたらダメだぞ。全然関係ないパーツから特定サーヴァントの弱点を無理やり突く無法コンボが完成してしまう。

 

 

 

 

まとめ

今回改めて読み直して、やはりデュマは俺の好みのキャラクター……「テンションが高くて台詞の長い男」類だと、改めて認識した。芝居かかった台詞が好み、という事になるのだろうか。

 

独自の価値観、あるいは判断基準、それらをしっかり言語化し、他者に伝える。なんとなくそのあたりがこの類例の魅力なのではないかと思い始めているが、それとはまた別の話でデュマは大変に魅力的なキャラクターだ。

 

今後の聖杯戦争でも、どうか彼が楽しんで、笑いながら終われますように。

 

 

 

……そしてFGOにできるならば低レアで実装されますように!

*1:あと非公式Wiki

*2:平時にしていいっつったらすると思うけれども。

*3:そしてそんな相性を小賢しいとばかりに粉砕するめちゃくちゃな出力ゲーとしての要素も併せ持つ

雑読メモログ(3/2)

 

 

そして更なる問題があるとすれば何にも問題ではない事である。30年前?……そりゃあお前が30歳以上ならその場に居るだろうよ。何言ってんだ。自然の摂理。

 

まぁ実際産まれた頃の事件をああだこうだと羅列されて、「お前はこの時代に居合わせた!この時代の当事者なんだ!」みたいな事を言われても、その自覚が持てるかどうかはかなり時と場合によりますが。居たか居ないかって話なら居たけどよ、あの、よくわかってなかったです……(当時生後3ヶ月)……そういう事もあるだろう。

 

産まれてすぐに人間としての自意識がある人が居たら面白い。夜泣きとか出来るだけ控えてくれるだろうか。腹が減った際のサインとしての「泣き」が、いきなりフルスロットルではなくて、なんというかこう、徐々に強くなる感じにしてくれるだろうか。ウンコはいきなりフルスロットルでも許されるだろうか。

 

なろうというか転生系は、そういうケースも多いと聞く。それはそれで大変そうだけれども、多分大喜利はやり尽くされた後だろうな。

 

それにしても30年前が「生まれる前の話」にならなくなってきたか。まぁ、仕方ないが。

 

 

9.11テロ……その数日前に日本で発生した大火災。酒に酔っていて思い出せないけれど、自分はその犯人かもしれない……というお話みたいです。大火災自体は本当にあった事件を基にしているとか。

 

「犯人は自分かもしれない」という感覚はかなりの不安を与えるものである。第三者に疑われた際には……自分の潔白を自分が証明できる場合にも、不安は覚えるものである。ましてや証明できないともなれば、その不安はいかばかりか。俺にも似たような経験があるのでよくわかる。

 

……アレは俺が学生の頃……遊戯王のストレージ漁ってて、「買うもんねーや」と店を出ようとしたその時ですね……お店の人に「少しよろしいですか」と声を掛けられたのです……!

 

ま、軽くポケットの中確認されただけでしたが。どうも全員に声掛けを実施していたようで……1枚100円しないストレージコーナーでやる奴がいるかよ、とは当時思ったのですが、後年知るところによればああいうの金額に関係なくやる奴はいるそうなので、お店の人は大変ですね。

 

いやー焦った……何が焦ったかって、その時「バラで剥き身の遊戯王カード」自体は財布の中に持っていたからですね……もちろんお店のストレージとは何の関係もない私物ですが……当時各所に設置されていたデュエルターミナルから排出された、正真正銘俺の金で買ったものですが……。お店の人にそれを証明出来るか、と言われれば……せめてスリーブくらいは入れておくべきだったなぁ。

 

記憶が正しければ、確か「魔轟神獣クタベ」、「魔轟神獣ノズチ」、「魔轟神獣ガナシア」の3枚。当時これらをスキャンすると魔轟神獣の隠しデッキが遊べたはず……内訳までしっかり覚えているあたり、当時どれだけ緊張していたかがなんとなくわかる。

 

ものの見事にストレージに居そうな連中なのも良くない。トリシューラとかならなぁ。どう足掻いてもストレージにはねえからなぁ。トリシューラは贅沢にしてもなぁ、ユニコールとか欲しかったよなぁ……。

 

……当時の自分には高かったのですよ、魔轟神獣ユニコール……。最近また高騰したらしいな。条件さえ満たしていれば「神の宣告」他カウンター罠まで止められる、非常に高い初見殺し性能を持つお馬さん……マスターデュエルでなら気軽に使えるので良いですね。URなのもまぁ納得してやろう

 

マスターデュエルのTier1連中にはどう足掻いても勝てません(初見/初心者相手なら刺さる場合もある)が、まぁ、だからこそ規制される心配とかもないので。

 

物理で殴られるとどうにも弱いのが最大の弱点である。ATK2300……せめてあと100、帝ラインをなんとか……!レベル4シンクロ、出す難しさは下手な6とか7とかよりむずいんだからさぁ……。

 

 

「みんながパニックになる!」と慌てる人がパニックを作る、とそういう話でふと思い出す。

 

実際ちょっとした間品薄になってましたね……あとお店のトイレから盗まれたり、そういう事件もあったと思う。困った話だ。

 

この場合の例だと結局「パニックを作った(本人の自覚としては『備えた』なのがまたややこしい)側」が結局最終的には得をしてしまったわけで、なんともし難い。しかも「普通に家のが少なくなってきた」人との見分けは、まぁつかないし。

 

これに限らず冒頭は震災……いわゆる311だったり、911だったりを受けて作品の読み方にどのような影響があったか、が語られていて、まぁ個人差も大きいとは思うんですが、俺もコロナ禍初期に「ジョーズ」を見て、色々考えちゃったのを思い出しました。GoToとかやってた時だから……まぁ初期でいいだろ。今も着々と進行中ではある。末期ではきっとないだろうから。

 

zattomushi.hatenablog.com

 

そういえば成田先生も……1932‐Summerの後書きだったか、震災について触れていたな。この辺りは個人差も大きく、また当事者か否かでだいぶ変わって来る部分もあるでしょうから、一概に「こういう変化でこうなる」とは、ド素人の俺はやりませんが……コロナ禍の状況の推移もありますし、それ以外にも色々色々なことになっているこのご時世だ。またどうにかはなるんでしょう。不変をくれよと色即是空

Fate/strange fake 8 読書メモ・感想

 

 

そんなわけでついに発売!

読了し書き終わりました「Fate/strange fake 8」!

 

偽りだらけの聖杯戦争もいよいよ大詰め!ワンドロの準備も兼ねまして、ここに読書メモと感想を書いておきたいと思います!

 

新刊なので実況行為は控えましたが、ひゃあ我慢できねえとこちらに書いておきました。大体何ページを読んで書いたメモなのか示しておきましたので、俺と一緒に読書したいという変な人はよろしければどうぞ。変な人ですね。

 

あとはもうネタバレ注意です!一切配慮しないし、あといきなり8巻の感想を書いていくわけだから、今回の記事は本当、未読の人にはたぶん意味わからんと思いますよ!いつにもまして!

