節足雑踏イケタライク

日々思った事や、書籍・映画・その他の感想なんかを呟きます。あまりマジメではございません。

#成田作品ワンドロ 「BACCANO!」テンションが高くて台詞の長い男、3選

 

このブログを始めてもうすぐ3年だ。

 

当初の予定とはかなり離れた内容になってしまったが、それでもいくつかは「ブログをやっていてよかった」と思うことがある。その最たる例が、自分の好みのものについて考え、また言語化することがある程度できるようになった、という事だ。無論、例えば評論家みたいな形で生計を立てている人に比べればまだまだだけれども、幾つかの自分の好みを言語化し、表現する、というのは、誰に見られるわけでなくてもそれなりに面白い。

 

案外、いややはりというべきか、自分を掴むカギはそこにある……のかもしれません。このセリフいった人は下手に言語化しない方がいいと思うけれども。重すぎますわ!

 

さて、そんな風にブログを始め、いくつか見つけてきた言語化された好み……その中の一つが「テンションが高くて台詞の長い男」である。

 

zattomushi.hatenablog.com

 

断っておくが、これを言語化した際に例として挙げられたのが皆男性だっただけで、女でもテンションが高くて台詞が長い人は好き(になる確率がそうでない場合に比べて有意に上昇する)よ。実際FGOで一番好きな女性サーヴァントはキルケーだよ。台詞が長いっていうか、キャプションが長い。……でも今は全体的に文量がインフレ傾向にあるので、そうでもないのかな?

 

成田作品の中だとパッと思いつくのは橋のケリーさんだろうか。うん、やっぱり好きですね。最も彼女を指して無遠慮に「テンションが高い」というのはやや誤解を生む可能性があるが……この辺はまた【橋】について書くときにやるかもしれない。

 

この属性が好みになった原因は、恐らく成田良悟の作品にあるとみている。そんな成田良悟のデビュー作、「BACCANO!」から、「テンションが高くて台詞の長い男」を3人ほど選んで、彼らについてああだこうだと語っていく。1人あたり20分で、計3回で1時間!これぞ我が成田作品ワンドロよ!

 

あ、昨年開催されたワンドロの記事……テーマ「笑顔」はこちらです。

zattomushi.hatenablog.com

 

語るうえでネタバレになるキャラもいますので、ご注意ください。ネタバレ注意!

 

 

 

「スイッチが入ったんだよ」
(中略)
「ただ、それだけなのさ」
(中略)
「知ってるか? 人間にはスイッチがあるんだ。人を殺せるか、否か。それを決めるだけの単純なスイッチだ。それを入れるとよぉ······ 誰でも、殺せるんだ。 誰でも誰かを殺せるんだ。そのスイッチを入れられるか、入れられないか……たったそれだけの事で人を殺せるかどうかが決まるんだぞ?信じられるか?」
(中略)
「パチリ」
(中略)
「パチリ、パチリ、パチ、パチ、パチ、パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ、しまいにゃ拍手みたいにさぁ。 止まる事なくスイッチが入り続けるわけだ。何個も何十個も何百個も何千個も何万個も何十万個もある俺の中のスイッチが!つまりは殺すしかないだろう、そうだろう」
(中略)
「じゃ、まあ、そういうわけで今入れた何百万個のスイッチの為に死んでくれ。大丈夫だ、死ぬのは一回でいいから」
バッカーノ! 1934 獄中編 Alice In Jails P339-340)

 

ラッド・ルッソ

 

 

ギャング「ルッソ・ファミリー」、頭領プラチド・ルッソの甥にあたる人物。

 

アニメ版、CV・藤原啓治の演技が最高でしてねぇ……。もう我々はあの声を聴くことはできないのか。まだまだ演じてほしいダンディなオジさまは沢山いたのだが……残念なことであるな。

 

初登場の頃からイカれた兄さんではあった(白服の理由の下り、良いよね)のだが、色々あって文字通りの「鉄腕」を手に入れてからはその凶暴性により磨きがかかった印象。

 

一見してノリの良い兄ちゃん的な要素も見え隠れするけれど、その「地雷」を踏んだものには一切の躊躇なく「暴」を振るう……そんな危ないお兄さんです。怖いね!

 

さて彼の地雷は「自分が次の瞬間死ぬと思っていない奴」。この地雷さえ踏まなければ安心だ……と思ってしまうと、つまり死ぬと思っていない奴になってしまうので、全然安心はできません。まぁちょっとは事故が起こるかもしれないと思っておけ。真面目な話彼の「友達」とかは全然また別の話になってくるし、あと流れ弾とかは全然飛んでくるし。

 

その「特攻対象」もあって、いろんな意味で「不死」がテーマの作品に出てきちゃいけない……というべきか、むしろ「だからこそ出るべき」というべきか。命の価値を人とは違った視点で解釈し、またその解釈を基に大胆な行動を起こし、つまりは誰かに殴りかかり、物語を大きく動かしていく。

 

恋人のルーアさんとか、昔何かあったっぽい幼馴染のレイラさん(結局レイラさんと何があったのかって書かれてないですよね?明かされる日は来るのだろうか……?)とか……同性の友人だったらデューンだったりビッキーだったりフーだったり、割と交友関係が広いリア充さんでもある。ただし、彼ら共通の趣味がまぁ一言で言えば「殺人」なので(厳密にいえばフーさんはまた違うか)、総じてろくでもないのですが。

 

暴れるだけの人、というわけでもない。

 

相手の力量をしっかり見ることもできるし、騒動の原因や状況を考察する力もなかなかのモノ……相手の軽口に軽口を返す際には、「ピーターパン」の時計ワニについて持論を展開してみたりする、なかなかに頭が良さげな部分もあるのだけれど、それはそれとして一番楽しそうなのは暴れている時なので、まぁあんまり近づかねえほうが良いですね。

 

メインの武器はボクシングというか、格闘技……になるのだろうか。「プロボクサーよりは全然弱い」のシーンが印象に残っているだけか?一応銃やナイフなど、武器もそれなり以上には使えるはず。全体でも上位の強さ……ではあるのだろうが、最上位(クレアとか、もっといえばロニーとか)には敵わない。

 

……まさかB+概念のきっかけも貴方なのか……?

 

彼女のルーアさんも良いキャラしてるんですよね。なんというか、ヤバい奴、ラッドの恋人がヤバくないわけないだろ、というか……「ラッドの恋人」になれるのはルーアさんだけ、という感があって、この二人の関係は誰にも立ち入る事はできないのでしょうな。

 

誰だ破れ鍋に綴蓋って言ったやつ。

 

 

 

「悲しい……悲しい話をしよう」

(中略)

「今日は実にいい……注文した牛乳も適度に冷えていて、俺の口と喉と胃を白い幕で包んでくれる……そう、まるで、降り積もる雪のように、だ」

(中略)

「いい夜……そう、いい夜なのにどうして悲しい話をしなくてはならない? それが何よりも悲しくて仕方がない……。 ならば黙れと言われそうだが……悲しい事にそれはできない。俺はこの悲しみを自分の内に止めておくことができないからだ。だからせめて、他者にこの悲しみを打ち明けて『俺の悲しみを知ってくれている仲間がいる』という気分になりたい。それは弱い弱い弱い人間としては極自然な行為だろう……」

(中略)

「そう……人間はどうしようもなく弱い。たとえ神と同じ万能の力を得た所で、心の悲しみは止められない……。ならばどうしろと? 俺達は……俺達は……自ら流した涙で溺れて死ぬしかないのか……」

(中略、酔ったチンピラに絡まれる)

(中略、チンピラの足首の関節を外しながら)

「悲しみに……悲しみに悲しみを上塗りされた俺はどうすればいい?こんないい夜に、全てをぶち壊す酔っぱらいのカツアゲ野郎に絡まれるという事実を!ああ、『いい夜』というのはたったこれだけで壊れる程に脆いのか……どうなんだ?待て待て、そもそも夜にいいも悪いもない、それを決めるのは所詮弱い人間の感性なんだから弱くて当然……ああ……なんてこった……俺は……俺が弱いから素敵な夜まで弱くなったッ!つまり俺は!夜を汚してしまった!畜生……畜生畜生畜生畜生ううううあああああああああああぁぁぁぁぁぁあ」

(中略、まぁ色々あって)

「そうか……それは楽しい!今日は最高に機嫌がいいから、楽しい話をしよう!」

(中略)

「それにしても、たかが大男の関節を一人分解体するだけでこんなにも晴れやかな気持ちになるとは!俺は確信した!人間は強い!無限に湧き上がる悲しみの海を泳ぎ切る力を持っている。 乗り越える船を造る知恵と勇気を持っている……そう思わないか?」

バッカーノ! 1932-Summer  man in the killer P69‐75)

 

グラハム・スペクター

 

 

町のチンピラ集団のまとめ役。青いツナギが特徴の解体工。ラッドの舎弟にあたります。

 

なんといってもその「ハイテンションのままテンションの方向だけが切り替わる」という特徴……ローな時はどこまでもローに……そしてハイになったらため込んでいたものを一気に放出するかの如く!どこまでもマイペースに長台詞をぶちまける!

 

なんだったか、どこかの二次創作する人だったかなが言っていたし、俺も実際その通りだなと思うんですが、「成田良悟の作品の中で、最も『台詞のエミュレート』が難しい人」。例えば台詞の文面が難しいってだけなら、「妖怪」の『詩人』さんとかもいますけれども、『詩人』さんは台詞の内容自体は割とまっとうというか……『この状況でどういう事を言いたいか』は、割と常識で判断できるので、そこから文面を考えていけばいいのですが……コイツ何を言い出すかわからないんだよな!

 

アニメでは杉田さんが怪演をしてましたね。台詞の言い回しがなんというか、完全に本人でしかなかった。もしまた演じていただけるのであれば、ぜひぜひ続投していただきたい……!

 

キャラクター的な事を言うのであれば、ラッドとの対比。「ラッドは生命を大切なモノだと認識していて、そのうえで殺す」けれども「グラハムは生命を『形がなくて壊し甲斐がない』から敢えて奪おうとは思わない」みたいな対比が、構造として好きでした。

 

いや、こう書くと「グラハムは人を殺さない」みたいになっちゃうからそれもちょっと違うんだよな、とはなりますが。上でも普通にチンピラの全身の関節外されているし……敢えて殺そうとはしないけれども、一刻も早く病院に行った方がいい状態にして放置、とかは全然やるので……あまり近寄らない方が良いですね。

 

解体工としての腕前は一級品なので、一応関節とかも「嵌めやすいように」外しているとは思うんだが……。まぁ痛いのは間違いないですから。

 

彼がまとめるチンピラ集団のメンバー……特にシャフトとの関係や、ラッドとの関係……個人的な趣味で言うと何かと縁のある「妖怪」のシックル姐さんとの絡みも、どれも台詞が長くて楽しめる良いキャラです。

 

グラハムのお姉さんが本編に出る日は果たして来るのだろうか……。初恋の人なんでしたっけ?

 

あと、これはどうでもいい偶然なのだけれど。

 

グラハムの長台詞を探しながら読み返していたんですが……「1932-Summer  man in the killer」で良い感じのシーンを見つけ……(解りやすく暴力的なシーン+テンションが『切り替わる』シーン)……コピペ作業しながらもうちょっと読み進めていたら「うーん……テスカトリポカが……テスカトリポカが生贄を……」(バッカーノ! 1932-Summer  man in the killer P108)とか言い出しましてね。

 

「ははは。セレンディピティ

 

と思い、ふとFGOのガチャを回したら……来ちゃった。南米をやっていない俺でもクソエイムだと知っているお兄さんが。

 

まぁ、なんというか……ありがとうございます……?

 

 

「この世界は俺のものだ。ひょっとしたら、 この世界ってのは俺が見てる長い長い夢の中じゃないのかとさえ思ってる。だってそうだろ?ひょっとしたらお前らは幻かもしれないし、俺にはお前が本当に存在しているのか証明が出来ない。つまり、この世界は俺中心って事だと思ったわけだ。俺が「できる」と信じた事は絶対に出来るし、多分俺が寿命で死にそうな時、不老不死の薬とかが出来るに違いないさ。 もしくは今見てる夢から覚めて、また別の夢に行くんだろう。つまり、俺の存在は永遠ってわけだ」
(中略)
「俺は想像力が乏しくてな。自分が死んだ後の事が全く想像できない。考えられないんだよ。『無』って奴が全く想像できないんだ。よく、『死んだ後は永遠の闇だ』とか言うけどよ。 無って事はその闇すらも感じられなくなるわけだろ? それが想像できない。自分が無くなるってのが想像できねえんだよ。だから、あれだ。つまりこの世界に完全な『無』なんてもんは存在しねえ。でも、俺以外の奴は死んだら消えちまう。その結論から逆算してって、こういう結論に達したわけだが。つまり、この世でなくならないのは俺だけ。だから、この世は俺のものだ。他の奴らは、俺の見てる夢のようなものに過ぎないってな」
(中略)
「一言で言うとあれだ、俺が出来ると信じた事に限り、俺に不可能は無いって事だ」

バッカーノ!1931: 特急編 P155-156)

 

クレア・スタンフィールド

 

 

……今気が付いたんですけれども……「1931 特急編」の時点で「クレアが『誰』なのか」って、割と重要なネタバレでしたね……?割と叙述とか、そういうのしっかり使う奴……スリード役がレイチェルでしたっけ。

 

……今更ながらにあれですが、ネタバレ注意です!一応上で注意はしているはずだが、念のためここでもしておこう!

 

 

 

そんなわけでやってきました。世界の中心、クレアさん。ワールドイズマイン!誰が呼んだか「世界最強の中二病」。個人的にはあんまりピンとこない呼び名ですが。中二病で「自分を世界の中心」だと思えるヤツ、ほんの一握りじゃない?まぁクレアさんが「ほんの一握り」だというのには同意ですが。

 

一応アニメのOPにも出ている彼が、「目を覚ます」流れとかめちゃくちゃ好みなので……ぜひとも実際読んでいただきたいところではあるのだが。まぁネタバレ注意もしたので書いちゃうと、「車掌」ですね。「最初にテロリストの餌食になってしまうモブ」……その正体こそが作中最強格の殺し屋「葡萄酒(ヴィーノ)」だったのだ!

 

「殺害現場にめちゃくちゃ血が飛び散るから」葡萄酒なんて渾名になってしまった彼は、まぁ散々にやらかすのである。なにせ今回の舞台は列車だからな……ほら、こう……腕とか脚とかを線路のすぐ近くに持っていけば……いい感じにダメージを与えられるっていうかなんていうか。これを葡萄酒は何回もやる。なんなら後日、あんまり関係ない情報屋にもちょっとやる。

 

あんまり近寄らない方が良いですね。

 

……あれ、成田作品のキャラもしかして、「安心して近づける」キャラを探した方が早いか……?薄々そんな気はしていたのだけれど。

 

さてそんな凄腕の殺し屋、クレア・スタンフィールドが、自らの仕事に誇りとかそういうものを持っているのかといえば、これは全然持っていない。悲しくなるほど、笑っちまうほどに持っていない。金をもらって人を殺す、なんてのは、この世でぶっちぎりで最底辺の仕事だと……彼は笑ってそういうのだった。

 

この後の「彼」の行動とか、台詞とかも合わせてあのシーン好きなんだけど……なんか今探したら手元にないぞ……!即興で書くとこういうときに困りますね。少なくとも整理は書く前にしておくべきだったか……!

 

今後の反省材料としておこう。

 

あとは、努力か。彼は自らの技術や身体能力を、努力によって手に入れたものだとしているし……実際、それはその通りなのだろうと思われる。サーカスで色々修行したそうだけれども……どうせただのサーカスではないだろう。団員の中に、たぶん吸血鬼がいます。玉虫色のドゥーさんが。

 

作中まちがいなく最強格の彼が、自らの仕事にこんな態度だったり、あとは天才型でなく努力家だったり……嫁さんLOVEだったりするところとか、間違いなく好きでしたね。

 

2000年代でも全然元気だからなこの人……。

 

 

 

……こんなところか。……こんなところかもクソも無いんですけどね、この「締め」の文章は事前準備としてキャラクターについての本文を書く前に書いてるから……うまくかけているだろうか。書けていれば良いのですが。

 

この3人だけではなく、まだまだ魅力的なキャラクターが「BACCANO!」には多数登場する。俺の好みの一例を紹介するのであれば……まぁそれは事前準備でやった記事をご覧ください。落ち着いて考えたらまだまだ全然いるけどね。

 

zattomushi.hatenablog.com

 

不死の酒を巡る馬鹿騒ぎ。先日新しくコミカライズも発表されました。何やら今後も動きはあるようで……まだまだ目が離せませんね!

 

そして何より!

 

成田先生!
20周年
おめでとうございます!

喝采してくれ、初めてやって初めて出来た(HTMLタグによる文面の中央揃え)。

笑顔の記事の時変に改行されちゃって不格好だったからね。

馬鹿騒ぎの下準備あるいは前夜祭(成田作品ワンドロ準備)

 

来たる2/5に、成田良悟20周年記念ワンドロ第2回があるそうです。テーマは「BACCANO!」。成田良悟のデビュー作、不死の酒を巡る馬鹿騒ぎだ。

 

というわけでそれの準備をしつつ、記事全体の方向性をしっかり見定めながら、今回「書けなかった」事をメモ的に溜めておきたいと思う。

 

実は第1回の時も途中まではやっていたのですが、下書きにしても中途半端なものになってしまったので、今回は公開することを前提に、ある程度綺麗な形で残しておこう。今読み返したら自分でも何を書いてるのかわからなかった。学生時代の失敗をいつになっても繰り返す。

 

第1回、テーマ「笑顔」の本文はこちらです。

 

zattomushi.hatenablog.com

 

大前提

まずワンドロ企画であるので、1時間で書き上げることを大前提とし、今回はあくまで「事前準備」であることを留意する。ちなみにルール上は「事前制作」まで実は認められているのだが、まぁせっかくのお祭りなので、本文についてはできるだけ即興で書いてみようと思う。

 

第一回の記事同様、見出し3つの「20分×3」で1時間、というのが区切り良いかなと思う。

 

3つの見出しを何にするか。今回の「事前準備」ではそれを決めておきたい。

 

小前提

3つの見出しは1つのテーマによって共通したものがまとめやすくて良いと思う。難しい話ではない。要するに第一回の記事が「笑顔」というテーマでまとまっていたのと同様に、「BACCANO!」以外にも何かもう一つ軸が欲しいよね、という話である。

 

少し考えて「作品」「キャラクター」「作品自体の魅力」という3本の軸が出来上がった。それぞれについて見ていく。

 

「作品」は簡単に言えば「何巻良いよね」という軸だ。BACCANO!ならば○○年、という話になるだろうか。……ただこれには少し問題がある。趣味で選ぶと1931年、大陸横断列車フライング・プッシーフットで起こった事件と1932年、連続殺人鬼アイスピックトンプソンに纏わる狂気の真実、そして1931年、列車での騒動と同時期に発生した誘拐騒動の話になるのだが、あまりにも1931-1932年にまとまり過ぎている。端的に言って「何巻の話なのかわかりにくい」。

 

あと結局その作品についてああだこうだ言うのであればどうせ登場する「キャラクター」なり「作品自体の魅力」なりについても触れることになるだろうから、正直独立した軸として運用できているかと問われればそれもまた微妙であった。

 

「キャラクター」は簡単に言えば「誰々良いよね」という軸だ。魅力的なキャラクターには事欠かない。敢えて難点を挙げるなら、その中から3人選ぶのに少々難儀するだろうか。贅沢な悩みである。

 

「(作品自体の)魅力」を簡単に言うのは難しい。それでも言葉にするのなら、「BACCANO!という作品は、『こういう所』が良いんだ!」という感じになるだろうか。

 

それをやるなら1時間の即興じゃなくてちゃんと書きてぇし、書けねぇし。「キャラクター・シリーズ全巻の背景に在るもの」を言語化すると(できないけれど)たぶん成田作品全体の「哲学」みたいな話になるぞ。

 

そして再三いうけれど、俺にそんなもん書けねえぞ。

 

はい、大人しくキャラクターにしましょうね。

 

誰にする?