 

イシュタル討伐戦線勃発。スノーフィールドに災厄が降り注ぐ。

呼び寄せられた巨大台風――天の牡牛によって混乱する聖杯戦争。人理を否定するがごとき女神の暴虐を許すまいと、宝具を撃ち放つランサー。そこに立ちはだかるのはランサーにとって因縁の怪物、真バーサーカーだった。さらには神を憎み抗う復讐者による魔矢の洪水が降り注ぎ、『ネオ・イシュタル神殿』を中心に大規模な衝突が始まった。
そして、一人のサーヴァントが影の中から女神に告げる。
『――汝に、晩鐘を届けに来た』
一方、非常事態の中で共闘を目指すマスターとサーヴァントたちが渓谷にて合流する。だが、エルメロイ教室の面々を前にアヤカは……。

Fate/strange fake 8 カバー折り返し より)

 

 

(P12)

冒頭文、〇〇の〇〇〇。これは「令呪」の「再分配」かな?ソラウさんとケイネスで令呪を共有してた奴……当時のゆっくり解説的なアレで「サラッと書かれてるけど神業」みたいに言われてた記憶があるぜ。

 

(P19)

掌底からのガンド。えげつない真似を。

 

ドリス・ルセンドラ。ちゃんとした登場は初かな?元々真ライダーのマスターになるはずだったけど、消息を絶ってた人ですね。

 

「鬼種」を目指し、肉体改造を続ける一族……アレもアレで難儀な種族なんですが。「隻眼」はシリーズをちゃんと追っている人なら誰かわかるんだろうか?何となく「月姫」の方面の匂いがするな。

 

(P35)

サラッと登場、「獣狩り」のゼムルプス家。カドックくんは元気しとるだろうか。まだ俺は目を覚ました彼に会って無いんですが。

 

教室の皆様、熱烈なファンは6巻でチラリとその片鱗を見せ、愛人志望はイヴェットちゃん(キャラデザめちゃくちゃ好き、中身もねー、『親愛の情は本物だがそれはそれとして利得で動く』軸が好きな気配がある)だろうが……殺意ってのは誰でしょうね。多分実質の厄介ファンn号だろうが。

 

(P46)

幽谷、無貌の翁。カバーの文でも自己主張が強く、全然忍んでいないアサシンのあのお方……。てっきり真アサシンの真名こそが、と思ったのですが、しかしこの書き方を見る限り、あるいはその前に立つ「影」こそが……?

 

(P53)

いっそガス会社もフロント企業としてこっちで作っちまえば良かったのになぁファルデウスくん。作ってたんだっけ?

 

(P54-55)

ネオ・イシュタル神殿。振り撒くは精神汚染一歩手前の『魅了』。偽アサシンや彼女を前にしたジェスターさえ気を取られるとは、恐ろしや。怖いもの見たさで見てみたい気もするが、うん、まぁ、ピーピングなトム君の二の舞よ。

 

(P64-65)

ヘラクレスヒュドラ毒を撃ち込んだら、以降彼の攻撃の全てにヒュドラ毒が付随するの、はちゃめちゃなバグだと思うんですよね。弱点付いたんだから、そこは即死……までは行かずとも大ダメージを受けてほしい、そういう気持ちはある。

 

例えるなら、「アキレウスの踵を射抜いても全然暴れ回る」みたいなバグですよね。

 

仕様です。大英雄はこれだからな。

 

ピロクテテスは知らなかった。後で調べよ。

 

(P75)

ヴェルナーさんが出てくる事件簿は読んだぞ。「彼」はあのご老体本人か。遥か歳上の彼が生徒になっちゃうとは、二世も胃を痛められるだろうに……もうそんな事は誤差だろうか。

 

(P80)

……アレ聞かれるのお前だったの!?

 

いやー……正直これは想定外……あのPVはなんというか「あくまでもイメージ」というか……「がるぐる!(上)」のあの見開きだと思っていたので。

 

若かった俺はめちゃくちゃ混乱しましたとさ。

 

あの見開きの源さん、よく考えると言ってる事めちゃくちゃなんだよな。そっちが受け取ってくれない状況は通常無いだろ。なんだ?「ミラグロマン」に呪われた時には源さんのラーメン屋行けばいいのか?

 

多分だけどマジでミラグロマンに呪われた人が来たらあの人普通に断ると思うんだよな。

 

(P91)

エルキドゥさん、やりますねぇ。それでこそ「兵器」!無自覚にウォッチャーの「天敵」を引き当てるところとか特に……ウォッチャー(と老船長)の真名は、これはもう確定で良いのかな?

 

(P92-93)

エルキドゥさん、めちゃくちゃ辛辣で笑う。

 

(P96)

ああ!コレは知っている!「十二の試練」で最も世帯染みた、けれども絶対やりたく無い試練!地の文=サンも「嫌がらせ」とおっしゃってるが、実際まぁアレ嫌がらせだよね。

 

後、このやり方だと、どう考えても牛さん死ぬよね。……まぁそこの生死の話をするなら数十年手付かずな時点で……。生きているならただの牛さんじゃないんだな。じゃ平気か。

 

(P97-102)

イシュタルを「獣」と喩えたすぐ後に、「彼」がここまでの思慮深さを見せるのは、これは多分笑って良いところ。

 

(P104)

本質は道具。本質は兵器。それは確かに神代の、泥人形にとっての真実だ。しかし今の彼にはマスターが居て、その身も泥人形には在らず。ならばその本質は同じでも、意味するところは別となるか。

 

まぁ狼さんとしては道具とか言われても困るだろうしね。

 

(P119)

騙るは千両道化の影法師。なに、彼の「そっくりさん」が今更1人増えたところで、世界は何も変わらない。もう1人2人いるとかいないとか。

 

ところであの逸話、ちゃんとした出典は無いみたいだぞ。マジかよ。

 

(P125‐128)

因果の逆転。ゲイ・ボルクから続くFateの伝統であるが……そんな使い方をされるとは。魅了されたという事は、心があると言うことだ。

 

そして良いなぁ、エルキドゥの「本音」!

 

素で煽ってるみたいになっているのも勿論良いんですが、何より、「出来ることなら」が最高じゃないですか!

 

(P130)

「サンジェルマンに会った」、まるで真名のヒントにならないから笑う。年代も地域も絞れねえ!

 

(P135‐P147)

まぁ「同じ顔」ってだけならねぇ、騎士王と沖田総司が同じ顔の世界なんで、別にどうということも無いんですけれども。世の中3人はいるらしいしね。

 

……種明かしの空気良いな……。いやまだ種が明かされたわけでは無いが……。セイバーも締めるところは全然締めますからねぇ。とりあえず逮捕されてみたりはするが……。

 

まぁ悪い子じゃないですよ。それは確実。にしても誰だろうな本当……うーん、入れ替え子……あるいはお姉さんがやらかしたか……?