 

……かはこのブログをやっていく内に発見した「好み」により決定した。

 

ちょっと趣味に走り過ぎている感もあるが、まぁ個人ブログで趣味に走らなかったらどこで趣味に走るんですか、というお話である。

 

以下に決定するまでに通った「道筋」を、簡単にではあるが記録しておく。

 

我知らず幸福を撒き散らす強盗カップル。「作品の顔」たる存在だと個人的には思っているトリックスター。間違いなく「好き」ではあるのだが、活躍の幅が広すぎる。20分で書くのが少々難しい。結局物語上でどういう活躍をしたのか、については俺が把握しきれていない部分もあるだろうし。

 

  • フィーロ・プロシェンツォ

「主役っぽい」人。いやまぁ実際主役ですよ。華がある、のは大変に重要なことだ。それだけにアニメ版のタイトル、「凶弾に倒れる」以外でももう1枠どうにかならなかったのか、とは少し思う。活躍の幅が広すぎる、のもそうではあるし、あと「自身も気づいていない事」が確定する形で明らかになってからの方が書きやすそう。現段階で書くのも一興ではあるが。

 

  • ジャグジー・スプロット

泣いて怯えて蛮勇を奮う。顔面に剣の入れ墨を入れた不良集団リーダー。ただしめちゃくちゃ弱気で泣き虫だ。成田作品の「ヤバそうな見た目で実はそこまでヤバくない……と思わせておいてやっぱりヤバい」枠の開祖だと思っている。この枠について語るのは、Baccano!という作品から少しはみ出てしまうか。池袋の首無しライダーとかが入る。一番ヤバい見た目をしているが、けれども上位の常識人、その上でやっぱり人外なのよ。

 

  • レイチェル

見た目趣味枠。真面目な話「線路の影をなぞる者」への説得とか、けじめをつけるシーンとか、名シーンはかなり多い。あとはクールな彼女が「禁句」……「最も恐れている言葉」を言われてものすごい速さで逃げていくシーンとかも良い。ただ語っていく間に「癖」が少し強く出過ぎる可能性がある。

 

  • チェスワフ・メイエル

合法が過ぎるショタ。君に対して「癖」を出すとどこぞの前髪さんみたいになるからこれも避けておく方が無難だろうか。2001で全身を焼かれて「決意」をするシーンとか好きなんですけどね。あれがあっての2002だからこそより引き立つのだ……。

 

人間のクズ。違うんよ。俺が彼にヘイトを抱いているとかではなくて、公式の人物紹介における紹介文がそのまま『人間のクズ』なんよ。成田作品における「お前ただのやられ役じゃなくて再登場するの!?」枠の開祖か。泉井とかあの人*1とかが入る。そしてコイツの魅力を説明する際に「でも実はクズなだけじゃなくて」みたいな事を言いたくないので、あんまり書きたくない。美徳はあるにはあるし、キャラクターとしては好きなのだが、それはそれとしてお前の紹介文はその5文字が良いよ。

 

  • チック・ジェファーソン

拷問師。好きなキャラなんですよ。こう、一見すると頭がそんなに良くなさそうで軽んじられているけれども、しかし実際は色々考えているし、何より「痛み」についての哲学だったり、拷問師という仕事に対する誠意だったり、そういうものをしっかり持っていて……それこそ、ダラスを脅迫するシーンの「最悪さ」とかも良いですよね。あと彼の過去とか、「弟」周りとかも、かなり好きな流れ。

 

  • マリア・バルセリート

殺し屋。日本刀「コチーテ」と「ムラサーミァ」の二刀流を操るメキシコ娘。なんでもすぐに斬ろうとするが別に妖刀に操られていたりはしない。素。ノリが軽いバトル要員として好き。見た目とかもかなり好きなんですがね。

 

  • ラズ・スミス

天才狙撃手を生み出す鍛冶屋(ガンマイスター・スミス)。無数の銃を懐に忍ばせた狂気の殺し屋。作中でも散々「自分で自分の事を狂気って言っちゃうのどうなんだよ」とされている彼ですが……「それ」でも、色々危険な目に遭いながらも、鉄火場に放り込まれても、「殺し屋」たらんとする姿勢は、確かに『狂気』というに相応しい。

 

  • ヴィクター・タルボット

不死者。FBI所属。この人が政府筋に居ないと不老不死の皆さんは事務手続きの面で大変に苦労するはずなのだが、なぜか皆から舐められている。なんなら実の部下からも若干舐められているというか対応が雑というか。でもまぁしっかり真面目に仕事する普通に有能な良い人です。セロテープの下りとか好きです。

 

  • エルマー・C・アルバトロス

笑顔中毒者。不死者。以前書いたけど正直まだまだ書ける。とはいえ今回は他の人に回すべきか。

 

  • ヒューイ・ラフォレット

不死者。テロリスト。初登場の頃は色々あったが、なんだかんだでまだまだラスボス候補?1700年代コミカライズおめでとうございます。「お前ただのテロリストじゃなかったのか」となる1700年代……是非ともお読みいただきたい。いきなり読むのはどうなんだろうな……そうなるとまた違った味わいがあるか。

 

  • クッキー

人語を解さぬ獣……言ってしまえばグリズリー。身長は軽く3mを超す。まぁなんというか、こんなのでも「良い奴」に入ってしまう懐の深さみたいなものが、世界観の広がりを感じさせる要素としてかなりツボでして……実際、見た目に反して作中かなり上位の「良い奴」だぞ!直接クッキーだけを相手に常識的な対応を取っている限りにおいて生命の危機は(ほとんど)ないよ!懸念点を挙げるとすれば飼い主さんのご職業。本人の「意図せぬ事故」は、下手な人間より可能性低いぞ。

 

  • エスペランサ・ボロニアル

女好きな領主様。いやめちゃくちゃ健全な紳士ですが。それはそれとして「女好き」と表現するのに些かの躊躇いはない。登場時期が1710年代に限られており、今後の活躍は恐らく……と思っていたらコミカライズが始まったのでまだまだ新規のオリジナルシーンが貰えるかもしれない。台詞が「良い所」でカットされちゃってましたが、続きはまた別の機会かな?

 

劇作家。最後の「結末」がなんとも言えず好みなのですが、オリジナルシーンとか果たしてもらえるかどうか……。コミカライズで初めてその姿が明らかになる……のかな?まぁ、そんな特徴的な姿はしていないと思いますが。「彼」の被害者ではあったのだろうけれども、まぁ本人にも悪い所は割とあって、ただまぁそこまでされる謂れがあるかって言われたら微妙なんですがそれはそれとして「結末」は「お前……」となる、そんな人。「お前……」となるのも、本当に「お前……」となるだけだから、すげぇ良い塩梅なんですよ。何にも良くない。

 

  • 病(イルネス)

見た目趣味枠。……あれ?レイチェルと見た目の属性真逆では?片や機能性特化の作業服、片や装飾特化のパンク黒ゴス……「振り切っている」のが好みなのか。少なくとも2次元においては。そのなんとも暗く陰鬱でどこまでも救われない過去と、それでも現代では明るくしてるけどやっぱり無理が生じてる女の子。……そんな中で事件が起きて、色々あって同年代の友達が出来ました、と書けば良い話に見えるだろうか。……どうなっちゃうんでしょうかねぇ。

 

  • メルヴィ・ドルメンテル

最新巻枠。1930年代のフィーロ達の前に、突如現れた「ドルメンテル」家……その顔付きは「とある人物」に酷似していて……?……彼の『ボディガード』とかは確かにめちゃくちゃ強敵なのだけれども……彼本人はなんか……うん。ヒューイと『ボディガード』に「お前気を付けろよ本当」と注意され、最新巻ではとうとう「30分後に道化となる」予告までされてしまった。その状態で数年が経過している。凄いですよね、格付けチェックで言えば「この後消えます」が出てきて数年だぞ。だが成田読者は知っている。こういう、若干読者からも舐められている奴は、最後の最後に割と大変な事をやらかすんだ。そこも含めて期待しています。同じ枠にはファルデウス君とかがいる。仲良くしてやってくれ。

 

 

 

……以上のキャラクターが、今回候補に挙がった。どのキャラクターも好きですし、なんならまだまだ好きなキャラクターは全然居るのです。脚注に居る「彼」とか、諸事情によってこういう形式で名前を書きにくいあの野郎とか。

 

今回もう一つの「軸」を設定する中で、惜しくも「機会」ではない、という事になってしまった*2が……彼ら彼女らについてのなんらかもぜひ見てみたい、その気持ちを捨てきれない……。

 

……「前日」のいいタイミングでこの記事を流したら、ワンドロに参加したいけど誰にしようか決めかねている人たちが彼女ら彼らの事を書いてくれる(確率が上がる)んじゃねえの?