 

あれ、そもそもフィリアがイシュタルとして目覚めたキッカケはなんだった……?そして、サジョウに声をかけたのは確か……また読み返す必要があるか。

 

(P157‐159)

心中に目覚めたジェスター。

 

無視されるジェスター。

 

寝取られに目覚めたジェスター。

 

そして無視されるジェスター。

 

……好きだなぁ。なんかもう小物感がどんどん増していって……。小物も好きだからね私。「テンションが高くて台詞の長い男」属性持ちでもあるか。……本体は女の子なんでしたっけ?まぁ、それならそれで。そこはそんなに重要じゃないんだ。

 

(P164‐165)

……おう、来てしまったか……。

 

……先ほどの「因果の逆転」を使うのであれば、「来てしまったなら彼女は」と言えるかもしれないが、まぁそんな屁理屈を弄すような局面ではないのである。なにしろダイレクトに命の危機ゆえに。

 

(P169-173)

……(……歴代、特に静謐ちゃんの方を見る)。

 

……良いなぁ。真アサシン・偽アサシン……。この二人に「真」とか「偽」とかつけちゃうの、これはちょっともう野暮ですね。

 

野暮も好きなので俺はやるがね。

 

(P182)

お絵描きAIでオベロンの触媒を手に入れるってのは作者の成田さんがやってましたねぇ。……宝具詠唱とか入れてみたら面白いかもしれませんが、PCのスペックがアレだったりで、まだ手を伸ばせていないのです。

 

(P188-189)

そうだ。ファルデウス君は「彼」の地雷を踏んでいたのだったな……いやけどアレは真さんも悪いっていうか、少なくとも「残機」に関しては殺す前にちょっと一声掛けて欲しかったっていうか……。

 

「彼」の地雷を踏んだのはそりゃファルデウス君の責ですが、まぁ立場上どうせいずれは踏む地雷だったとも言える。

 

ただこれは全然シグマくんのブラフの可能性もあるよなぁ。少なくとも真アーチャーにそんな暇は無さそうだし。

 

(P193)

ふーむ……最初はシャムハトちゃんかなと思ったのですが、どーも違うみたいだな。「出会う前の事」と書かれているから……フワワか?

 

FGOの幕間まだやってないんですよね……いや成田先生が書いておるのは知っているんだが、しかしだからこそタイミングがですね……。

 

(P203)

この世界でもジウスドゥラさんが「彼」だった……?そういうことでは無さそうだが……。

 

(P208‐216)

(なんかすげぇ事やってる……→……なんかすげぇ事やってる……!)

 

(P226)

なんかみんなもう、ヒュドラ毒を気楽にロンダリングしすぎじゃありません?それ、初めはダガー1本分しかなかったはずでは?

 

(P237)

んー……読み耽っちゃったわ!ティーネちゃんもええねぇ。何の意味もない「未熟な子供」の叫びと献身が、それでも戦局を変えたのだ。

 

(P246)

ファルデウス!お前!やりやがったな!

 

(P250)

ハルリちゃんもねぇ、祭司長として、あるいはバーサーカーのマスターとしては、何も間違った事はしてないんですけれども。

 

(P262‐263)

クレタの土、還されても困ると思う……。

 

(P265)

ヒッポリュテちゃんも真面目ですからねえ。良い子よ。

 

(P288)

煙酔さん、そんな大物だったのか……。うん、奴さんは民を護るために死ぬ人だよ。……やや見通しが甘いきらいはあるが……。

 

(P309)

デュマさんこの巻ではちょっと出番少なめですが、まぁこの見せ場なら全然OKよ。

 

(P314)

照応とか言い出したらそれはもう事件簿なんよ。文字通りの「水たまり」である事だなぁ。

 

(読了)

……イシュタル、脱落。

 

……そして「彼女」は……、というところで、次巻!いやぁ良い!最高だ!

 

 

 

というのを「読みながら」の雑感とした上で読み終えた上での感想というか印象に残った点を徒然とやっていきましょう。

 

まぁキャラクター別にやっていくのがやりやすいかな。

 

偽ランサー

今回の「イシュタル(+グガランナ+真バーサーカー)討伐戦」において、最も「ノリノリだった人」。何せ生前からの因縁がバチバチであるからな。

 

7巻でティアと戦って、今回でもほぼずっと戦っていて、最終的にまだ割と元気で真バーサーカーも残っているので、多分まだまだ戦う人。頼りになるなぁ。以前から……それこそFGOにおいてもその人間離れした(そもそも人間ではないので当たり前といえば当たり前なのだけど)価値観は描写されていましたが、今巻では特にその本質……「神造兵器」としての一面が強く感じられたような気が。

 

それはなにも「記憶領域」だとか「聴覚センサー」だとか「メモリ」だとか……真アサシンを指して「ステルス機能」だとか、各種「機能」が機械風に再現されていたから、というわけだけでもないだろう。

 

なんででしょうね……そうテンプレ的に「普通の人間なら通常こうするが兵器だからこうする」みたいなシーンは無い……というか、Fate的にも成田的にも「普通の人間と違う判断をする」のは別に珍しくもなんともないし。ありとあらゆる「創作物のキャラクター」に同じことは言えますけれども。

 

……やっぱり、アレかなー……「彼」から離れ、イシュタルを止めようとする、そのあたりの語りで、自分自身を自分自身によって「道具」と定義したのが大きかったのか。もちろんあらゆるキャラクターの自己定義を間違いないモノ、とするのも違うのですが……なによりこのシーンにおいては、エルキドゥが「道具から離れ掛け」「道具に戻ろうとするが」「それを『彼』に咎められる」という流れであり、このシーンを以て「エルキドゥは道具(兵器)だ!」とするのは、何かが間違っているような気がするが。

 

しかしじゃあ「人間(っぽい)」なのか、というと、それもちょっと違うんだよなー……となる。なぜなら人間ではないからなのですが。

 

……そうか。まず俺の脳内において「エルキドゥは人間ではなく兵器である」という設定が大前提の事実としてあって、その状態でエルキドゥのパーソナリティ……敢えて言うならば「人間性」みたいなモノが描写されたことで、これが一見矛盾しかねない大前提を乗り越えた結果、「エルキドゥは高度な『人間性』を持つに至るだけのスペックを備えた超高性能兵器である」という結論に至り、その末に「エルキドゥの『非人間性(=兵器性)』」を強く実感することになったのか。

 

……じゃあ、そういう事で良いです。実際そういう事だろうし。エルキドゥには確かに人間性、感情や思考……と、「呼べるモノ」も存在するが、それはエルキドゥが人間(学名Homo sapiens)である事それそのものを意味するわけではない、というのは、まぁ妥当なところであろう。

 

実のところ人間と非人間(ただし人間を限りなく近く模倣することはできる)の差にそこまで興味がない、というのもありますが。そこに上下を感じているわけでもないし、ステータス欄の種族として見ているだけで……シグマ君がこの巻で「哲学的ゾンビ」について語っていたのは果たしてなんの偶然か。

 

さてエルキドゥの人間性を感じたことで逆に兵器性を強く感じた、という事で自分の中で決着がついたところで、どういう部分に人間性を強く感じたのか、という話をすると、うん、これはイシュタル神に対するキレ具合というか、辛辣さなんだ。

 

AIの進化もすさまじいというけれど、あのレベルの「煽り口調」で道具が人間と喧嘩できる日は果たして来るのだろうか。まー、いずれ間違いなく、早ければ今年中には来てしまうとは思うのです(なんならもう来てる?)が、なんというか、本当に末恐ろしいですね。

 

読みながらの感想では「(P97-102)」において笑いどころとしてしまった部分ですが、アレも……煽りというか、敵対心を込めて「獣」という表現がノータイムで出てくる当たり……エルキドゥにとっては自分のマスターである狼も、たぶん「生物」という、人間と同じような括りで考えていたのかな、とは今頃になって思いましたとさ。

 

イシュタル

今巻の実質的な主役というか敵役というかレイドボスというか。

 

FGOで味方になったり、バビロニアで敵対した時には、なんというか依代の影響がかなり強く出ていのだなぁ……と改めて実感してしまうレベルで、その実力はまさに神格級。「うっかり」とか(そんなに*1望むべくもないのですぜ。

 

極めて高ランクの「魅了」は火薬や地面などの無機物・非生物さえ無力化してしまうのだ、とか、冷静に考えれば「そうはならんやろ」なんですが、しかしそれにはこう返すしかない……。

 

なっとるやろがい!