 

……じゃあ、そうするか。

 

そんな魂胆でこの記事を更新しましたが、うん……これ完全に事前制作+事前投稿だな……。

*1:こいつの再登場マジで爆笑したのであまり個人名を書きたくないのです。まぁあの……『幼馴染がハッピートリガー』さん

*2:実際にはもっといろいろな理由がある。長く書くとどうしてもそのキャラクターのトロというか、ネタバレみたいな部分に触れざるを得なくなってしまったり、即興で書くには整理すべき事が多かったり、やや出番が少なかったり、ちょっと出オチ気味になってしまったり……大体俺の実力不足が原因だ。恥ずかしい

パルデア新ポケ連中ああだこうだ

パルデアのポケモン図鑑を読んでみよう。「読み物」としてポケモン図鑑を読むことは結局クリアするまで無かったので、新鮮ではある。

 

一応現時点なので、まだ捕まえていない連中については何とも言えない……と言いたいところではあるが、まぁ正直「見た目」についてはもうだいたい知ってしまっているので、今更検索縛りをするのもどうなんだろうな、とは思いますが、まぁとりあえずスカーレットの捕まえた連中をメインでやっていきましょう。気になるようならバイオレット版を調べたり、そういう事をしよう。

 

  • ミニーブ系統
  • コジオ系統
  • ノノクラゲ系統
  • シガロコ系統
  • カヌチャン系統
  • ウミディグダ系統
  • オトシドリ
  • キラーメ系統
  • ボチ系統
  • ミガルーサ
  • ドドゲザン
続きを読む

タイムスリップ芥川賞「文学ってなんのため?」と思う人のための文学入門-読書メモ

タイムスリップ芥川賞を読みました。

 

 

 

 

文學界の感想記事についてはいったんお休みする運びとなったのですが、それはそれとして「純文学」というジャンル自体には興味と手ごたえを感じておりまして。何か面白そうな芥川賞の本はないかな、と探す、それが目的となっています。さて、ではやるかな。

 

 

 

 

昔の学研でありましたよねこういう導入。○○の歴史、的な……。

 

と、書いてみたものの、コレ系で一番初めに俺が思いつくのはギャグマンガ日和の恐竜博士なのですが。普通「恐竜博士」がタイムマシンを持っていて、そんな博士の家に恐竜が好きな子供がやってきたら、今回の芥川賞博士よろしく快くのっけてあげる……と思うのですが、この博士はすげぇんですよ。まず、すげぇネチネチ言葉責めしてくる。

 

……ただ、歴史を変えうる発明品にそんな雑に子供を乗せて良い訳がねえだろ、せめて事前にアポをとるなりなんなり、もっと然るべき対応をとれ、と言われてしまうとそれはそうなのだが。それはそうなのだが、それはそれとして、この博士はすげぇうざいです。

 

興味がある方はぜひ……割とマジで不快に思う人もいるかもしれんウザさですので、そこだけは注意しておく。……こう書くと逆に「身構え過ぎる」人もでるか。言うてギャグマンガの範疇ではある……その範疇の中で、最大限のウザさなりけり。

 

 

これは「太陽の季節」の紹介文に関するつぶやきですね。

 

なんだろうな……あんまり政治的な発言はしたくないんですけれども……。

 

……「太陽の季節」の作者さんといえば、俺が物心ついた時には既に「漫画・アニメ規制おじさん」だったわけですよ。「障子を破るシーン」も、えーと……「『漫画・アニメ規制おじさん』に怒っている(たぶん)おじさん」が、「アイツだって昔は自作でこんなこと書いてるくせによぉ」みたいに教えてくれた(俺個人に教えたつもりは「『漫画・アニメ規制おじさん』に怒っている(たぶん)おじさん」には無いとおもうけれども)やつだし。

 

で、今回「太陽の季節」であるだとか、本作を書くに至った経緯、本作の評価だとかを改めてみるに……やはり「なぜこうも極端に意見が変わったのか?」は気になるところだな、と思ったのですが……。

 

まぁ、人には色々あるだろうし。本作を読んでそれが解るとも限らねえし。調べたところで納得ができるとも思わねえし。今更あのおじさんがやろうとしていた事に対して俺が抱いているイメージは覆らねえだろうし。この件については、「不思議だなぁ」で終わろうと思います。

 

世の中には不思議でないことなどないのだよ。

 

 

大江健三郎氏が東大を目指すきっかけになった恩師……それこそがガルガンチュアとパンタグリュエルを全訳した渡辺一夫氏である。彼がガルガンチュアとパンタグリュエルを訳し、また読売文学賞を取るに至った漢詩がいかなものだったか。このブログの前回の記事を読んでいただければわかるだろう……!

 

……こんな書き方するならもうこの場で書いちゃってもええやろ。

 

先日脱糞痛感
未払臀部借財
同香而非同香
濛気芬々充满

(キリンが小説を読んだら サバンナからはじまる現代文学60 P72) 

 

うんち!

 

 

……この書き方だと、このつぶやきだけを見た場合……。俺がマルキ・ド・サドを高校に持って行って、「ハイレベル!」と自画自賛しているようにも見えるな……。

 

……違いますからね?そんなことはしていませんからね?やっていたのはアイツです!アイツ……中上健次です!

 

(博士)中上はこの土地で、母親が話す昔話を聞きながら育った。中上の小説に大きな影響を与えていることは間違いない。
(少年)中上健次はどんな少年だったの?
(博士)高校時代から本を手当たり次第に読むようになり、マルキ・ド・サドセリーヌジャン・ジュネ。高校へ通学するときは鞄のなかにサドを一冊入れていたそうじゃ。

(タイムスリップ芥川賞「文学ってなんのため?」と思う人のための文学入門 P128⦅原書では「博士」「少年」はそれぞれイラストによる⦆)

 

勘弁してくださいよ、俺がそんな事するわけないじゃないですか……。

 

(……ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」……持っていったうえで結局読破には至らなかったな……)

 

 

 

嘘つきには「意味のある嘘しかつかない奴」と「意味のない嘘もつきまくる奴」の二種類があるとはビスケの言ですが、父親が「意味のない嘘もつきまくる奴」なの、軽く絶望であるな。

 

……いやでも俺も割とそっちか。血筋ということで。

 

 

 

 

この辺りは「赤瀬川原平」についての記述を読みながらですね。

 

「前衛芸術としてのごみ拾い」、「千円札裁判」、「超芸術トマソン」についての文章など、どれも楽しく読むことができた。作品自体も面白そうだ。

 

うすうす勘付いてはいたが、やはりあまり堅苦しく「文学!」という人ではなく、むしろそういう堅苦しさから少し距離を置いた人が好みなのだな、とは思う。距離を置くのもなかなか一苦労なのですよ?一苦労で済むかよ。しらんけど。

 

 

80年代「受賞作なし」が続いたことに関して、そういえば最近は芥川賞で受賞作なし、聞かないなーって。調べたところ最後は2010年だそうで……もう10年以上「受賞作なし」は出ていないことになる。

 

まー……候補作というだけでも書店に平積みされるようになった現状では、割となくはない裏事情ではないかとは思うが。

 

今後も「受賞作なし」は減っていくのだろうか。あくまで個人の考えではあるが、まぁ減ってはいくだろうけれども、十数年に一度レベルではたまに現れるのではないかと思う。ただそれはなんというか、その年の候補作のレベルが低すぎた、みたいな理由で行われるのではなくて……絶対講評とかでは認めないだろうけれども……敢えて悪い表現をするのであれば、「真面目に選んでますよアピール」のためではないか、と、全然門外漢の自分は無責任に思うのでした。

 

 

芥川の遺風をどことなくほのめかすような、少なくとも純芸術風な作品に与えられるのが当然である。
(昭和10年2月)

(タイムスリップ芥川賞「文学ってなんのため?」と思う人のための文学入門 P272)

 

……なんか今この基準で応募はじめたら悪いインターネットのみなさんがパロディや文体模写をこぞって応募しそうだなぁ、とは思った。でも芥川でそんなパロれそうな作品あったっけ、と考えると……羅生門?クソデカ羅生門は名作ですねぇ。

 

 

本書ではしっかり川端康成とのレスバも解説されているぞ!川端康成が太宰の死後に「女生徒」で若干デレるところまで解説されているぞ!

 

 

 

 

読み終わりました。「芥川賞を取った作品」についての本、というよりは、「芥川賞」についての本でしたね。その時代に応じて「芥川賞」……ひいては文学がどのように影響され、また影響を与えていったのかについて、ある程度わかりやすくまとめられていました。

 

……正直期待していたのは「芥川賞を取った作品」についての解説だったので、そこはちょっと外してしまいましたが、まぁ、これはこれで。一応作品の簡単なあらすじ紹介などもないわけではない。

 

面白そうだったのは紹介順で行くと……。

 

 

だろうか。……しかし1900年代の作品だから、正直読み味は今の文章とかなり違っているだろうな……。文學界すら一苦労の現状ではやや厳しいかもしれない。純文学については今後も気楽にやっていこうと思うので、気楽の延長線上でいずれ出会うことがあるかもしれない。ないかもしれない。わかんない。

 

そういえば新しい受賞作も発表されましたね。文學界候補作の「グレイスレス」も、そう遠くないうちに。

 

純文学にはまだまだ、俺が面白がる余地はあると思っているのだ。……まぁ俺が勝手に面白がるだけなので、あちらにはむしろ迷惑だという可能性すらあるが。怒られない程度にな。

「キリンが小説を読んだら サバンナからはじまる現代文学60」

「キリンが小説を読んだら」を読みました。

 

 

通年で文學界を読む企画がなくなってしまったので、代わりに読む本を探そう。そういう事になった。

 

今回から読書中にTwitterでメモ的につぶやいており、そこに肉付けしていこうと、そういう書き方をしています。試しにやっているだけなので、すぐにやめるかもしれませんけれども。

 

 

 

 

虚構推理、そういえばアニメ2期が始まったみたいですね。

 

面白いですよ。俺は漫画と小説しか見ていないが、アニメも見てみようと思う。

 

「マジで幽霊だったり妖怪だったりが犯人」の事件が起きて、でも警察とかそういう関係者に「幽霊だったり妖怪だったりが犯人だよ」というわけにもいかないので、なんとか常人の理解や司法が及ぶ範囲で辻褄を合わせよう、というちょっと変わったミステリの作品です。犯人だつって冤罪をでっちあげるわけにもいかないので、割と気を遣う。

 

最近は「本当に幽霊や妖怪が犯人なのか」でさらに一捻り加えてくることもありますが、でもまぁ世界観的に「いる」のは確かで、それが事件に色々と絡んでくるわけですね。……鋼人七瀬(たぶん1期メインでやっただろう事件)、とにかく長い割に話の7割くらいがネットでのレスバなので、正直2期から入るのも全然アリなのでは、とは思う。

 