 

真面目に考えると「魅了」の本質が「無意識・自動的に魅了対象に有利な働きをしてしまう」だとするならばそれを無機物・非生物に作用させれば、化学反応やその他の物理運動を自らに有利なものに置き換える事が出来る……?

 

……とか考えてたんですがどうも「因果の逆転」によりマジで意識を目覚めさせているらしく、わけがわからねえな。

 

そんなめちゃくちゃな力で暴れまわる彼女も、とうとう「真アサシンの宝具」+「エレシュキガルによる冥界』」+「デュマ・2世の共著神殺しの矢』」の前に倒れることになったわけですが。いやぁ、よくもこれだけパーツを揃えたモノよ……。デュマと2世とあとヴェルナーが居ると、大体の場面で「代用」が効いてしまう、というのはあるかもしれないけれども。聖杯戦争運営は、プレミアム殿堂コンビとして指定すべきかもしれない。

 

凛と「彼女」のつながりは、これは事件簿か、続編の冒険かな?FGO時空とは……そもそもグガランナがそこから来た疑惑も強いので、それだけでもまぁ無くは無いか。要因の一つとして「ギルガメッシュの遺骸」があったのは語られていたけれども。

 

力を思うがままに振るっている時の尊大さも、散り際に見せた……アレはなんと表現するのが適切か……うーん、やっぱり尊大さも、そのどちらも魅力的な良いキャラでした。

 

……こう書くと「尊大さ」しか魅力がないみたいな感じになってアレですが、違う……いや違くない?……「尊大さ」を色んなベクトルで持っている、そういう女神様なのですね。

 

まぁ、人類の敵ではありますけれども。エルキドゥさん、マジで嫌がってて笑うんだよな。

 

偽アサシン

真アサシンとの遭遇とか、離れたシグマとの関係とか……書かれたすべてのシーンが名シーン、という感じで良かったですね。

 

真面目にかなり「真アサシン」との会話とかは、両者がそれぞれどういう在り方のどういう存在なのか、というのを短いながらにしっかり描いた良いやりとりだとは思うのですが……それは「真アサシン」の方に回すとして……。

 

……じゃあ何が印象に残ったのかといえば、それはやはりジェスターとの漫才じみた会話になってしまうのですが。いや、漫才じみてはいるけれど、それはそれとして悪辣な「手」を最後に用意してくるあたり、ジェスターさんマジでぶれねえよな、とはなるのですが……。

 

……少し気になるのは、ジェスターが最後の罠として、「逃避」を口にしたのが、本人曰く「愛を妥協した」その直後だったこと。上ではこれを指して「寝取られに目覚めた」と表現したわけで、その相手は「異邦の力」だったわけですが……もしかして本当に「自分じゃなくても良い」と思い始めた……?

 

……なんとなくですが、コイツ、退場はするにしても死なないような気がしてきたな。

 

そしてそんな彼女の「切り札(らしきもの)」もついに判明……。「霊基の根底・自我さえ覆し、過去のハサンの模倣を一つに纏める」というもので、恐らく使えば良くて退場、悪ければそのまま狂化しレイドボス化、という感じかな?

 

まぁ使おうと思った矢先にあんなことを言われては、たぶん今回は使わないと思いますが。真アサシンさん、本当に善きお人やで……。

 

そして地の文=サンにMVPともされた「煙酔のハサン」の使いどころ……。

 

煙酔さんといえばFGO1部6章でトリスタンへの約束の文面をミスったことで有名だが、彼の高潔さはそれでもマジだったし……そしてその実力も割とマジだったのだ……。……なお、トリスタンへの約束は、仮に本人が「こう約束させるべきだった」とした文面においても、恐らく普通に反故にされたと思われる。セルフギアスとか無いし……ぶっちゃけ一方的に言うだけ言ったやつなので相手が大人しく守ってくれると思う方が割とあのうんまぁなんてうか

 

真アサシン

というわけで真アサシン改め幽弋のハサン

 

……俺のPC、って変換できるんスね。初代様の影法師……とのことですが、その過去については黒塗りが多く、不明な部分も多い……初代様ご本人、というわけではなさそうなのですが。……明かされる日、くるのか?考えてはあるんだろうから、あるいはどこかでまた登場するのか……FGOもまだちょっと続くみたいですしねぇ。

 

マスター殺しに専念された場合、その暗殺を防ぐ手段はほぼ存在しない……というのはまぁ今までの描写からもわかっていましたが、今回は切り札たる宝具まで判明!

 

……「消滅確定時誰か1人を道連れにする」……おおう、マジで相手したくねぇ……。そもそも認識できる人が限られている中で、苦労して倒したらこれがとんでくるわけだ。最悪である。そもそも「苦労して倒す」ハードルがまず高いのに。「影」の設置と「厚みのない360°斬撃」は宝具でも何でもないただの技術なので、全然宝具ナシでも戦える人なんだよな。アーラシュとかと同じ枠。

 

残機潰しとかもあれはあくまでマスターの命令を聞いただけ(ファルデウス君視点では一声掛けてほしかっただろうが)だし、聖杯についても「願望器とか要らん」してるので……敬意と覚悟を持って接するのであれば、かなりの確率で優勝……というか願いを叶える事はできるのでは。根源(本人に自害を命ずる必要がある)とかはわからんけれども。呼んだファルデウス君もそこそこやらかしているし、腹に一物あるんですが、まぁそれでも無事は無事だったしな。

 

ファルデウス君が令呪をあの使い方した時は「またやらかしてる!」と思ったのですが、冷静に考えたら消滅が確定した後に消滅を前提にした命令をしただけなので……「無意味」以上の意味はない?……いや、それでも何とかするのがファルデウスくんなのです……。オーバーフローというか……何かしらの形でバグりそうではある。

 

そんな真アサシンさんが、偽アサシンを諭す流れとかはかなり好みでしたね。

 

偽アサシンを「間違っている」とか、そういう言葉では責めず、けれども安易に認めることもせず、1人のただの「熱心な信徒」……「守るべき民」として接するその姿勢は、確かなその立場にある人というか、導く者としての矜持を感じさせるものでした。

 

無論、究極「ハサンではない」相手への対応なので、若干甘めだった、というのはあるかもしれないが。

 

さて、そんな真アサシンの言葉を受けて……偽の、しかし確かにそこにあるアサシンは何を為していくのか。それはこれからも見守っていきたいところ。

 

とりあえず厄介なマスターに始末をつけるところからだ!絶対ちょっかい自体はまだまだ出してくるだろうから。

 

案外妥協したのを真キャスターあたりに幻覚混じりにネチネチ責められて終わりそうな気配もある。それで折れるならそれはそれでええんじゃないですかね。

 

セイバー

彼について語るならなんと言ってもエルメロイ教室……というか凛とのピリついたやり取りだろうか。

 

結果としてはああいう形に落ち着きはしましたが、いやでも「茶番だった」とは絶対に言えないからな……。今回でその「危うさ」というか、ある種の「英雄性」が明らかになったのも大きいが、よりキャラクターとしての旨味が増したのではないかと思います。

 

どこまでもマスターに味方する、その言葉や姿勢には間違いなく嘘はなく。さてではいよいよその「マスター」の正体が明らかになったらどうなってしまうのか……というところで、次の巻へ続くわけですね。楽しみ。

 

戦闘においては……今回はアヤカとエルメロイ教室の護衛役、と言ったところか。色々と便利な能力持ちなのですが、流石に「単純火力」がやや足らん……!

 

まぁあの性格と連射の効く中火力、便利な御一行の力の数々を兼ね揃えた上に単純大火力まで足りちゃうと、Apoにおける金時みたいになっちゃう、というのはあるのかな、と思います。

 

真アーチャー

グガランナを食い止めつつ、最終的にはその霊核を「天つ風の簒奪者」にて奪い去り自分の力に変えちゃった……恐らくはレイドボス第2号。少なくともヒッポリュテはやる気満々だぞ。

 

なんといっても「簒奪者」の無法具合ですよね……。「神秘」であるならサーヴァントの宝具以外も奪う事が出来るのか……流石になんらかの上限なり制限なりはあると思いますが。

 

……あるとすれば「制限」の方かな、史実ベースで「これを為したのは確実にアルケイデスではない」との証明が為されている事象……を基にした宝具に対しては使えない、とかそんな感じで。既に奪われた「悪魔説」はまぁ、こじつければいけるだろう。切り裂きジャックは正体不明なので、そのあたりを否定するのも難しそうだし。

 

……上限はなさそうなんだよなぁ、グガランナの核が奪えちゃった以上……。

 

プロメテウスの不死によるリミットもありますし、恐らくはそう遠くないうちに「自壊」してしまう彼ですが、果たしてその時までにどれほどの被害が出るものか……ポルテちゃんには頑張ってもらいたいものです。

 

正直「『十二の試練』の代償に考えるには簒奪者ちょっと弱いよナー……奪わなくても十分強いからナー……(ダーティな手段を取るバズディロットからしてみればアーチャーのままでは使い難くてしょうがない、という事情はあるにせよ)」と、考えていた部分はあったのですが……やはりそこは大英雄、どのクラスで呼んでもぶっ壊れているのは間違いないのだな。

 

ちなみに敢えてプレミの話をするなら「バーサーカーで呼ぶ」ですね。アインツベルンは反省してほしい。本当に。

 

シグマ

現代に産まれた「神殺し」。

喜劇役者の名演技に万雷の拍手を。

 

そんなわけで見事「神殺し」を果たした彼ですが、「ウォッチャー」によって得た規格外の情報力を見事に活かしていましたね。大したものだ。誰に何を言って何を言ってないのか把握するだけでも一苦労やぞ。

 

彼がこのような大役を担うことになるのは……正直ある程度分かっている事ではありますが。今までも結構色々やっていたし。

 

それでも彼が「喜劇を演ずる」という軸を得た事と、それを見事に為しえた事は、とてもうれしく思います。偽アサシンちゃんとも何ともいい関係になってるしな……色々な意味で今後が気になるところだ。

 

さて、そして恐らく次巻以降の引きとなる「警察のスパイ」は、果たして誰なのか、そもそも存在するのか、デュマに協力してもらうためのブラフだったんじゃないのか?

 

……まぁ、たぶん存在はする……というか、ジョン君じゃないかな?

 

本人も意図しないところで、真アーチャーと戦った時に何か情報収集系の「十二の栄光」を使われた、とか、そんな感じだと思います。彼もどうなっちゃうんだろうねぇ、なんか大変そうだからねぇ。

 

仮にそうだとすれば難行の一つ「黄金の林檎狩り」から【アトラスによる代行】が怪しいかな、と思います。

 

己に比肩し得ると認めた対象を「アトラス」として認定し、力を底上げすると同時に自らの耳目と代わり情報を収集する、とかそんな感じで。本来の使い方は味方の強化・情報共有かな?ちょっと小賢しいけれども、最も非戦闘用っぽい「家畜小屋掃除」から【濁流】を抜き出してきたのだから、ちょっとくらいはこういう小技っぽいのがあっても良いだろう……。

 

これを使われている、と仮定すれば、「ジョンの状態」にも説明がつくしな……やたらと地の文=サンが気になる書き方をしているので次の巻以降心配だ。あと「アトラス」自体はFGOオリュンポスでもチラっと出てきましたが、どうもその「チラッ」具合が「後で誰かが外部で補足します」みたいな匂いを感じさせてならない。具体的にはBLEACHドン・観音寺とかシャズ・ドミノとかの匂いがする。

 

ま、違ったらそれはそれで良いんだけどサ!

 

凛(エルメロイ教室+ドリス)

まず、ドリスちゃんのキャラデザから「癖」を感じました。ツリ目ギザ歯肉弾系……良し。

 

いやー、考えてみれば「Fateシリーズの原文で何にも混じっていない凛を見る」のは初めての経験か……。SNもアニメ・映画と漫画で見ただけで……事件簿(とその続編の冒険)にも出てくるらしいが、俺が読んだ巻には出てこなかったからな。FGOの凛は何かしら混じっているし。

 

なんというか、そうですね……。

……つっよ。

 

アニメの時だったかなー、「凛の強さは凛がリアクションしてくれないからわかりにくい」みたいな話があって、実際俺も「設定上の強さ」としての五大元素使い(アベレージ・ワン)とかはしっかり認識していたつもりだったのだけれども……いや、「アイアス使えんの!?」とか、切り札の「巡る五つの星」だとか、それを巡ってのドリスとの戦闘の駆け引きだとか、エレシュキガルの補佐を受けた際のアドリブ力だとか……認識が足りていませんでしたねぇ。

 

そんな強さをはっきり見せたうえで……個人的にはもう少しリアクションを大き目に取ってほしかった、という側面はあるものの、「確かな経験と実力のある大物魔術師」として、魅力あるキャラクターの1人として、今回の聖杯戦争には欠かせないキーパーソンとなりました。遅めの登場だったから活躍に若干心配していたが、杞憂だったな!

 

リアクションもそれはそれで成長の証なのです。あれからも色々あったようだし、恐らくは「慣れた」のだと思われる。あれよ。読者さんが今更「この聖杯戦争は何かがおかしい……」みたいな事言われても( ´_ゝ`)フーンなリアクションするのと同じよ。

 

エルメロイ教室の面々はなんというか「成田良悟」っぽい集団というか、与えられた情報屋ややり取りに対し、ああだこうだとそれぞれの立場から色々な事をワイワイガヤガヤする……不良集団とかダラーズとか、そういう感じの集団として良い感じに描かれていました。恐らく「成田良悟のそういう集団」のなかで最もINTが高い……いや一概には言えないか。アイツら変な知識は沢山持っているからな。シャフトの「」とかはアリにするのか、とか色々あるし。

 

ティア・エスカルドス

君はレイドボスに為るのだろうか。

 

エルメロイ教室が来ているのでその対応に困りながら、とりあえず「グガランナ」を止めてくれて、そして真アーチャーに驚きながらエルメロイ教室に「危ないから帰り」と忠告してくれた人。

 

行動だけを見るのであれば善玉である。というか、本人の思考を考えても、ううん、まぁ……善玉で良いんじゃないですか?少なくとも倒すべき優先度はある程度後ろの方だろう。

 

その「製造目的」や「行動指針」が現行人類と合わない、というのはあるかもしれないが……うーん……かなり自重してくれているしなぁ。少なくとも「暇だから大蜘蛛を起こして世界滅ぼそう」とか言い出すヤツよりは全然マシよ。なんかFGOの方で大変なことになっているみたいですねぇ。俺は今から特番の偽アサシン召喚シーンが楽しみですよ。ニコニコのコメント有りで見たいな。

 

彼が「彼」に戻れるのか否か、というのは……本人は否定的ですが、個人的には「戻れる」と思います。彼に出来ないという事は、魔術では無理、ということになるのだろうから……「魔法」一歩手前の、聖杯……疑似的な第三魔までは行ける、との事なので、恐らくはそれを使うことになるのかな、と予想。

 

あとは彼が試したやり方だと、恐らく彼自身の事は考慮に入れてねーだろーし、そーすると「彼」はまー、それなら戻ってこねーだろーから、以降も以前同様「同居一度出てきちゃった以上何らかの形で出てくる頻度は増えるかも)」を選択肢に入れるなら、きっかけさえあれば戻って来るのでは、とも。

 

ただ、今後もエルメロイ教室の味方をし続ける……完全な善玉になる、のかはまだ分からないので、そこも合わせて今後の動向が気になりますね!