ちょっと変わったスタンスの作品なので、丁寧なチュートリアルとしては全然アリだろうけれどもなぁ。それはそれとして話に動きがあるか、画的に面白いか、と聞かれたら、それはそれで何も言えん……。電撃のピノッキオとかみたいにバトル特化のお話だと、今度は推理成分が薄くなるので、そこはなかなか塩梅が難しいところ。個人の好みは人それぞれ。

 

 

グラスホッパー伊坂幸太郎)に鯨、という殺し屋が出てくるんですね。

 

伊坂作品にたまにいる「能力者」だ。視線を合わせた相手はなんか死にたくなるぞ。この能力を使い、標的に自殺を強制させてきた恐るべき殺し屋である。

 

で、この人は「今まで読んだ本は『罪と罰』しかない」っていうのが特徴なんですけれども、あるとき標的が同じ『罪と罰』の一説を引用したことで、「自分の同類か」と勘違いし、その標的を取り逃がしてしまうんですね。鯨さんは凄腕の殺し屋として有名なんですが、そんな鯨さんの唯一とも言っていい「仕事の失敗」なわけです。

 

その一節が、この本でも紹介されていた、という意味のつぶやきですね。まぁ多分有名な場面ではあるからな。

 

「いますぐ外へ行って、十字路に立ち、ひざまずいて、あなたがけがした大地に接吻しなさい、それから世界中の人々に対して、四方に向っておじぎをして、大声で〈わたしが殺しました!〉 というのです」(工藤精一郎訳)

(キリンが小説を読んだら サバンナからはじまる現代文学60 P27)

 

細かい部分は違いますが、たぶん編集というか翻訳というか……そういう違いでしょうね。

 

 

ホットサマー・マーサのドラマ版を見ましたか?

 

面白かったですねぇ。怪異と危険人物の間になんの関係もないのが良い。

 

そのうえで「最も岸辺露伴を怒らせた」のは、その2人のどちらとも違って編集さんでした、というオチも良い。怪異はちょっと関係しているか。

 

御住職は原作でマジでああいう話し方をする人たちです。改変に伴いセリフの量は増えていた。四つ辻がどうこうっていうセリフもオリジナルかな。妙に雰囲気があってよかったのではないかと思う。

 

ちなみに「動かない」は割と話ごとに設定がパラレルっぽかったりするのですが、バキンちゃんは別の話……「ドリッピング描法」でも登場したので、おそらくは今後もレギュラーとして登場するものと思われる。ワンちゃんファンにもご安心だ。

 

……「荒木作品のレギュラー入りをする」ことが本当にワンちゃんファンにとって良かったのかどうか、それは諸説ありますが。

 

 

これはP46で紹介されていた伊坂幸太郎、「アイネクライネナハトムジーク」について思った事ですね。

 

面白く読んだは読んだのだけれども、正直少しパンチが足りなかったというか、やはり殺し屋なり能力者が登場するなり、あるいは事件の1つでも起きてほしかった、というのが感想になってしまう本作であるが、この本で紹介されているような「ローカル・ローテク賛美*1」という形の読み方は俺が一人で読む限りにおいて思いつかなかったので、「他人の感想を読む」ことの楽しみはまさにこれだよな、と改めて思った。

 

 

記録。

 

宮本輝「骸骨ビルの庭」

松浦寿輝川の光

古井由吉「辻」

長嶋有ジャージの二人

 

 

 

「それでは先方に連絡を取らせていただいて、急いでお電話かメールを入れさせていただきます」

相手に対して少しでも丁寧さや敬意が伝わるように、失礼だと言われないように、頑丈な敬語のよろいをいくつも言葉に着せて、二重敬語と言われようが全くかまうことなく、気がつけば「させていただきます」を連発するような言葉遣いを、両親や祖父母から私たちは教わったでしょうか。

(キリンが小説を読んだら サバンナからはじまる現代文学60 P65)

 

……このレベルだと「行き過ぎて逆に嫌味に感じる人」とかもいるからなおさら難しいですよね。最悪のポイントは「嫌味に感じる人」は別にこの表現が誤用だと判断して怒っているわけではないところで、なんで怒っているかというと、これは「嫌味に感じた」からです。正しい表現に訂正しても……怒らないわけではないのである……!

 

 

ガルガンチュアとパンタグリュエルは確か、世界文学大図鑑、で俺は見たんですね。実際に読んだことはないです。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

確かこの本で紹介されているガルガンチュアとパンタグリュエルの引用部が、「多量の尿」に関する記述……だったような気がするなぁ。今手元にないのでアレだけれども……今度機会があったらちゃんと調べておこう。

 

で、この本でもガルガンチュアとパンタグリュエルについて取り上げられております。なんでもこの本の原文にある「詩」を、仏文学者の渡辺一夫氏が漢詩の形で訳し、また宮下志郎氏も同じ詩を新訳したところ、1965年、2013年にそれぞれ読売文学賞を受賞した、という事でした。どんな素晴らしい作品だったのか。これだ。

 

先日脱糞痛感
未払臀部借財
同香而非同香
濛気芬々充满

(キリンが小説を読んだら サバンナからはじまる現代文学60 P72) 

 

……これが1965年の渡辺一夫氏、漢詩の方ですね。で、2013年、宮下志郎氏の詩がこちらです。

 

先日、われ脱糞しつつ
わが尻に残りし借財を感ず
その香り、わが思いしものにあらずして
われ、その臭さに撃沈さる

(キリンが小説を読んだら サバンナからはじまる現代文学60 P72) 

 

……まぁ。おそらく、というかほぼ間違いなく「原文」からして大便の話をしているのは、間違いないので……。そこに関するコメントは差し控えさせていただく。多量の尿の話をする名作も、大便の話をする名作もあっていい。雨の中傘をささずに踊る人間がいてもいい。自由とはそういうものだ。

 

 

高橋源一郎の小説 『日本文学盛衰史」は「近代日本文学」の黎明期を追いかけ、それによってこの作品自体が文学史に位置を占める傑作。全体がパロディー仕立てで書かれている。一見文学史に沿った文脈に突然、現代の風俗が挟まれる。夏目漱石森鷗外に「たまごっち」をねだったりするのだ。

(キリンが小説を読んだら サバンナからはじまる現代文学60 P84)

 

日本文学盛衰史、の紹介文にて。

 

いわゆる作家をはじめとする「歴史上の人物」が実はクズ(あるいは聖人)だったみたいなエピソードはどうしても歴史に残るものだが、啄木さんはその中でも頭一つ抜けて有名になってしまった感が強い。

 

やはり「働けど」の句からなまじ清貧なイメージがあるせいで、ギャップが過度に生まれてしまっているのだろう。働け。

 

 

……書いてしまうと、P92、中村文則「掏摸」についてです。

 

……去年の夏ごろ、一度積読を整理したのだが……。

 

zattomushi.hatenablog.com

 

……あれ?「掏摸」はどうしたっけ?

 

まだ家にある……つもりでいたが。何を減らし、またこれ以降何が増えたのか。脳内でのアップデートがいまだに済んでいない。

 

 

記録。

 

川上弘美「大きな鳥にさらわれないように」

高橋源一郎日本文学盛衰史

金原ひとみ「アタラクシア」

筒井康隆朝のガスパール

中村文則「掏摸」

 

 

記録。

 

吉田修一「怒り」

 

 

記録。

 

佐伯一麦「空にみずうみ」

池澤夏樹「真昼のプリニウス

阿部和重シンセミア

 

 

 

というわけで読了です。面白そうな本がたくさん載っていてよかったです。

 

まぁプロが書いている以上当たり前といえば当たり前なのですが、下手な読書感想文のようにあらすじだけだらだらと続け最後に「面白かったです」みたいにするだとか、あるいは本の内容そっちのけでひたすら自分語りに終始するとかではなく、ネタバレなども避けながら、かなり「内容」の読み方について書かれているので、実際に本を読む際にも参考になりそうだと思いました。

*1:賛美、というのも過剰に『そうでないものを軽蔑する』みたいなニュアンスが出てしまってあまり好きな言葉ではないけれども今回はわかりやすさ優先で……本書でそういう表現がされているわけではない

新年早々弁解その他(ポケモンスカーレットの感想もあるよ)

2023年が始まり、早くも2週間が過ぎた。

 

つまりは1年の内の52分の2……約分して26分の1が早くも過ぎたことになる。皆様いかがお過ごしでしょうか。マジかよって感じではありますが、あんまり気にすると病みますよ。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

 

さて昨年の9/30頃、100記事、20000アクセスを突破したこのブログだが、そのあと1回しか更新がないままに年を越えてしまった。その理由について弁解したい。別に誰に説明を求められたわけでもないが、自分のための覚書も兼ねて。

 

まず、HUNTER×HUNTERの記事を書く以前の段階、だいたい10月の前半頃になるのだが。

 

単純に仕事がめちゃくちゃ忙しかった。

 

予定では若干暇になるくらいの感じだったのだが、タイミング悪く多数の仕事が同時に飛び込んできてしまった。書き溜めやネタ作りなど一切しないまま仕事が忙しくなってしまい、まったく更新できない期間が出来てしまった。

 

結果として、「100記事、20000アクセス」というやけにキリのいいタイミングでしばらく更新がとまってしまったのだ。仕事で疲れた頭で久しぶりに更新しようかと思った日もあったが……。

 

……「久しぶりの更新」だから何か変わったことをしなければいけないのでは、と思ってしまい、ここで再びドツボにはまることになる。なんというか、新しい区切りの1つでも作らなければならないのではと、そういう事を考えてしまったのだ。

 

結果さらに更新のない期間は長引き……結果としてどうなったかといえば。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

別に普段となんも変わらん記事で久しぶりの更新を終えることになった。

 

まずは区切りの1つとして、この記事更新前の反省すべき点をまとめておきたい。

 

  1. 小ネタでの更新記事を溜めておく
  2. 突然に特別な事をしようとしない

 

大きくはこの2点に尽きる。

 

まず「小ネタでの更新記事を溜めておく」については、いつ仕事が忙しくなるかわからないという状況が改めて認識できたので、更新のペースを保つためにも常日頃から備えておく必要がある、と考えた。