 

サジョウ・アヤカ

君はレイドボスになるのだろうか?

 

というわけで正体が判明、「三基魔力炉」!

 

なんだそれはって言うのであれば、アレよ。Fate/Zeroで「御客人にはケイネス・エルメロイの魔術工房をとっくりと堪能してもらおうではないか。フロアひとつ借り切っての完璧な工房だ。結界二十四層、魔力炉三器、猟犬がわりの悪霊・魍魎数十体、無数のトラップに、廊下の一部は異界化させている空間もある。(笑いながら)お互い存分に秘術を尽くしての競い合いができようというものだ。私が情けないという指摘、すぐにでも撤回してもらうよ」(Fate/Zero 6話より)ってケイネス先生がソラウさんにドヤ顔してた……その「魔力炉三器」よ。

 

まぁなんで魔力炉が人間の形をとっているんだとか細かい部分は恐らく次の巻になるのでしょうが、いずれにせよ「異常な魔力供給量」の正体はこれだったわけですネ。ケイネス先生はすげー強いよ!(そしてそんな強さをほとんど活かせない聖杯戦争に行っちゃったのがケチの付き始めだよ!)というのは今まで事あるごとに語られてきたと思いますが、そんなケイネス先生の「切り札」を支えている「魔力炉三器」は、そりゃあ当然、タダモノじゃあなかったわけである。霊墓アルビオンで発見されたとかなんとか。

 

……ケイネス先生、マジで聖杯戦争に全力BETしてたんだな……。そんな先生から最も重要ともいえる「英霊の触媒」を盗んで勝手に使ったやつがいるらしいぜ。許せねえな。

 

そんな彼女自身の話をするのであれば、今回でより一層強まったであろう、セイバーとの信頼関係だろうか。自分自身にどこまでも味方をするセイバーの「危うさ」を知り、改めて彼のマスターとしての「覚悟」を決め……た、その矢先にこれであるからなぁ。二人の関係……は、たぶんどうにも変わらないと思うのですが、まぁ今後どうなるかは誰にもわからず、楽しみです!

 

 

 

兵器が人間性を見せたら「兵器性」がより強くなる。

 

ならば人間だと思っていた「モノ」が人間性を見せたなら?

 

……個人的にはそんなところも楽しみにしていきたいところ。これは俺の感性の問題なので、本当に「個人的には」でしかなく、世界に俺だけの楽しみがあるのは良い事だと思います。

 

 

 

まぁ。もともとそんなに強く「人間」だと思っていたわけではないんだけども。

*1:敢えて言えば「バベルの塔」とかはちょっとうっかりだった?

「会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション」ー読書メモ

 

 

合間に「普通の呟き」が挟まれると一瞬混乱するのですよね。読書に集中しろ。それはそう。

 

それはそうではあるのだけれども、でも所詮趣味でやってる事ですし。面白くなってきたら言われなくとも集中する(そして呟きが少なくなる)ので、とやかく言われる筋合いはない。

 

今回読んだ本はこの「会話を哲学する」である。それでは早速読んでいこう。

 

 

 

呟きのノリだとあまりにも白々過ぎるかな。

 

話し手としても本心ではないし、周りもそれを承知のうえで、それでもその場では「話し手はこう考えている」という約束事をして話を進めることにする。そういうことって、日常的にもよくありますよね。長引いた会議を終わらせるために、そのひとの思想信条からしたら明らかに賛成していないはずの意見への賛意を述べるひとの言葉などは、こんなふうに理解されているはずです。

(会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション 27p)

 

まぁ実際よくある事ではあるのだけれども……あるのだけれども、さて会話の実技試験となったその現場においては、「そういう事もあるかもしれないし、そういう人もいるかもしれないが、でも貴方との会話においてそれをやらかした事っていうのは無いんですよ」とアピールしておくのが丸いよね、という話。

 

 

要するに、コミュニケーションは「この会話のなかではこういうことにしておきましょう」という側面を指します。 マニピュレーションは、コミュニケーションを通じて相手に影響を与えようとすることを指します。

(会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション 32P)

 

この「呟きに対する補足」は読了後にやっているのですが、読了後の印象としては……意識しすぎると確かにそれ以前に比べて多少ぎこちわるくなる、とは思います。一応俺個人の話としては現状外部からそのぎこちわるさを指摘されてはいないので、ほどほどにしておけば問題ないとも思うが。

 

……あるいは読む以前から一般の方に比べて……?

 

そんな人は居ないとは思いますが、いわゆる「コミュニケーション力増強・改善」みたいなものを目的にするなら、それはこの本を選ぶのは間違っているのかな、と。もっとポップな表紙のやつの方がいいんじゃねえかな。しらんけど。

 

「普通にやれてる人が意識した結果やれなくなる」とかもありそうだな。全然。

 

 

普通に考えると、責任なんて引き受けなければ引き受けないほど楽なはずです。でもここで佐条くんがコミュニケーションをおこなったなら、面倒なはずの責任を自分から進んで引き受けていることになります。それを放棄すれば「嘘つき」と呼ばれるかもしれないのに。
なぜわざわざそんなことをするのかというと、それは何よりも、「嘘つき」と言われることになるような振る舞いはしないという確信や決意の表明なのでしょう。またその約束事を受け入れることで草壁くんとのあいだに責任による結びつきを持つことが、責任を回避するよりも大事なのだという気持ちの表明にもなるはずです。

(会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション P71)

 

異種族レビュアーズにおける「悪魔」は種族特性として「約束・契約」フェチでしてね……。この特性が一般に理解されていないせいで「結婚したくない種族」のトップ層に食い込んでしまっているのです……。

 

これは多くの場合「プロポーズの言葉」に原因があるとされており、特に悪い(そして頻出する)パターンが「君を幸せにしてみせる」系のプロポーズで、これをやってしまうと「おう。じゃあ、しろ」と……あちらからの歩み寄り等一切無しの尽くされ待ち、その上で不満がある場合は文句ダラダラ状態になってしまうのだとか。

 

「2人で幸せな家庭を作ろう」系なら何も問題なく、幸せに暮らせる……というわけでもなく、この契約にはこの契約で罠が仕掛けられておるのですが、まぁそれは考えてみるなり、実際に読んでみるなりなんなりしてみると良いよ。

 