 

まぁ「ネットサーフィン記事」か……久しぶりに「突発好きな物図鑑」でもやろうかなと思います。ただなぁ、どちらも割と時世ネタが絡んでくる場合があるから、書き溜めに向かねえんだよなぁ。

 

次に「突然に特別な事をしようとしない」なのだが、これは簡単な話で、今回俺が「ふとした拍子に何かをする」みたいな、瞬発的な企画立案が苦手なのがよくわかったので、やめましょう。最低でも1週間は熟考し、また「企画は1週間の熟考と2週間の準備を経てから行われるもの」との認識を改めてしておきましょう。

 

さて反省も一区切り。記事更新「後」の話である。

 

このあたりから多忙に重なり、若干の体調不良も出始める。原因はなんだろうか。若干の日照不足が原因ではないだろうかと自己診断している。原因不明のだるさなどは、どちらかといえば精神面の問題が大きかったのではないか、と考えている。

 

次いで、今回の停滞の「最大の原因」が発生する。これについてはまた後述する。

 

「最大の原因」についてまぁひと段落ついて、次に起こった問題としては「書くべきもの」……タスクの渋滞である。

 

まずは文學界の感想記事。ICO辺りから遅れが目立っていった結果……。割とたまってしまったのだ。現状最後に書いた記事が「ICO」についてのモノであり、ICO文學界七月号に掲載されたものであるから、8月、9月、10月、11月、12月、1月分について「書けていない」ということになる。……準備は途中まで出来ているのだけれども。完成は実際していないのである。

 

zattomushi.hatenablog.com

 

そもそも文學界についての記事を書き始めたのは、少し「純文学」について考えてみたくなったからである。このあたりの記事でも書いたかな。

 

zattomushi.hatenablog.com

 

で、現状の手応えとして、まぁ確かにジャンルの印象としては読む前より親しみやすさというかそういうものがある、というのはわかったのだけれども、ただ一切前準備をしないまま読むのは若干の行き詰まりを感じていたところで。その「行き詰まり」が、記事が滞っている小要因ではあるのだが。

 

……こうまで滞っているようだと、一度一区切りすべきだろうか。

 

 

zattomushi.hatenablog.com

 

 

とりあえず2022年の4月から始めた企画であるから。2023年4月の文學界までは買い、順次感想というか、読書メモというかを書いていく。23年4月号のそれを以て、一度一区切りとさせていただこう。そのあと何を読んでいくかは、その時考える。

 

……案外詳しく書きすぎたか。記事更新後の反省点を簡潔にまとめると、このようになる。

 

  1. 定期的にちゃんと日光にあたる。
  2. 文學界の記事いったん一区切る。

 

さて記事更新後、停滞した「最大の要因」についてだ。

 

 

 

ポケットモンスター・スカーレットが大変面白かったので、殿堂入りメンバー(旅パ)や各シナリオについてそれぞれああだこうだとやっていきます。この件についての反省は、別にないです。ゲームにハマれるのは素晴らしい事だからな。ネタバレ注意です。

 

 

フォルゴレ(ラウドボーン)

 

今回の御三家。いつもはみずタイプを選んでいるのだけれどもクワッスがいかにも「みず・ひこう」になりそうだったので、じゃあそれギャラドスより強いの?となり、今回はほのおタイプのホゲータを選ぶことに。

 

名前はビジュアルだけで「カバか……」と判断したため。選ぶ段階でワニだということはわかっていたのだけれども、特に良い名前も思いつかなかったのでそのまま「鉄の男」……カバさんに憧れる大スター、パルコ・フォルゴレの名前を授けた。最終進化になると歌いだすので、良かったのではないだろうか。フレアソング。曲名、チチをもげ!

 

ワニさんの歯には小鳥が止まるんだぜ。マジで止まったからびっくりしたよね。

 

ナンジャモ(そうか……これ人によって違うのか……5人目のジムリーダーでした)辺りで一度レベルを上げ過ぎて反抗期を迎え、パーティから一度外れるも、基本的にはずっとともに旅をしてきた心強い仲間である。

 

基本的には「フレアソング」を熱唱し、通りが悪い相手には「シャドーボール」、最後の締めとして火力の上がった「オーバーヒート」で一気に決める小学生戦法。「フレアソング」で火力が上がり切らないうちに悪相性の相手が出てきたら「ほえる」で強引に交代させる。

 

難点はやや低い耐久面か。鉄ではないし、無敵だなんてとんでもない。あと隠れ特性の「てんねん」が評価されているようですが、俺のフォルゴレは「もうか」だよ。パッチは思ったよりも貴重品だったよ。テラスタイプ変更に必要なテラピースともども、もうちょっと気楽に手に入るようにしても良かったのでは。

 

「あくび」「なまける」要員としての優秀さを知ったのは最近です。でもまずは「てんねん」が大前提みたいなところはあるから、あんまり気にしてはいないが。

 

 

 

イルカマン

 

テラスタイプはひこう。何も持たせずにアクロバットを打ち込むと強いこともある。

 

ただコイツ、油断するとすーぐどっかいくんですよネー。困りますよネー。

 

 

 

イルカマンがいなくなるとなんか助けに来てくれる強いやつ

 

まぁこいつが代わりに来てくれるから構わんのですが。だれなんだいったい……。

 

威力の高い先制技「ジェットパンチ」やテラスタイプ一致の「アクロバット」でバッタバッタと敵を倒すさまはまさにヒーロー。高い素早さを活かし、相手の補助技に対し「アンコール」をあわせて複数回の行動を縛っていくなど器用な真似も可能。

 

相性の悪い相手が出てきたら「クイックターン」で帰っていく。

 

それにしてもだれなんだいったい……。

 

 

 

シビルドン

 

特性「ふゆう」で弱点のない単でんき。テラスタイプはドラゴン。なんか野生でうろついていた。「ドラゴンクロー」と「ワイルドボルト」で、オージャの湖にいるシャリタツ・ミガルーサ・ヘイラッシャ等の弱点を一方的に突くことができるため、湖でのレベル上げ要因としてレッツGO!していたら1人だけやけにレベルが高くなってしまった。具体的にはリーグ突入前に1人だけ80超えてた。

 

基本的に殿堂パーティは新顔だけで挑むつもりだったのだが、まぁ世話になったし高レベルのゴリ押しは頼りになるのは確かなので、なし崩し的に殿堂パーティ入り。

 

その高いレベルに胡坐をかき、暇を見つけては「とぐろをまく」で攻撃・防御を積んでいる。不意に急所を突かれてピンチに陥ることもしばしば。どうもリアルラックに恵まれない。

 

 

 

キョジオーン

 

特性「きよめのしお」が強力なステロ撒き要員。

 

ステルスロック」を撒いた後は相手を「しおづけ」にして、適当なところで「だいばくはつ」する。いつも安定して仕事をしてくれるが、業務に「だいばくはつ」が入っているため、戦闘では割といつも途中で死んでおり、その為か他のメンバーと比べてレベルが若干低い。旅をした期間は割と長いはずなのだが。

 

「しおづけ」の技説明、「みずタイプ・はがねタイプはよりくるしむ」という表現はややロックに過ぎるのではないかと思う。いや洒落ではなくて。

 

リーグ中にも仕事内容が変わることはなかったが、基本的に途中で交代を行うことがないNPC戦においてステロを撒く意義について、プレイヤー、つまり雑踏虫が常に首を傾げていたのは記録しておかねばならない。じゃあやめてやれよ。

 

……ラウドボーンの「ほえる」と中途半端にシナジーがあったから……。やめ時が掴めなくて……。

 

 

 

エクスレッグ

 

「ふいうち」と「であいがしら」という2種類の先制技を備えた「絶対先に一撃いれるマン」。

 

注目すべきは特性「いろめがね」。「こうかがいまひとつ」の相性を事実上無くすことが出来るため、基本的には誰に対しても等倍以上を狙っていける。

 

「ふいうち」「であいがしら」のうちダメージが期待できる方……多くの場合は「であいがしら」を入れて、その後は「とんぼがえり」で殴りながら帰っていく。イルカマン(の代わりに来る奴)と交代しながら殴っていく様は、子供にはとても見せられない。

 

最後の技として覚えた「かかとおとし」も合わせて、常にそこそこの仕事をしてくれる……のだが、全体的にステータス自体は低く、正直メンバー内では一番弱いと思っている。大体いつも途中で事故死する。

 

それでも見た目が好みなので良いのです。

 

 

 

コノヨザル

 

新しい進化を得たオコリザル。……怒るのは身体と精神に良くないのだなぁ。ポケモンは教育的なゲームですね。

 

専用技「ふんどのこぶし」は攻撃を受ければ受けるだけ技の威力が上がっていくのだが、恐ろしいことに「交代しても、倒されたのを蘇生しても、受けた攻撃回数のカウントはリセットされない」という仕様となっており、正直「げんきのかけら」でゴリ押せば通らないノーマル以外はこれで倒せない事もない。ノーマルには普通に「クロスチョップ」なり「インファイト」なりすれば良いし。

 

そんな専用技を携え、「四天王やチャンピオンの台詞や特殊演出などは鑑賞したが、試合に勝つ事だけがどうしてもできない」場合の詰め要員として殿堂パーティに参戦。幸か不幸か、リーグにおいて最後までその「ふんどのこぶし」を奮う機会はついになかった。

 

「いのちがけ」は使った。

 

 

 

チャンピオンロード

 

いわゆる「ジムバッジ集め」の旅。スタンダードな「ポケモンの旅」と言えるだろう。

 

巡った順番は「カエデ(むし)→コルサ(くさ)→ハイダイ(みず)→アオキ(ノーマル)→ナンジャモ(でんき)→ライム(ゴースト)→リップ(エスパー)→グルーシャ(こおり)」。……コルサ→ハイダイでちょっと順番を飛ばした感がある。ライムとリップが逆だったかも?