だから悪魔、「政治家」としては非常に適性が高いんですよ?少なくとも「公約」は絶対に守るし、「既に法律で禁止されている汚職」はルール違反なので絶対にやらないからな……。そんな悪魔の王、デスアビス様が最新刊で市長に当選なされました。おめでとうございます。

 

……なんか若干きな臭いけど、まぁ「悪用」はせんだろ多分……。デスアビス様は基本的に根が研究者気質のオタクだし、デミアさんも近くにおるし。

 

そんな悪魔の生態を「会話を約束と捉え、それを可能な限り遂行しようとする」文章で思い出しましたが、しかし人間なら当たり前のことよね。悪魔はこの価値観が、人間よりさらに強く、「一般性癖」という形で共有されているだけですね。

 

 

いわゆる「異種族押しかけ系ラブコメ」の開祖だとは知っている。

 

名作には触れていかねばならない。最近強くそう思う。「インターネット」で中途半端に摂取してしまっている。

 

この本の帯で紹介されている「オチ」についても、はるか以前のどこかでみた事があったからなぁ……。

 

 

これはちょっと間違えてますね。訂正しておこう。東京都のマークが猥褻だとキレていたのは「カイケツ小池さん」だ。小池さんが東京都のマークが猥褻だとキレていたのだ。小池さんが!

 

顔同じだからごっちゃになっちゃったよ。「小池さん」はあの……原作ドラえもんにも出てきた……いつも家でラーメン食べてる人です。こういうのは「スターシステム」というのだったかな。

 

 

それよりも重要なのはおそらく、句楽がこの状況でもなお会社に通って給料を得たり、片山と同僚としての会話を楽しもうとしたりしているところにあるのでしょう。 旬楽からしたら、ウルトラスーパーデラックスマンとして独裁的な権力と武力を保持し、世の中を思うがままにコントロールしながら、それと同時に一市民としての平穏な暮らしと友人関係を楽しみ続けたかったのではないでしょうか?


(中略)


もちろん、実際には人々の振る舞いはウルトラスーパーデラックスマンへの恐怖に支配されたものになっているのですね。句楽は自分の前ではあくまでただ句楽という一市民と話しているのだという態度を強制している。ところが、自分の思う通りにならないときには暴れるわけで、一種のダブルバインドになっています。

(会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション P81‐82)

 

うーん……ちょっと「強大な力を持つヒーローが正体を隠す」事について、悪く考えすぎているような気がしないでもないデスね。このあたりは色々長い歴史の中で繰り返されてきた議論ではあるんですが……ウルトラマンR/B……善良な一般市民の兄弟がある日「ウルトラマン(ロッソ/ブル)」になるお話の序盤……1話で返信した後だったから2話だったかな?

 

「俺たちが正体をさらしたら、負けが許されなくなるぞ」みたいなやりとりがあって……ウルトラスーパーデラックスマンとは違い、やっている事がしっかり一般的な「善行」にカウントされるウルトラマンであったとしても、そこは懸念点になるのですよ、と「正体バレを心配すること」とその延長線上で「既に正体を知ってしまった人に『あんまり公にしないでね』する事」自体は悪ではないと、そこは俺の考えを示しておきたいところ。

 

脅迫とかが付随するとまた話が違うし、ウルトラスーパーデラックスマンはこの三十歩くらい前からもうアウトだけれども。

 

「怪獣との戦闘を無条件で『善行』としていいのか」という点については今回は置いときます。不満ならコスモス見たり、小説版ウルトラマン読んだりして下さい。歴史の長いシリーズは、すぐにとれるあげ足などとうの昔に通過済みよ。その上で今も色々やっているのが、特撮モノの偉いところだ。

 

……大抵はロクでもねえ事になりますから。人質とか個人情報流出とか……。あんまり詳しくないけどアメコミとかでもそうらしいので、国民性というわけでもないのだろうな、と思います。

 

正直「負けが許されなくなる」のは全然マシな方でしてねぇ。仮に勝ったとしても「俺の家は壊れたんだけど」とか「もっと早く上手く倒せたんじゃねえの」とか色々言われたり……基本的に正体は隠すにこしたことはない。

 

メビウス以降一般視聴者でさえも「街の被害」に五月蝿くなってしまった側面というのはあるのだ……個人的にはどうかと思いますけれども。

 

確かにアイハラさんが「バカヤロー!」したのは事実ですが、彼にも色々と背景があり、また発言の直後に自分の無力さを嘆いたりしているがミソであって、我々が次元の違う安全圏で同じ事を言うのは、まぁネタ以上のものにはならないよね。

 

 

オリエント急行殺人事件、が例に出ていた事について。

 

偉そうな事を言う権利は読んでいない俺にはないし、そんな権利はきっと誰にもないんですが、ちゃんと読めばネタバレを食らった後でもちゃんと面白いんだろうな、とは思います。名作とはそういうものよ。

 

ミステリにおける「推理」というものがなぜ必要なのかというと、結局のところ「登場人物」を説得するためであって(もちろん本質的には『読者』を説得するためなのだけどメタな話は置いといて)正解……よりも説得に適したものがあるのなら、そりゃあそっちが「正解」とされる場合もあるよなぁ、というお話。

 

こう書いてしまうと「虚構推理」っぽさもありますが。アニメ2期1話、オリジナルでしたね。設定解説話と割り切れば、まぁ……あの台詞量でダメな人はどうせ「スリーピング・マーダー」とかダメだし。雪女のCV、悠木碧。良かったですね。説明とかカットしないのであれば、いきなり1話から雪女でも良かった気はするが。

 

しっかしOPから見る感じ、六花さんが激辛ラーメンを食べる話はやらないんだろうか。好きなんだけどなぁ。というか六花さんが好きなんだけどなぁ。あの人、あの見た目でめちゃくちゃお茶目な人ですからね、ズルいよね。

 

あとは戯言シリーズサイコロジカルか。反転しておかねばな。これ系は事前に言っちゃうとねー……「叙述トリックを薦める難しさ」ですか。

 

この本風に言うのであれば「これは叙述トリックのお薦めで」と話し始めた段階で「今は叙述トリックについての話をしている」という約束が共有され、それが叙述トリックの性質と非常に相性が悪く……となるのだろうな。解決策は、ミステリ板の皆さんが長年話し合っても出ていない。

 

出ていないのかな?迂闊に調べられねーんですよね、コレ……。俺はネタバレそんなに気にしない人ではあるからまだマシだが。踏まないようには気をつけるが踏んじゃったら「そう言うものなのか」で感心する。

 

 

ここで日を区切ったわけですね。

 

この呟きをした時に考えていたのは、例えばチェンソーマンのパワーちゃんの発言をこの本を使って読み解いてみよう、というものでしたか。

 

……難しいな!