 

本来序盤で戦うべきナンジャモが5番目にきている事で妙なドラマが生まれた。

 

この段階でラウドボーンが若干言うことを聞かなくなっていたので、「じゃあ2軍の戦力を整えるか。ナンジャモは適正レベル低そうだし、最悪じめんを多めに入れとけばなんとでもなるだろう」と、パーティを一新したのである。

 

結果「5個目のジム戦後」に現れた例のバトルマニアのマスカーニャを、誰も止められず蹂躙されましたとさ。

 

トリックフラワー……?

必中確定急所……!?

じめんタイプだとその上で抜群……!?

 

……負けても再戦にはならないんですねぇ。そのままストーリーが進んでしまった。そう言うことなら多少言うことを聞かずともラウドボーンを連れてきたが……。

 

さてそんな例のバトルマニア、ネモの話をするとしよう。

 

通称「パルデアのヒソカ」。主人公の成長を「実る」と表現するバトルマニアは、ヒソカ扱いされても仕方のない部分もあるだろう。いや全然ヒソカではないですけど。負けた後ですぐに再戦を申し込んでくるくらいなら可愛いもんよ。

 

ヒソカは負けた腹いせにウンコ行ってるところを闇討ちしたからな。ひでぇ奴やで。

 

前々からポケモンの作中世界観的にはまず「手持ち6体以上埋めて、また育てている」だけでも相当なポケモン好き、バトル好き、と言う話は前々からファンの間で言われていたし、多分探せば公式の発言もあると思うけれど、その中にあって「20匹ぐらい」育てている色んな意味で生粋の人。

 

恐らく「本気のパーティ」は、作中の誰も見たことがない。我々と戦う時も「同時期に育て始めたポケモン達」から選出してくれていたようだし……DLCでその辺追加されるかもしれない。

 

やどみがまもる、がむせっか辺りは想定しておくべきだろうか。いわゆる「陰キャ戦法」ではあるが、少なくとも「使われても否定はしない」というのが俺の解釈するネモ像である。

 

 

 

レジェンドルート

 

「スパイス集め」の旅。巡った順は「大空→岩壁→潜鋼→土震(牙)→偽竜」。

 

……後半泣きかけましたわね……。「もしかしてダメなのか」と一瞬でも思わせるのはダメだって……。

 

最初に「大空」をクリアすると、「なみのり」が手に入るので行動範囲が一気に増えて良い。ハイダイさんやアオキさんを優先してしまったのは、この辺りでテンション上がって砂漠の方とか普通にやってしまったから、というのも大きい。

 

早々にマリナードタウンへ行っていたので、「そらをとぶ」で財布を届けに行きました。……まぁ、スピード優先ですわね。感謝こそされ責められる覚えはない。

 

ペパーくんも良いキャラだった。あんまり詳しくないんですが、彼は女性人気が高そうですねぇ。ダブルバトルでも普通に頼りになるのがえらい。「とりあえず有利タイプの技を覚えた奴を連れてきてくれる」だけでもだいぶ好印象だ。

 

戦闘でも普通に強いしな。正直チャンピオンより苦戦した。マフィティフも病み上がりとは思えない強さで……。あんな変なスパイスたくさん食ってたらそりゃ強くもなるか。

 

あくタイプがゴーストに有利なの、なんなん?

 

素で勘違いしていたのでラウドボーンが倒されてしまった。「幽霊より人間の悪性の方が怖い理論」は、一般人……ノーマルタイプからの視点であって、幽霊サイドが悪人にビビり散らかすのはまた違くない?

 

ホラー映画メソッドならむしろ特攻がついても良さそうなものだ。罰当たりどもに応報を!

 

 

 

スターダストストリート

 

「悪の組織を倒す」旅。悪の組織っつーか……不良集団、とも少し違くて……とりあえずはそんな旅。巡った順番は「ピーニャ(あく)→メロコ(ほのお)→シュウメイ(どく)→オルティガ(フェアリー)→ビワ(かくとう)」。

 

ビワ姐さんがマジで強くてな……1度全滅してしまった。今回ジムリーダーに全敗する事は結局なかったので、手持ちとの相性などもあるだろうが、個人的には頭ひとつ抜けて強いのではないかと思う。

 

スターモービルの特性が「じきゅうりょく」なので、復活を縛らずとも物理一辺倒の手持ちではどうにもならん、というのも大きいか。そこまでの長期戦になってしまったのなら、潔く仕切り直した方が良いだろう。

 

このシナリオも良かった。謎の男、ネルケの意外な正体……は……どうでも良いのだけど……。最後の「彼」の対応はマジで良かった。いや最後の対応はある程度読めるといえば読めるのだけれども、その一歩前で「立ちはだかってくる」のは読めなかったので。御三家最後の1匹はクリア後の楽しみかと……。

 

ボタンの話をしよう。

 

スター団を壊滅させようとするカシオペア……その人であり、またその正体はスター団の創設者「マジボス」。スター団設立当初の目標は……これは実際にやってからのお楽しみとしておくか。

 

なんというか「普段ならそんなに気にならない属性だけどどうにもツボ」なキャラで、今の今までその理由がわからなかったんですが……上の文章を書いてなんとなくわかった。

 

恐らく「デュラララ!!」の竜ヶ峰帝人と同じ括りで脳が認識しているんだ。パソコンも得意だしな。世間はそれを「バグ」と呼ぶ。

 

使ってくるのはブイズパ。なまじ内訳がわかる分、「何タイプが『最後の切り札』でテラスタルしてくるか」がわかりにくい厄介さはあるが、まぁ技構成とかはそんなになのでどうとでもなるか。「己の好み」を優先するその姿勢には好感が持てる。

 

「悪の組織のボス」らしくというか、ポケモンとあんまり関係ない部分でやべー奴ではあるのだが、アレの追求と合わせてオモダカさんに任せておけば悪いようにはならないだろう。全然関係ないアオキさんの負担が増えたような気がするのは多分気のせいだ。

 

 

 

ザ・ホームウェイ

 

最終章。「帰路」。長旅をしている者が最も事故に遭いやすいのは帰宅直前だ。気を引き締めていくがいい。謎多き大穴の底、「エリアゼロ」での冒険。

 

「帰路」……誰が「帰る」故郷がこのエリアゼロという地だったのかと言われれば、それはもちろん常に旅の傍らにいた「彼」ではあるのでしょうが、道中仲間たちそれぞれの「家庭(ホーム)」が描写されたり、あと何だったら最後に戦うラスボスが友達の親(みたいなモノ)だったりするので、なんというか章題回収のエモさが非常に高く、任天堂の本気を感じました。

 

最後の最後の戦闘の「演出」も大変に良かったです。言ってしまえば「イベント戦闘」の一言で済んでしまうものではあるのだが、ああまで面白くできるとは。

 

自分が最後に遊んだポケモンはダイパだったか……当時はこれほどまでにシナリオが練られてはいなかったような気がするが、この言い方も正確ではなくて、当時はきっと俺が読み切れていなかっただけなのだろう、と思う。

 

子供の遊ぶゲームだから、と馬鹿にするように見てはいけない。子供騙しは子供にこそ嫌がられる。

 

「ふぅーーーん、じゃあ今は読み切れてるんだ?」

 

とか聞かれるとものすごく怖いので、日々精進していこう。とりあえず読めた範囲の話をすると、大変に面白かったです。

 

 

 

その他キャラクターなど

 

その他の人間で言うとレホール先生、チリちゃん、アオキさんが好みでした。メジャーどころばかりで恐縮だが。皆さん良いキャラでしたねぇ。

 

新ポケのデザイン的な話をすると今回の個人的ベストデザイン賞はタギングルに贈りたい。ちょっと不気味といえば不気味なんですが、それも含めて「モンスター」然していて良かった。あとアイツに関しては恐らく元ネタのアイアイからして割と不気味なんだよ。

 

悪魔じみた長い指、色つきの唾液(毒)、異様に大きな眼、黒いパーカーのような体毛……これらの要素を組み合わせた上で「ちょっと不気味」に抑えるセンスよ。

 

他には「ゲーム的な動き」も合わせたデザイン賞としてイルカマンを推したい。上では誤魔化して書いたが、言ってしまえば特性「マイティチェンジ」……「手持ちに戻すと変身する」は、変身ヒーローという存在をポケモンバトルで見事に表現している。

 

変身後のマイティフォルムも明らかにイロモノと言った趣で個人的には好きです。手札誘発娘のピーピングハンデスとかできそう。ワクワクを思い出すんだ!

 

色物ばかりを評価することになってしまったので、あとはストレートなかわいさ部門、というジャンルでパモ系統か。パーモットは実際に手に入れるより前にネモの手持ちで確認していたが、手持ちに加えてみると思ったよりもかなり大きい。俺のが特別にデカいのかと思ったが、どうも平均的なサイズだったようだ。パモは正直そんなでもなかったんですが、あそこまで大きくなるなら頼り甲斐がある。小さすぎる動物はなんというか、目を離した隙に逃げるなりなんなりしそうで怖い。

 

 

 

もちろん良いところばかりではなくて、一部UIが不親切に過ぎたり(もちもの・ボックス周りが特に)、テラレイドバトルなどでは「仕様なのかバグなのかわからん」「たぶん仕様なんだとは思うけどだとしたらあまりにもバランスが取れていない」みたいな挙動がそこそこある、みたいな問題、不満点も……量で言えば結構あるのですが、シリーズ初めてのオープンワールド、ということで勝手がわからなかった部分もあるでしょうし、……込みで考えても「傑作」として良いのでは、と思いました。

 

ところでエリアゼロのどこを探してもトドロクツキがいないんですがこれはバグかなにかでしょうか。

 

あとレホール先生の授業を受ける前に「杭」を何本か抜いてしまったんですが、これは大丈夫なんでしょうか。怖くて災厄をまだ完全開放に至っておりません。いや……うろついてたら絶対何本かは見つけちゃうって……。あんな厄そうなモノを勝手に抜くな、と言われれば、それはそうなんですが。洒落怖だったら絶対おじいちゃんに激おこされて、しばらくお寺に監禁されるヤツ。

HUNTER×HUNTERらしさ、とは「的確な的外れ」なのか

HUNTER×HUNTERの最新刊……37巻が発売し、また連載が再開した。

 

 

相変わらずの情報量……凄まじい「密度」である。間隔が空いてしまうのは、もうこの際どうしようもないので……お身体の具合の事ですし……以前の話を読み直しながら、現状の連載を追っています。レオリオとチードルって乗船してますよね?出番がないだけですよね?ジャンプでの連載の方にいずれ出るんだろうか……。

 

さて37巻を読んでいて、一番「あー、俺はいまHUNTER×HUNTERを読んでいるわー……」ということを最も実感したシーンについて、いろいろ書いていきたいと思う。

 

ネタバレ注意!