 

もしかすると実在する病としての「虚言癖」の理解と配慮が求められる内容になるかもしれない。個人がブログでそれらを踏まえた内容でいけるかどうか……無理だろう。

 

それでも敢えてちょっと考えてみるなら、彼女は「極めて自分にのみ都合のいい約束がさも以前から締結されていたように振る舞い、また実際本心からその様に考えている」「その上で不利になった場合その約束を反故にする(より正確に言えば『え……。そんな約束していませんけど……』と無かった事になる)事に躊躇いがない」という点で、なんというか、シンプルに最悪だなと思いました。

 

……たまに「居る」しね……。

 

 

この辺りについて考えてみたのだけれど、重要なのは「何について書いているか」だなと思う。普通の淡々とした論文等に無条件で面白さを感じるわけではない……と断言できるほど論文を読み込んでいるわけではないか。

 

要するに「普通それについて淡々とは書かないだろう」という感覚が「妙な面白さ」につながっているので、社会問題とかを淡々ととかれても面白くはない(実際面白がる場面ではないし……interestingなら許容されるか?)のだが、「それを語る際に俺だったら感情的になるな、という漫画」だと、面白くなる、という事なのだろう。

 

アンジャッシュ……だとコンビ芸人の方を指しているような感じになるか。「アンジャッシュのコントにおいてよく見られるような事実や認識の食い違い」ですね。コレも創作上で発生する分に関しては好みなんだ。くだらないものから深刻なものまでパターンは様々だが、大体どれでも良い。

 

ネウロは面白いですからね。「ネウロの面白さ」をアピールするのが本書の目的ではないので、そこに対しての記述は淡々としているが。

 

(実のところ、こうした力関係ゆえのネウロの理不尽さ と、それを超えて次第に築かれていくふたりの相棒としての信頼関係が、この漫画の軸になっていきます)

(会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション P182)

 

……わかってんじゃねえか……(後方腕組)。

 

ヒステリア回のオチとか、真面目にコントのオチとして秀逸だと思うんですよね。アレを「コントのオチ」としてしまうと、前振りに当たる部分で無差別爆破テロが起こるのが難点だが。血族以外での被害だとトップクラスか?

 

 

ONE PIECEにはさまざまな「印象的な会話」が登場しますが、本書においてどの場面が引用されていたかと言えば、コレはアレです。

 

Dr.くれはが「ちゃんと治療終わってから退院するんだよ!」する流れのシーンよ。間違いなく名シーンであるな。湿っぽいのは苦手でね。

 

「Dr.くれはのしたい事(一味に『させたい事』)」と「Dr.くれはの医者としての職業意識」の鬩ぎ合いについて主として描かれており、どういう意図かなんとなく理解していた自分も、改めて詳しく説明されると唸らされる。

 

「改めて詳しく説明される」のにも弱い。以前アイネクライネナハトムジークについて他の人が書いた感想を読んだ際にも似た感覚を覚えた。その説明が解釈違いであっても、まぁそれはそれで……「キーッ!」となった事は、現状無い。

 

未来永劫無い、とは言えない。とても。

 

いわゆる「燃えシチュ」ではありますが、現実でこのような場面に出くわした際、どのように対処すべきだろうか。「やれ」と言われていない以上「やった」責任は俺に来るんでしょう……?

 

…………じゃあ、ねぇ……?まぁ、報酬と待遇次第だな。ケースバイケースである。万象一切。

 

 

コレは「鋼の錬金術師」が例示されていたやつですね。マスタング大佐にアームストロング中将が「制限されている中で情報を提供する」シーンだ。「軍がヤバい」これ系のシーンの最高傑作だと思っているのだが……端的過ぎるのが難点であるな。

 

実際、軍の内部で軍の状況を説明する場合「ヤバい」としか言えない状況なのであるなぁ……。端的過ぎたせいで真相に気づくのにやや時間が掛かってしまったが……。

 

 

そんなふたりが冒険中に出くわす組織のひとつに、秘密結社〈ロゴス・クラブ〉というものがあります。ロゴス・クラブでは、会員同士がありとあらゆるレトリックを駆使しながら討論によるバトルをおこなっています。そして負けると指を失い、勝てばより高い地位につけるようになっています。

(会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション P266)

 

ローラン・ビネ、「言語の七番目の機能」に登場。乱暴なのかインテリなのかよくわからん連中であるな。おそらく答えは「両方」か。暴と謀を織り交ぜてこその秘密結社よ……。

 

設定は面白そうなんですが、引用されている討論のシーン、残念ながら全然何言ってんのかわかんねえや。一部だけ抜き出しているから、というのももちろんあるだろうが……討論のテーマに対しあまりにも門外漢が過ぎる、というのもあるだろうが……単純に俺のINTが足りない疑惑も。

 

本書におけるこの場面の説明は「比喩」の効能なんですが、コレも他の部分に比べて若干わかりにくさがあり……後で読み直してみるか。

 

 

というわけで読み終わりました。

 

様々な会話のパターンについて幅広く触れられ、少なくともフィクションの会話を詳しく解釈してみる、という試みの助けには非常になるのでは、と思います。

 

実生活に活かそうとすると、上にも書いた通り慣れていないうちはぎこちわるくなるだろうからアレだけども……あるいは「こういった視点で会話をしている」人もいる、という点だけでも意識しておいた方がいいか。

 

それだけ意識しておいて、会話としては普段通りに……終わってから「どういった約束事が形成されたのか」「今の会話は何をしよう/させようとしていたのか(マニピュレーション)」を適宜確認する。そういう使い方になるかなと思います。敢えて使おうとするならば。

 

……実際「会話」にそうした側面があり、意識的にせよ無意識にせよそれを活用している……のが真だとしても、無意識にやっている人間が意識するとかなり変なことになる気がする。

 

後は「悪質なマニピュレーション」についてであるか。本書の最後で実例を挙げて取り上げられている……。

 

そうですねぇ……。

 

……TCGにおいて「あー、コレ会社側も『3年以内には規制する』くらいの覚悟で刷っているなー……」というのがうっすら透けて見えて、実際プレイヤーの間でもクソほど嫌われていて、禁止化への署名まで集められているレベルのクソ強汎用札を、無制限に使うべきか否か、みたいな話……になるのか。

 

ルールでは規制されていない(少なくとも現状)し、1枚2枚なら使う人自体もかなり多いのだ……。……ふむ……。

 

ええ!もちろん自重すべきですね!

 

「ルールとマナーを守って楽しくデュエル」……ルールとマナーが分たれている以上、その2つは別物であり、「ルールがそれを許している」では踏み越えてはならないラインというものが存在します!

 

少なくとも私個人が身内のカジュアルな環境で使うデッキでは、ある程度自重すると確約いたしますよ!

 

……そんな風に考えてくれる人が増えると、世界が少し平和になるか。非ガチ勢にはありがたい。まぁ、「悪質さ」は認識しておく必要があるな。使われた場合の対策にもなるし。

 

 

 

 

 

少しだけ真面目に考えると、少なくとも「例示されている」悪質なマニピュレーションについては、発生するのがその変化「だけ」ならば門外漢の俺にも対処法は幾つか(少ないけど)思いつき、また現状その対処法に反対している勢力も「変化後」には少なくとも現状と同じ形で反対する事は出来なくなっているだろうから、マニピュレーションしようとしている側に対しては、「その変化がもし仮に起こったとしても貴方が想定しているような事にはなるとは限らない」と示した後に、「そしてそのような変化は起こらない」と、ありえない仮定を持ち出した事に対する非誠実さを責めれば「マニピュレーション」という概念を持ち出さずとも対処できるんじゃねえかな、とは思った。

 

相手が自分を操作させようとしている、というのは、常に考慮自体はしておくにしても、そうに違いないと決めつけるのは危険かと。特に例示の質問については、困った事に悪意ゼロでやる奴もまぁいるだろうし。困りますね。「チ。」のコルベさんの悪意がゼロなのくらい困る。

 

あのシーンめちゃくちゃネットが荒れそうで楽しみと不安が半々くらいなんですよね。若干不安の方が強いか。