 

 

 

該当のシーンは、389話「呪詛」でバショウ*1が「シカク*2の自殺は『死後の念』を発生させるためであり、ベンジャミン私設兵の対応がゴタついているのは自作自演なのでは?そして、その『死後の念』の対象はルズールス王子……と、見せかけてほかの王子では?」と考察しているシーンだった。今日はこのシーンやその周辺について、いろいろと思ったことを書いていく。

 

まず第一に、バショウのこの考察は「外れ」である。

 

シカクの自殺はベンジャミン、およびその周辺人物にとって全く想定外のことであり、私設兵の対応がゴタついているのは演技でもなんでもなく、単純にゴタついているのである。

 

これは細かな描写を読み取っていった一部の読者が深い考察の末にたどり着いた結論……とかではなくて、もう単純に「シカク、なんで自殺したの?」と慌てるベンジャミン陣営の対応が直接描かれており、なんならこの考察が行われた389話の冒頭、まさしくそれについての会議が行われている。

 

つまりあまり考察などせずに……書いてあることを素直に書いてあるだけ受け取るような読者(誤解を招くといけないのでそういう読み方でもなんら問題はない、とはしっかり書いておく。……HUNTER×HUNTER、それだけでもしっかり読めたら大したもんだしね!大体の「テキスト」がそうである、という説も根強い)であっても、この考察が「外れ」であるのは解るのだ。

 

しかし第二に、この考察は「的確」ではある。

 

シカクの自殺は、ベンジャミンを称えてから即座に行われたものであり……それを「ベンジャミンに有利な行動をとる意思を固めるためのモノ」と考えるのであれば、「自殺して死ぬこと自体が目的」と考えるのは自然なことである。そして「死後の攻撃」を可能とする「死後の念」が世界観にある以上……それを警戒するのも、また自然。

 

そしてその論の1つである「階級組織は構成員の命も平気で弾に使うからな… 『死後の念』使いが複数いても全然不思議じゃない(P177)」というのは、同話の中で回収される……ベンジャミンとは別の王子の部下には、まさに「己の死を以て対象を呪殺する」……そんな念能力、「つじつま合わせに生まれた僕等(ヨモツヘグイ)」を所持する部隊があったのである。

 

ただまぁベンジャミンとは別の王子なので、シカクの自殺には一切関係していないんだけれども。部隊の皆さんも「シカク、なんで死んだの……?」してましたわね。「自分と同じ呪殺系の念能力か…?」とか考えておりました。これもまた「外れ」なのですが。

 

この二点から、俺がバショウの考察を読んだ際に「HUNTER×HUNTERらしさ」を感じたことにより、「読者視点では明らかに間違いであるとわかってはいるけれども、それ自体を考えるのは至極当然な考察」を読んだ場合、俺はそれを「HUNTER×HUNTERらしい」と感じるのではないか、と考えた。

 

提示された謎に対し、即断で『正解』を選び取る……これは、まぁ、書けるといえば書けるだろう。特に今回のような、「シカクは何故自殺したのか?」のような、登場人物の行動の目的を問うような謎の場合には、「行動させた(=謎の出題時点で)作者に正解が解っている」のだから。

 

……無論、長期の週刊連載という現場においては作者本人にも「……なんでこの時こいつこんな行動をしたんだ……?」となってしまうようなケースがあるにはある、だろうといのも承知しているが、とりあえず今回はそれについては置いておく。いやまぁ、瞬間的な面白さというのも大事な要素なので、一概に悪手とは言えませんが。連載が長期化するにつれて矛盾しちゃったり、大変だよね……。

 

ともかく作者に正解が解っている場合には、正解を即断させるのは簡単だ。動物的な勘で、直感として正解を選ばせるも良し。キャラクターの視点での描写から、理詰めで正解にたどり着かせるも良し。……読者がそれに納得してくれるかどうかは別として、正解に辿り着かせる……ことならばできるだろう。読者がそれに納得してくれるかどうかは別として。

 

あとこの後「じゃあ『目的』が解ったうえでの最適解を打とうか」みたいな話になってくるのですが、これはできるとは言いません。俺には言えません。できる人はマジですげぇなぁと思います。……実際のところ、「俺はなんでこのキャラがこれをしたのか、は解っているけれども、それを別のキャラにどう推理させたものか全然わかんねえなぁ」とかも、大いにあり得ることだろう、とも思っています。……勘を使うか。多用さえしなければ、そこまでバレへんはずなんだ……。変な感じの理屈付けちゃう方がダメージがデカい……ような気がする……知らんけど……。

 

転じて、提示された謎に対し、「誤答(いやまぁでもそう間違っちゃうのも無理はないよね、くらいの惜しさの間違い)」を返す、これは「正解」を選ばせるより、はるかに難しいのではないか。なぜなら、「誤答(いやまぁでもそう間違っちゃうのも無理はないよね、くらいの惜しさの間違い)」は……作者にもすぐにはわからない。作者が作者として持っている知識や世界観、キャラクターなどの脳内設定を一度全部捨てたうえで、その登場人物の立場、精神状態、脳内の知識などなどをシミュレートしてみないと、「誤答(いやまぁでもそう間違っちゃうのも無理はないよね、くらいの惜しさの間違い)」にはたどり着けないのだ。

 

そして苦労してキャラクターに間違わせると……なんとキャラクターが間違った行動を取ってしまうのだ!

 

間違った行動を取らせると、キャラクターの「格」みたいなものが、読者の間で多くの場合下がってしまう。なんなら「間違いようしかないキャラクターが間違えた」場合でさえも、「格」みたいなものが下がってしまう。苦労したうえで「格」が下がるのだとしたら、マジでやってられねえよなぁ。

 

今回のバショウの考察はまさにこの点を上手くフォローしたと思っていて、「バショウの考察は間違えている」けれども、「その考察の論拠となっている論自体は的確であり、実際別のキャラクターはその論を元にして行動をしている」というのを、1話の中で上手く描写した当たり、「富樫には敵わねぇなぁ!」と思いました。

 

あとHUNTER×HUNTERを読んでいてこの感覚を覚えたのは初めてではない、以前にも「読者視点では明らかに間違いであるとわかってはいるけれども、それ自体を考えるのは至極当然な考察」を読んだ記憶があるぞ、と読み返してみたのですが、どうやらあのシーンですね。

 

……ちょっと間隔を開けるので皆さんでどのシーンか考えてみてください。

 

たぶん候補自体は複数あるんですよ。

 

その中でも俺が特に印象に残っていたのはどのシーンだろうか、という……このシーンもそうだよな、みたいなのはあの、コメントしてくれると嬉しいです。

 

 

 

……そうですね。

 

キメラアント編で「王(メルエム*3)が護衛軍を寝室から遠ざける可能性」、「ビゼフ*4が女性を調達していた理由」を考察していた際に発案された「パーム*5が王と子作りしている」ですね。(HUNTER×HUNTER 25巻 262話「突入②」)

 

いやまぁストーリー的にはこの後の「護衛軍以外の第三者が王と一緒にいる可能性」「自分で自分を傷つけるのはどんな時か」の方が重要、というのはわかっているんだけれども(こっちもこっちで間違えていたといえば間違えていたし)、ただまぁ、実際問題それが発生した際のこちらの動揺、みたいなものがシリアスな懸念点として挙げられている面白さと、いやまぁでも実際かなり動揺はするよな、みたいなその共感が、より印象を強めたのでしょう。

 

 

 

個人的には「変なことをできる立場にある人はどんどん変なことをするべきだ」みたいなことを、少なくとも創作については思っていて、この「的確な的外れ」というのは……俺はこんな具合に好きなんだけれども……でも……。

 

  • まず、手間がかかる
  • 作者が想定しづらい、間違った行動をキャラクターが取ってしまう
  • 「実際その誤答がどのくらい間違っているのか?」を説明する必要が増える
  • これらを加味したうえで、一部読者の間でキャラクターの「格」が下がる

 

……みたいな具合で、まぁ少なくとも新連載とか新人さんとかにはこれらを期待するのは酷だよね、ジャンプに連載できるチャンスとか一生のうちに何度もないからね、となるレベルには「変なこと」であるという自覚はあるので、冨樫先生には存分にやってほしいなぁ、と思っております。

 

……まぁ正直、どれだけ情報が飽和したところで、整理する時間には……おそらくそこまで困らないだろうし……と、いうのもあるのだけれど。

 

お身体などお気をつけて、少しでも長く……えーと、この場合の「長く」というのは、トータル、合計で考えた場合の連載期間を指して……長く連載していただければ、と思います。

 

 

 

結局「なぜルズールス王子の部屋の前だったのか」は正解発表されていないか……?

「自殺した(=途中で死んだ)場合の扱い」を知りたかっただけで、「場所」はただ攪乱のためだった、で良いんです?

*1:ハンター協会員。ルズールス王子の護衛中、シカクの自殺を目撃する

*2:ベンジャミン私設兵の一人。ルズールス王子の部屋の前で突然自殺する。その真相は後述……または37巻を参照の事

*3:キメラアントの王。めちゃくちゃ強い

*4:キメラアントに乗っ取られた国の大臣。乗っ取っていることが途中でばれないように色々工作する係の人に選ばれてしまったが、私的にエロいこともしようとしている

*5:仲間……仲間?まぁ仲間の女。ビゼフのところに忍び込み、このちょっと前から連絡が取れなくなっている